“ルールは俺らが決める” 今、世界で最も注目を浴びるアナーキーなトリオが大暴れ『KNEECAP/ニーキャップ』
過激なリリックとパフォーマンスで注目を集めるアイルランドのヒップホップ・トリオ、KNEECAPを描いた映画『KNEECAP/ニーキャップ』が、8月1日(金)より公開される。このたび、キャラクターポスターと本編映像が解禁となった。
クソな現実をクズな奴らが音楽で撃ち抜く!
北アイルランド出身のヒップホップ・トリオ、KNEECAP。2022年まで北アイルランドでは公用語として認められていなかったアイルランド語でラップをし、政治的な風刺の効いたリリックに反抗的なパンク精神を融合したスタイルで注目されている。政治家にも目をつけられ、検閲の対象としてラジオ局では放送禁止になるなど、その過激な言動で度々論争を巻き起こしていることから、<セックス・ピストルズ以来、最も物議を醸すバンド>という呼称もある。世界最大級の野外音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル」では、パフォーマンス中にパレスチナにジェノサイドを行い続けるイスラエルを批判したことで、非難が殺到。それをきっかけに過去の言動も掘り起こされ、メンバーのモ・カラがテロ罪で起訴され裁判に出廷。イギリスの「グラストンベリー・フェスティバル」への出演を検閲する声も上がったが、当日は入場規制がかかるほどのオーディエンスが集まり大熱狂。タブーを恐れずに自分たちのプラットフォームを使って声を上げる姿勢と、そのエネルギッシュなパフォーマンスで、アイルランドのみならず世界中で支持されている。
本作は、そんなKNEECAPの誕生を、アイルランド語法制化を求める抗議活動を背景に辿る半自伝的物語。北アイルランド紛争の傷跡が深く残る西ベルファストのドラッグにまみれた労働者階級の若者を、ユーモアを交えてポップなテイストで描く。スローモーションやストップモーションを駆使したスタイリッシュな演出から“アイルランド版トレインスポッティング”とも評され、オマージュシーンも随所に登場。また、メンバー3人は演技初挑戦にして、本人役を見事に好演。彼らの注目度も相まってアイルランドではアイルランド語映画として初週動員歴代1位の大ヒットを記録。さらに、「第40回サンダンス映画祭」では観客賞(NEXT部門)を受賞、「第97回アカデミー賞」国際長編映画賞にアイルランド代表としてショートリストに選ばれるなど、25の受賞と64のノミネートを果たした。世界中で大絶賛された話題作がついに日本に上陸。
北アイルランド、ベルファストで生まれ育ったドラッグディーラーのニーシャ(MCネーム:モウグリ・バップ)と幼馴染のリーアム(MCネーム:モ・カラ)。麻薬取引で警察に捕まったリーアムは、英語を話すことを頑なに拒み、反抗的な態度を貫いてた。そこに通訳者として派遣された音楽教師のJJ(MCネーム:DJプロヴィ)が、リーアムの手帳に綴られていたアイルランド語の歌詞を発見。その才能に目をつけ、3人はアイルランド語の権利を取り戻すべく、アイルランド語のヒップホップを始めることに。
キャラクターポスターは、本作の主人公で、実在のヒップホップ・トリオKNEECAPのメンバーをそれぞれ捉えた全3種。緑、白、オレンジのトリコロールに配色され、左から順に、MCネームでモウグリ・バップ、DJプロヴィ、モ・カラと並べると、アイルランドの国旗になるデザイン。右上にはそれぞれのセリフが添えられている。
「ルールは俺らが決める。欠点なんて気にしねえ」とやんちゃな表情を浮かべるモウグリ・バップは、過激派組織の元メンバーの父親を持つ反骨精神に満ち溢れた青年。アイルランド国旗の目出し帽を被るDJプロヴィは、「一緒に曲を作らないか?」と2人に提案し、音楽教師という身分を隠しながらDJとして活動。「俺らの世代の名は、“停戦ベビー”」と名乗るのは、アイルランド語で“私の友だち”を意味する名前のモ・カラ。アイルランドの独立を目指す反面、イギリス人のガールフレンドがいる。“停戦ベビー”とは北アイルランド紛争後に生まれた紛争を経験してない世代のこと。紛争で分断された北アイルランドでは、2022年まで公用語と認められていなかったアイルランド語の復権を目指し、本人達演じるこの3人が音楽を武器に旋風を巻き起こす。
本編映像は、3人がレコーディングするシーン。アルコールとドラッグを浴びながら、「毎日が退屈 つまらねえ」「ウンザリな貧困生活」と歌うのは、実際にKNEECAPが2021年にリリースした楽曲「Guilty Conscience」。彼らのバックグラウンドかつアイデンティティで、紛争の傷跡が残るベルファストで暮らす労働者階級の若者の鬱屈をユーモアに表現した曲だ。快楽に溺れ錯乱状態になる3人だが、抑圧から解放されたかのような笑顔とエネルギーに溢れる青春の一コマ。今世界で最も注目を浴びているアーティスト、KNEECAPのどこまでが実話でフィクションか分からない破天荒な物語を通して、反植民地主義、そして先住民の文化を守る重要性を描く。
『KNEECAP/ニーキャップ』は8月1日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開