映画『ウィキッド ふたりの魔女』が素晴らしいので観てください / 原作オタクが熱く語る作品の魅力
来たァァァァァ!!!!!
映画『ウィキッド ふたりの魔女』が!!!!! ついに日本に来たぞォォォォォォ!!!!!
大ヒットブロードウェイミュージカル『Wicked』をそのまま映画化し、2025年3月7日に日本公開されたこの作品。すでに大きな注目を集めている。
何を隠そう筆者はこのミュージカルの大ファン。劇団四季版もロンドン版も観たことがあり、劇中歌は日本語なら全曲、主要曲は英語でもそらで歌えるほど。
そんな大好きなミュージカルが、スクリーンでどんな顔を見せてくれるのか。爆速で観に行ってきたので、お伝えしよう!
・そもそもミュージカルが秀逸
……と、その前に。原作であるミュージカル版「Wicked」の魅力について早口で語らせていただきたい。
【あらすじ】
アメリカの児童文学「オズの魔法使い」については多くの方がご存知かと思う。あのお話に登場する「良い魔女」と「悪い魔女」が、実は大学時代の同級生でした……というのが「Wicked」の大枠の設定である。
希望に溢れた大学生だった2人の女の子が、どのようにして袂を分かち「良い魔女」と「悪い魔女」となるに至ったのかを描く物語だ。映画化にあたっての改変はなく、今回の映画のストーリーも基本的にはこのままだ。
【ストーリーの完成度】
まずシンプルに物語として強い。「悪」は最初から悪なのか、単純に絶対悪として片付けて良いのか……という大きなテーマのもと、それぞれのキャラクターの描写も細かい。
ネタバレになるため多くは語れない(のがメチャクチャ悔しい)が、様々な視点から考えさせられるストーリーになっている。誰しも1人は共鳴するキャラクターを見つけられるはずだ。
【音楽】
そしてそのストーリーを支える音楽。
Wickedはとにかく曲が良い。全部良い。大合唱のビッグナンバーから呟くようなソロ曲まで、場面や心情にピッタリ沿った曲調でこちらを否応なく引き込んでくる。
あと歌詞も深い。たった一節の言葉の中に、歌い手の価値観が透けて見える。優れた音楽と優れた言葉が一体となって優れたストーリーを形作る、それが「Wicked」なのだ!!!
……長々とオタク語りに付き合わせて申し訳なかった。いよいよここからは「で、それが映画ではどうなったか」の話だ。
・解釈大一致のキャスト
今回の映画の大注目ポイントといえば、まずは何をおいても主役2人のキャストだろう。
グリンダ(後の「良い魔女」)を演じるのは、皆さんご存知アリアナ・グランデ。可愛くて人気者でおバカなグリンダは、アリアナのためだけに書かれた役かと思うほど。歌唱力についてはいうまでもないが、柔らかく伸びやかな歌声も これぞグリンダ。
エルファバ(後の「悪い魔女」)はシンシア・エリヴォ。筆者は彼女のことを今回初めて知ったのだが、少女のように張りのあるまっすぐな声質と圧倒的な歌唱力に、一気に虜になってしまった。芯が強く孤独なエルファバにピッタリだ。
この主演2人のデュオが聞けるだけでも映画館に行く価値はあると断言できる。そのほかにも『エブエブ』の主演ミシェル・ヨーなど、豪華キャストが勢揃い。
・ミュージカル完全再現
あと、実は全体を通して1番強く感じたのは「めっちゃミュージカルに忠実」ということだった。
ストーリーもミュージカルをピッタリなぞっているし、何より驚いたのが「曲がほぼフル再現されている」こと。おかげであの素晴らしい音楽を余すことなく思う存分味わえる。しかも上述のビッグスター達の美声で、である。
まさか幕開けのオーバーチュアまで完全再現してくれるとは思わなんだ。開始1分で泣くかと思った。
曲のみならず、画面の構成や人物の動きなど、視覚的にもどことなく演劇っぽい。ガッツリミュージカルだからみんなめっちゃ歌うし、全力で踊るし。
一方で、映画にしかできない映像効果も圧巻。風景のCGから建物や小道具のデザインまで一つ一つの芸が細かく、ファンタジックな魔法の国を見事に作り出している。
衣装デザインや美術といった複数の部門でアカデミー賞を受賞したようだが、さもありなんといった感じ。音楽の忠実さと相まって、舞台の書き割りの世界がそのまま本物になった気がした。泣くかと思った(2回目)。
・マジで観て
ここまでついついミュージカルオタクとして熱く語ってしまったが、もちろん初見ミリしらでも全ッッッ然大丈夫。
『オズの魔法使い』の話くらいはおさらいしておくと より楽しめるかもしれないが、単体でも十分着いていけるし、ショーとしても映画としても質の高い作品だと言っていい。観ない手はない。観てください。
最後にクソデカボイスで注意を促したい。映画『Wicked』は2部作である。今回公開された『ウィキッド ふたりの魔女』はその第1部、ミュージカルで言うとちょうど1幕ラストまでだ。第2部は来年公開とのこと、待ちきれない。
参考リンク:ウィキッド ふたりの魔女(公式)
執筆:砂付近
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