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名古屋で巡るレトロな純喫茶 vol.17「丸いガラスドア」と「ホットミルク」

ナゴレコ

何十年も前からその場所にあり、長い間地域の人々に愛されてきた古いお店。
その“古い”という言葉の中には多くの人の興味を惹くわかりやすいものはないものの、一部の層には刺さる魅力的な何かがあることは決して否めません。

この日訪れた喫茶店は、全国のレトロ喫茶好きが足を運ぶマニア好みのお店。
普段は地元の奥様方が集まり談笑しているこの場所には、令和の時代にはなかなかお目にかかれない、昭和の時代を思い出させる懐かしさがたっぷりと詰まっていました。

店主の聞き間違いもご愛敬♪昭和の時代から時間が止まっているかのような懐かしさがいっぱいある喫茶店「イコイ」

とても潔い!?ドリンクのみを提供する、本当の意味での「純喫茶」を発見

みなさんが思い浮かべる“純喫茶”とはどのようなものでしょうか?

おそらく、コーヒーやクリームソーダなどの定番ドリンクやどこか懐かしさを感じるナポリタンやカレーなどの食事、こんがりと焼いたトーストなどを提供しているレトロな喫茶店を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

現在では“純喫茶”のくくりはあいまいで、パスタやサンドイッチなどの食事を提供するカフェ形態のお店を一部含めてこのように呼ぶことがほとんどですが、本来の“純喫茶”とは、お酒を含まないさまざまな飲み物と調理不要の軽食を楽しみながら一服できるお店のことを指すそうです。

この日友人と一緒に足を運んだ中川区東中島町にある「イコイ」さんは、お店の入口に「食事できません」という張り紙が貼られているほど潔く、本来の“純喫茶”の定義に忠実。

到着したのは、お昼時の直前となる11時半ごろ。お店は正午に閉店してしまうということで、この日は滑り込みでの入店となりました。

丸くガラス張りとなった入口が特徴的。いまだ現役のブラウン管テレビに感激

私たちが入店したとき、先客の奥様方が1組窓側のソファー席に集まり賑やかに談笑していました。

日当たりの良い席はここしかなかったのですが、ひとまず空いているソファー席へ腰を下ろします。

おそらく、もう何十年も家具をそのまま使っているのでしょう。深く沈むソファーのへたりにお店の長い歴史を確信。

私も同伴の友人もレトロ喫茶好き。店内を見回してやはり一番目を惹いたのは、外観を見たときに一目惚れした丸くくり抜かれた入口のドアと窓

外から見ると少しユニークなデザインだな、という感想だったのですが、店内から見た逆光の景色は店内を照らす満月のようによく目立ち、外から見たときよりもその存在感は別格でした。

この珍しいドアのデザインに惚れ込み、時折関東や九州などの遠方からも足を運ぶお客さんもいるのだとか。

「ねぇ、見て!懐かしいやつあるよ」と友人の声に振り返ってみると、そこにはニュース番組を流しているブラウン管テレビの姿が。

何十年も営業を続けている歴史のある喫茶店でも、現役のブラウン管テレビが残っているお店はかなり少ないのではないでしょうか。

昭和生まれや平成初期に生まれた世代は当たり前に触れてきた懐かしいアイテムを発見し、思わずテンションが上がりました。

店主のまさかの聞き間違えに思わず大笑い!友人の機転で万事解決

同店のメニューはとてもシンプルで、壁掛けのホワイトボードに書かれた8種類のみ。アイスコーヒーのみ20円高い価格設定ではあるものの、ほとんどのドリンクが460円という、かなりの良心価格でした。

この中からオーダーを決めてしまう前に、店主のおばあちゃんへ「ミルクティー、できますか?」と確認。少し耳が遠いらしく何度か聞き返されましたが、最後にはニッコリ笑顔で「いいよ」と返答。

そして、そのあと出てきたのが…

うん、…こんなこともあるんじゃないかと少しだけ予想してた。(笑)

出てきたのは、「ミルク」「ティー」が1杯ずつ。たしかに間違ってはいないんだけど、ちょっぴり惜しかった!

ちなみに友人は紅茶をオーダー。私が余計なことを聞いたばかりに、まさかのホットミルクが登場してしまうとは。そして私は、実は温めた牛乳が苦手なんですよ…。

そこで機転を利かせてくれたのが友人。「大丈夫!私が飲むから!」と、おばあちゃんの聞き間違えをなかったことにして、そのままホットミルクに口をつけたのでした。

少量ならそのままホットミルクを飲んでも平気なのですが、たくさん飲んでしまうとすぐお腹の調子がおかしくなってしまうので。ここはお言葉に甘えて、私の配慮不足を友人にカバーしてもらうことに。

ホットミルクにはスティックシュガーが添えられており、甘いものが好きな人はミルクに砂糖をくわえて楽しむのだとか。今まで喫茶店でホットミルクを注文したことがなかったので、このような楽しみ方もあるのだと勉強になりました。

紅茶は一般的な喫茶店で提供されているオーソドックスなもの。

真っ白なカップ&ソーサーには「IKOI」のロゴが。ワンポイントでロゴやイラストが入ったカップで飲み物を楽しめるところも、昔ながらの喫茶店の醍醐味ですね!

おばあちゃんからのプレゼント♪今では希少価値の高い“店名入り”のマッチ

店内は全面禁煙となっている同店。しかし、お店には以前お客さんへ配っていた店名入りのマッチがまだ残っているそう。

私は自宅へ戻る際に飛行機に乗せられないため遠慮しましたが、喫茶店マッチを集め始めたばかりの友人は大喜び♪訪問の記念にありがたく1箱もらって帰りました。

退店前にさらにみかんをお福分け!まるで常連客になったような気分に

お会計をしようと席を立ったとき、おばあちゃんがお店の奥からもってきたのはなんと「みかん」!

その行為はごく当たり前といった感じで、自分の子どもや馴染みのご近所さんへお裾分けするかのように、初来店の私たちへささやかなプレゼントを手渡してくれたのでした。

たった30分程度の滞在時間だったけど、思わず大笑いしてしまうハプニングもありつつ、とても楽しい時間を過ごすことができたこの日。今では珍しい存在となった、本当の意味での“純喫茶”へ、みなさんもぜひ足を運んでみてください。

INFORMATION

店名:

喫茶 イコイ

住所:

愛知県名古屋市中川区東中島町2-81

営業時間:

8:00〜16:00

一人当たりの予算:

〜¥1,000

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

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