静岡県で教員採用試験の新制度 県民は冷ややか「相変わらず感覚ずれている」、「問題解決しない」
■大学3年生を対象にした採用選考 来年度から導入へ
静岡県教育委員会と静岡市、浜松市の教育委員会が教員採用試験に新しい制度を導入する。教員の人材不足を解消する目的だが、県民からは「相変わらず教育現場の感覚はずれている」、「問題が解決する制度とは思えない」といった厳しい指摘が相次いでいる。
来年度から導入される新制度は各教育委員会の採用選考で大学3年生を対象にするもので、教員を目指す大学生が試験を受けるチャンスを増やす目的がある。現在は大学4年生しか受験できない1次試験を1年前倒しで受けられる。
3年生が受験できる1次試験は4年生らと同じ日程や内容で、合格すれば翌年に2次試験などから受験できる。不合格だった場合も翌年に1次試験に再び挑戦できるため、試験に合格するチャンスが広がる。ただし、受験の対象は4年生大学に在籍する3年生のみで、大学院生や短大生は含まれない。
新制度導入の背景にあるのは深刻な教員不足だ。県教育委員会が実施する小、中学校の採用試験の受験者は今年度1120人で、10年前と比べて2割減っている。昨年からは1次の筆記試験の日程を例年より2か月早めて人材確保を図ったが、効果が表れたとは言い難い。
■「やっていることがメチャクチャ」 教育委員会の方針に疑問
県教委も両政令市も、来年度からは全国的にも増えている大学3年生を対象にした制度で教員不足解消を目指す。ただ、この制度で現状が変わると考える県民はほとんどいない。次のような厳しい声が上がる。
「やっていることがメチャクチャ。この制度で受験者が増えると本気で思っているのか。働き方や待遇の改善、やりがい創出など根本的な問題を解決しなければ教員になりたい人が増えるわけがない」
「相変わらず教育現場は感覚がずれている。ブラック体質を変えなければ、仮に受験者が増えても離職率が高くなるだけ」
「教育関係者が考えそうな安易な制度。教員が人気の職業の時代はとっくに終わっている。あらゆる業種で人材を求めている中、仕事に魅力がなければ人を集められるはずがない」
教育委員会が思い描くように教員希望者は増えるのか。県民は注視している。
(SHIZUOKA Life編集部)