RIVA「GO UP」インタビュー――RIVAのアイデンティティが詰まった1st EPに込められた想い
──1st EP「GO UP」をリリースしたRIVAさんのデビューまでの道のりをお伺いします。まず、音楽との出会いから聞かせてください。
「小さい頃から音楽がすごく好きで、母によると、音楽を聴くとゆらゆら揺れるような赤ちゃんで真顔で無口なんですけど、音楽を聴くとだんだんと振り幅が大きくなる子だったそうです。5歳から5年間ピアノを習っていて、その後は、弾き語りをしていました。すごく簡単なオリジナルソングを作ってみたり、アリシア・キーズの「If I Ain't Got You」をカバーしたり。小さい頃はコミュニケーションが苦手な部分があったので、音楽で自分を表現することが好きでした」
──どんな曲を作ったか覚えていますか?
「戦い系です(笑)。小学4〜5年生くらいだったんですけど、いろんな経験をさせていただいていたんで、人生の葛藤を歌詞にしていました。人生というか、普通に日常的にある学業やお友達との葛藤ですね」
──10歳にして(笑)。小学生の頃はどんな音楽を聴いていましたか?
「インターナショナルスクールに通っていたので、周りの環境の影響で洋楽のポップスを聴いていました。アヴリル・ラヴィーンやケイティ・ペリー、アリアナ・グランデとか。ポップカルチャーがすごく好きでした。小さい頃は身体を動かすことも好きでしたし、音楽で踊ることも好きだったので、洋楽のポップスをたくさん聴いていました」
──歌うことは好きでしたか?
「歌うことは、カラオケに行くぐらいで、当時は何とも感じていなくて…ジャスティン・ビーバーの「ソーリー」とか、アリシア・キーズを歌っていました」
──そして、中学校2年でカナダの高校に留学しているんですよね。
「3年半留学していたんですけれど、本当に毎日が新鮮でした。思春期だったし、本当にもう1回青春をやり直した感じでした。カナダは多国籍なので、いろんな友達ができたし、学校も楽しかったです」
──クラブは入っていましたか?
「たくさん入っていました。数学やロボティックスのコンテストに出るクラブとか、心の健康を考えるウエルネスクラブとか、学校のエコを考える環境クラブとか…。美術もやっていたし、生徒会にも入っていました。本当に10個ぐらいのクラブに参加していました」
──まだ攻撃的で高速なラップを繰り出すRIVAさんと結びつかないですね。
──バンドを組んだりはしなかったんですか?
「はい。音楽は10歳までのピアノしかやっていなくて。でも、音楽の先生が2週間に1回、ドラムを教えてくれたんです。そういうビート系には興味がありました」
──ご自身で音楽をやりたいと思ったのはいつ頃ですか?
「帰国してから、コロナ禍でずっとオンラインでの勉強だったので、もうやってられなくて(笑)。あまり先のことは考えていなかったんですけど、“音楽の道に進みたい!”って衝動的に思い立ちました」
──そこで音楽を選択したのはどうしてですか?
「小さい頃から自分を表現するコミュニケーションのメインのツールが音楽だったんです。ピアノを弾き語りすることで、周りの友達や大人とのコミュニケーションが取れていましたし、日本でもカナダでも、コミュニティサービスでバックグラウンドミュージックを弾くという活動をしていたんです。音楽はずっと好きだったし、私は音楽をやるのが使命みたいに思って…」
──そして、ゼストミュージックスクールに入校を?
「2022年の6月末ぐらいです。最初はダンスがしたかったんです」
──それも意外ですね。
「小さい頃から身体を動かすことも好きだったし、お兄ちゃんが独学なんですけど、ダンスが上手なんです。“カッコいいな!”と思っていたので、密かな憧れもあったのかもしれないですけど、とにかく“今やれることを存分に楽しみたい!”って思って。本当に先のことは考えてなくて、今を楽しみたいっていう、ただそれだけだったんですけど、インターネットで調べて、家から近いスクールを選んだのがゼストミュージックスクールでした。今、振り返って思うと、すごく運命的ですけど、本当にたまたま見つけて入学しました」
──入学してからはどんな日々でしたか?
