八王子市予算案 経済成長 人財確保に重点 安全・安心を基礎に
八王子市(初宿和夫市長)は2月14日、2025年度の当初予算案を発表した。一般会計は前年度比3・8%増の2359億円で予算規模としては過去最大。近年リスクが高まっている自然災害や凶悪犯罪、感染症などに対する市民の安全・安心の確保を前提に、市内の経済成長や人財の確保を図る取り組みに重点を置いた予算編成となっている。
昨年の当初予算案では市長就任直後ということもあり義務的経費などを中心にした「骨格予算」で編成、新規事業などについては補正予算で肉付けしていく形をとった初宿市長。就任から2年目となる新年度予算では、より明確な「初宿カラー」が打ち出されることが期待されていた。
予算を一軒家に例え
初宿市長は発表した新年度予算を一軒家に例え、市民の安全・安心を確保する取り組みを基礎として、その上に3本の柱(【1】市内経済の成長・発展【2】日本遺産などの観光資源を活用した賑わいの創造【3】これからの八王子市を支える人財の確保・定着・育成)を据え、屋根には市が目指す姿である『すべての人が輝き、やすらげる街へ』があると説明した。
一般会計では、歳入の4割を占める市税が個人市民税や固定資産税の増加により、前年度比5・5%増の951億3347万円。学校給食センターの整備やいちょうホールの大規模改修工事が終了したことから投資的経費は22・4%減の178億円。市債は35・2%減の103億7940万円を借り入れ、残高は25年度末で約1326億円になる見込み。財政調整基金からは18億円を取り崩し、25年度末で残高約240億円の確保を見込む。
主な事業
「市民の安全・安心につながる取組」として新たに、幼児・児童への三種混合ワクチン特別接種(予算額約2265万円)、男性へのHPVワクチン接種(1813万円)、13歳未満のインフルエンザワクチン接種費用助成(1億円)を実施して感染症の蔓延防止に取り組む。また年齢や障害の有無に関わらず誰でも遊べる遊具などを設置したインクルーシブ広場を26年度の全面供用を目指し上柚木公園内に整備(9880万円)、老朽化した船森公園のトイレを多摩地区で初めてデザイン案を公募するデザイントイレとして整備する費用(400万円)も計上した。
「市内経済の成長・発展」では、医療や半導体などの将来的に大きな成長が見込める産業分野の企業に対し事業所の土地や建物取得費の15%を交付するインセンティブを新設して企業誘致を推進する(8594万円)。
「観光資源を活用した賑わいの創造」では、日本遺産「霊気満山高尾山」の文化観光を推進し、インバウンドの拡大に向けた音声ガイドサービスや修行体験、ウェブメディアによる情報発信など魅力の向上を図る(6000万円)。
「人財確保」については、暮らし続けたいと思えるまちを目指し、山間部などでの地域交通事業の継続(816万円)や自動運転バス導入支援(67万円)に取り組む。
予算案は2月26日に開会する市議会第1回定例会などで審査される。