愛川町長新春インタビュー 防災力強化と子ども・高齢者支援 小野澤豊 愛川町長
―2024年を振り返って。
元日の能登半島地震をはじめ、8月には愛川町でも震度4の地震が発生した。そして9月の台風10号による豪雨災害など、改めて自然災害の恐ろしさを実感する1年だった。災害に強い町づくりに向け、防災対策には次年度も重点的に取り組んでいきたい。
―昨年「防災力強化3箇年計画」を策定した。
備蓄品の見直しや災害協定の拡大などを盛り込み、3か年にわたって計画的に取り組みを進めていくとともに、引き続き町民への意識啓発と幼児・児童生徒への防災教育にも力を注ぎたい。
町民の1割が外国人という町の特色を踏まえ、昨年は外国にルーツを持つ6カ国7名からなる「多言語機能別消防団」を発足した。コミュニケーションが困難な外国人の避難や避難所生活などの場面で、通訳と翻訳を担っていただく組織で、地域防災の要となることに期待している。
―高齢者福祉、子育て支援については。
昨年は、皆さんからの要望も高かった移動スーパーについて、「いなげや」と地域の見守り活動に関する協定を締結して開始することができた。
認知予防に向けた取り組みでは、各地域の老人クラブを対象に旧半原小学校木造校舎「懐かしの学び舎」を活用した「思い出ふれあい回想事業」も始まった。学校給食を食べながら皆さんで思い出を語り合い、交流を深めてもらっている。
子育て支援については、出産準備金や子育て応援ギフト、赤ちゃん育児用品の購入助成券支給などの経済的な支援と合わせ、妊娠期から子育て期までの心のサポートとして伴走型の相談支援も行っている。親子方式による学校給食を提供している小中学校では、物価高騰対策として食材費の助成を行い保護者負担の軽減を図っている。
―人口減少対策に向けた効果も期待できる。
愛川町では近年、社会動態で転入が転出を200人以上回っている。町の自然環境や子育て支援、福祉対策など、これまで続けてきた政策が少しずつ結果として表れているのかなと思う。子育てしやすい町というイメージを、シティプロモーションの柱に据えていきたい。
―観光振興に向けては。
県立あいかわ公園や宮ヶ瀬ダム、服部牧場など、自然体験やアクティビティを楽しむ周遊コースは、年間160万人が訪れる観光拠点になっている。観光資源が潤沢な愛川町の中でも、やはり中津川や丹沢山系という自然を通して町の魅力を高めていきたい。
半原水源地跡地については、埋め戻しなどの整備が予定通りに進んでいる。コロナ禍を経て人の流れや社会の動きが変わってきた中、将来を見据えて多くの人が訪れ、子どもから高齢者までみんなが楽しめる魅力ある施設整備に官民連携の中で取り組んでいきたい。
―1月15日には町政70周年を迎える。
「ええ町やなぁ愛川70周年」を合言葉に、町民の皆さんに笑顔と元気を届けられるようなイベントを1年間を通して企画していく。愛川町に生まれてよかった、住んでよかった、来てみてよかったと思ってもらえるような魅力あるまちづくりを、皆さんと一緒に推し進めていきたい。