「ボーカルとダンスのレッスンにほぼ毎日通っていました。ボーカルも徐々に良くなってきて、発表会でセンターポジションを取ったんです! 去年の終わり頃に、スクールの責任者の方が、私がスタジオでエミネムの「Loose yourself」を完コピしている映像を撮ってくれたんです。その映像を、今、私をプロデュースしてくださっているARUMO IKARAさんに送ってくれて、“この子、すごいよ”ってなってくれたみたいで。そこからいろんな出会いと繋がりがあって、デビューの話まで進みました」
──ずっとラップをやってきたわけでは無いんですよね。
「音楽全般が好きなので、特にラップやヒップホップが好きというわけではなくて。ラップでいうと、最初はK-POPから入ったんです。BLACKPINKのジェニーちゃんがとても好きで、ラップもだんだん好きになっていって。エミネムやイギー・アゼリアをコピーし始めました」
──ラップがすごいって言われたことはどう感じましたか?
「こういうのもありなんだなって思いました。あまり実感がなかったです」
──2023年末にエミネムをカバーして、半年後にはデビューしています。とんとん拍子ですよね。
「本当に“神様に見守られている”って思うぐらい、運命的ですし、すごいスピードの流れに乗っているような感じです。この半年間で、いろんな経験をさせていただいていて。今は楽曲の制作がメインなんですけど、リリックとメロディは全部自分で書いているので、どの言葉が一番伝わりやすいんだろう?とか、いろいろ調べたりしていて。じっくり考えて、音楽を楽しむという気持ちでやっています」
──どんなアーティストになりたいって考えていましたか?
「私はインスピレーションで音楽を作るタイプなんです。未来のこと、先の事はあまりわからないので、その時の自分に任せたいです」
──ロールモデルはいますか?
「ドージャ・キャットさんかな? 最近、ドージャ・キャットさんにどハマりしていて。彼女にしかない世界観やフローがすごく心地良くて、もう本当にリスペクトしています。音楽を超えた作品なんですよ。美しいし、大好きだし、いつかコラボなんてできたら嬉しいですよね…。 彼女の楽曲って自由だと思っていて。自分を表現することを何も恐れてない。そういう人になりたいし、そういうことを“和”を通してやりたいです」
──ラップをやっていこうってことでしたか?
「きっかけがエミネムのカバー映像だったので、最初はその影響が強かったと思います。でも歌うことは好きなので、今後はR&Bやポップスも歌ってみたいし、カナダに行く前の中1から1年半くらいだけ琴をやっていて…」
──ピアノも弾けるし、ドラムも経験していますし。
「ビートはいつか自分で作ってみたいんです。シンセサイザーを持っているんですけど、音を重ねるボタンがあるので、今、夜な夜なやっています。これから先はきっとライブ会場でいろんなアーティストさんやDJさんたちとコミュニケーションが取れると思うので、そういう方たちとの出会いも大切にして、お互いにアイディアを交換しながら一緒に作っていけたらいいなと思っています」
──デビュー曲である1st EPのタイトル曲「GO UP」はどんなところから作ったんですか?
「ARUMO IKARAさんにトラックをいただいて、一番最初に書いたラップなんです。サビのところは後から考えたんですけど、“枠の中で収まるな”というテーマで作り始めました。この時はもう、“このチャンスを絶対に逃したくない!”って思っていましたし、必死だったので、それが、私の強さを引き出したような気がします」
──ハードですし、すごい高速のラップですよね。どうしてできるんでしょう?
「自分でもあまり記憶が無いです(笑)」
──リリックは英語がメインになっています。
「洋楽のポップスを聴いて育ったので、自然と出てくる言語が英語ですし、こういう強い態度や姿勢を示す時の考え方って自然と英語で出てくるんです。カナダで生活していたときも、自分をアピールしなきゃいけない、自分の居場所を作らないといけないみたいな、サバイバルのような感じだったので…」
──小5の時も戦い系だったし、カナダでもサバイバルだし、ずっと戦っているんですね。
「生きるってサバイバルじゃないですか。リスクを取ることはすごく大事だと思うし、挑戦心がないと生きていけない。そういう意味で、やっぱ生きるってサバイバルだなって思います。一方、生きることはコミュニケーションでもあるなと思っていて。人と一緒に音楽を作るっていう、それも人生だと思います」
──サビで繰り返される<Do you hear me?>は自分に言っています?
「自分を鼓舞している言葉ですね。“絶対に成功させてみせるよね、わかっているよね”っていう意味で。ただ、自分に言い聞かせながらも、みんなにも言っています。同じ経験はしていないけど、人それぞれに葛藤があって。みんな、共通しているフィーリングなので、この言葉はみんなにも必要だなって思います。人と違う選択をすることに躊躇したとき、<Do you hear me?>っていう言葉が皆さんにも届くといいなと思います」
──<どこ行っても勝ち組の私たち>という同世代に対するメッセージも含まれてますね。
「そうですね。やりたいことをやる、言いたいことを言う。批判を恐れずに、行動に移すこと。あと、指示通りにこなすよりも、枠の中に収まらずに、自分を表現するっていうのが本当に大事だと思っています。枠を外れても、周りに才能として認めせるっていう。第三者の目線ってすごく大事なんですけど、自分を基準にして、生きる方が生きやすいっていうことを伝えていきたいです」
──RIVAさんの強い信念が込められている曲ですが、この曲を含めた最初のEPはどんな作品にしようっていうイメージはありましたか?
