夜空赤く 無病息災の炎 「大磯の左義長」浜に賑わい
国の重要無形民俗文化財の大磯町の伝統行事「大磯の左義長」が1月12日、大磯の北浜海岸で開かれた。藁や竹、正月飾りなどでつくる高さ7〜8メートルの「サイト」9基に今年の恵方から一斉に火を点け、炎であぶった団子を食べることで1年の無病息災を祈った。
左義長はセエノカミサン(道祖神)に今年1年の家内安全や無病息災を願い、北浜海岸沿いの9地区で小正月に行われる火祭り。1997年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。
左義長の行事は「事八日」(昨年12月8日)に、道祖神の祠に置かれている縄のついた石「ゴロ石」を持った子どもたちが地域の家を訪問する「一番息子」からスタート。子どもたちが家人に頼まれた願いを唱えながら玄関先で地面に石を打ち付けるというもので、賽銭や菓子をもらうほか、世話人が湯豆腐を振舞う風習がある。
左義長直前の1月9日〜11日には、9地区の道祖神をお参りする「七所参り(ナナトコマイリ)」や、書初めや吹き流しで飾り付けられた「オンベ竹」を盗まれないよう、見張り役となった子どもたちが「お仮屋(オカリヤ)」に籠って参拝客を迎える行事が行われた。
当日は、団子をくくった竹竿を持った町民らが続々と集まる中、午後6時30分になると9つのサイトに火が入れられた。サイトは時折、竹の爆ぜる大きな音をたてながら勢いよく燃え盛り、最後は今年の恵方の「西南西」に引き倒された。
その後、ふんどし姿の男性たちが浜方と陸方に分かれ、疫病神を封じ込めた藁製の仮宮を綱で引き合う「ヤンナゴッコ」が行われ、漁師町らしく、習わしの通り浜方が勝利した。