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<生きづらさを抱える女性たち>原因は両親との関係?娘が生きづらいと思わないためにできること

ママスタセレクト

ヤングケアラー、貧困、家庭不和、いじめなど、日本の若年女性を取り巻く課題は山積しています。彼女たちの生きづらさを紐解いていくと、幼少期からの家族との関係が大きく影響していることも見えてきます。若年女性の支援を行っている公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンの福田愛(ふくだめぐみ)さんに、女の子を育てる親が考えておきたい「娘を生きづらくさせないためにできること」について聞きました。

母親、父親との関係性に悩む女の子

――生きづらさを抱える女の子たちにとって家族との関係が非常に大きいということですが、具体的にどのような家族間の悩みを抱えているのでしょうか。

福田愛さん(以下、福田さん):多いのは母親との関係です。「幼少期から母親からのプレッシャーや期待がキツかった」と言う女の子ですね。親の求めることができなかったときに「自分はダメな人間なんだ」と思い込んでしまい、社会に出ても人間関係でうまく距離感が掴めなくなってしまうのです。そうして「自分は意見を主張してはいけない」という先入観のせいで暴力や性被害に遭いやすくなり、孤独を埋めてくれるホストや女の子を利用する大人に依存してしまうという悪循環が起きてしまいます。母娘関係からいくつもの課題があらわれると言っても過言ではないかもしれません。

――父親との関係においてはどうでしょう。

福田さん:父親と母親の関係も非常に重要だと思います。自分が恋愛をして家庭を持とうと思ったときには、両親の関係性が大きく影響します。父親のほうが権力が強い様子を見れば「女は弱い立場なんだ」という意識が刷り込まれますし、夫婦間の仲の悪さから「自分には存在価値がないんだ」と思うようになってしまいます。15歳から24歳の女性向けの相談事業「わたカフェ」でも、シングル家庭の女の子より、仲が悪い両親をもつ女の子のほうが親子関係の悩みは多いと実感しています。第三者からは幸せそうに見える家庭だからこそ、本人たちは苦しみを外に発信しづらいのではないでしょうか。

――家庭の悩みは、外部の機関や友達にも相談しづらいものなのでしょうか。

福田さん:基本的に子どもは親のことが好きですから、たとえば「親と離ればなれにされる」と思うと児童相談所にも相談できないでしょう。自分が親のせいで悩んでいることは親を責めることにつながるので、「私さえ我慢すればいい」となってしまうんです。それが、市販薬を過剰摂取するOD(オーバードーズ)、リストカットなどの自傷行為にあらわれます。

友達にも相談できない要因としては、コロナ禍で対面で話す機会が少なくなったことが大きいと見ています。友達になりたいけどそもそも何を話したらいいかわからないという、雑談が苦手な子が本当に増えました。おそらく両親も多忙だったり親子間の仲が悪かったりして最も身近な家庭内でも雑談がなく、コミュニケーションの方法がわからないのだと思います。

生きづらさを抱かせないためには、ママが頑張りすぎないことも大切

――今女の子を育てるママたちは、わが子の自己肯定感を高めようと一生懸命子育てをしていると思います。わが子が生きづらさを抱えないようにするためには何が大切なのでしょうか。

福田さん:私は以前、子ども家庭支援センターのソーシャルワーカーとして0歳から18歳のお子さんを持つご家族から相談を受けていました。ご両親、特にママの多くはプレッシャーを感じながら本当に頑張っていて、それなのに子どもとの関係に悩んでいた人も多かったです。しかしママが頑張りすぎることが、親子関係のバランスを崩してしまうのかもしれません。

自分が昔できなかったことへの後悔や社会への疑問から、「娘にはそうなってほしくない」「こうなってほしい」という期待や希望を持つこともあるでしょう。しかしよかれと思ってやったことが逆にその子の主観性や尊厳を奪い、本人の力を抑え込んでしまうこともある。難しいことですが、親が心にゆとりを持って見守ることは本当に大事だと思います。ママも一人で抱え込まずに、「このくらいでいいか」と夫婦で話し合ったり外部に頼ったりしてほしいのです。「何をしてあげよう」ではなく、「どう見守って寄り添えるか」が大事ではないでしょうか。

――愛情を持って構いつつも、大事なところではぐっと堪えて見守る勇気が必要なのですね。

福田さん:ある女の子が「私達が親に求めているのは量より質。毎日構ってくることではなく、自分に対してどう思ってくれているか」と言っていました。”たくさん”するかではなく、”何を“するかという意識が大切なのかもしれません。

毎日親にいろいろ言われると、子どもは怒られたときに「親の期待に応えたいのに応えられていない」と落ち込みやすくなってしまいます。でもアフターフォローで親子の信頼関係は強くなると思うんです。無理して常に子どもに何かしてあげようとするのではなく、抱きしめたり肯定したりといったように、無償の愛とスキンシップで信頼関係を結ぶ。そして自分も頑張りすぎず、子どもたちと向き合えるときにしっかり向き合う。そうすれば子どもも困っていたら「今こんなことで困っている」と親に話してくれる気がします。だからママたちにはまず「自分がリラックスしてほしい」と伝えたいですね。雑談もその一環で生まれる大切な時間なのかなと思います。


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