「RIVAの世界観やアイデンティティの一部を見せたかったです」
──“RIVAのアイデンティティ”が最も表現されている曲を挙げるとすると?
「「雫」です。神社に行ったときにインスピレーションが湧いて、その場で書いた曲なんです。短いんですけど、深くて。歌詞通りなんですけど、小さな水滴が目から落ちて、川を流れて、それが海の神様の声となって、その声が私の気づきとなるっていう。全体的なコンセプトがインナーチャイルドを癒す巫女様っていうイメージで書きました」
──インナーチャイルドとはどんな存在でしょうか?
「何かしたいんだけど、大人の自分が邪魔している…大雑把に言えばそういう感じです。5歳6歳とかの自分が後ろからついてきている。全部が自分なので、そこも大事にしたいです」
──先ほど、“和”を通して表現したいと話していましたが、この曲は神社や巫女がモチーフになっていて、サウンドには尺八も入っていますよね。
「本当に小さい頃からいろんな経験をさせていただいて、カナダだけじゃなく、1つの場所にとどまることがあまりなくて。なので、いわゆるアイデンティティクライシスっていう、自分が誰なのかわからない現象に陥ったことがあって。そんな時に、元々神秘的なものが好きだったんですけど、神社へ参拝しに行ったり、日本の文化に触れ合ったときに、違う波長で、日本人としての血の繋がりを感じたんです。それも私のアイデンティティの誇る一部なので、曲に反映したかったんです」
──「WANOKUNI」にも琴のリフが入っていますね。こちらは日本語のラップになっています。
「私、日本語で話しているときと英語で話しているときって、表現の仕方が変わるんです。国が違うし、コミュニティが違うし、文化も違うから当然なのかもしれないですけど、言っていることは共通していて。「GO UP」はアグレッシブな表現をしていますが、「WANOKUNI」も凛としている日本人の女性が人生を語っているっていうことは一緒です。どういう風に表現しているかだけで、筋が通っているっていう。だから、歌詞でも、色んな仮面をつけていても、どれも自分だから、どれをつけていてもフェイクじゃないっていうことを言っています。お祭りみたいなイメージで、日本人の女性の歴史的な不満や、女性の強さをいろいろ表現した曲です」
──この曲にも<令和うちらの時代>というフレーズがあります。世代を引っ張っていく姿勢を感じますね。
「さっき言ったこととも重なっちゃいますけど、まず、自分自身を知ることで光るべきものが光ると思っています。それで、私もこうやって音楽の世界で羽ばたいているんですけど(笑)、“うちらみんなで駆け上がりたい”と思っていて…みんなで竜の背中に乗っているような感じかな? みんな違う経験をしているけど、同じ葛藤は抱えている。この3曲は、一歩離れたところで言葉を言っているので、たくさんのことに当てはまるような曲ではあると思うし、RIVAの個性が強く出ている3曲になったと思います」
──これからはどう考えていますか。今後の目標を聞かせてください。
「まず、名古屋を拠点にクラブでのライブステージの活動を始めたいです。今、目の前にある目標は、お客さんと一体になれるようなライブをすること。この先、“こういう人になって欲しい”とか、“ああいうことを言って欲しい”とか、いろいろ意見はあると思うんですけれど、それも参考にしつつ、自分はぶらさずに、自分にしかないものを追求していきたいです。それが当たり前になるまで、本物を書きたいし、意味のあるものを書きたいと思います」
──まずはライブなんですね。ライブ経験はあるんですか?
「デビュー前はスクールでの発表会しかなかったです。もちろん、その場では緊張するんですけど、パフォーマンスすることも含めて、音楽が全体的に好きなので、すごく楽しくて。それに、私、“成長”や“挑戦”がすごく好きなんです。だから、ライブももっともっとやりたいです。和が好きなので、日本中でライブがしたいし、アジアにも羽ばたきたいし、いつか友達のいるカナダに戻って、友達をライブに招待するのも夢の1つですね」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
RELEASE INFORMATION
2024年8月16日(水)配信
RIVA「GO UP」
EVENT INFORMATION
日程:2024年10月5日(土)・6日(日)
場所:久屋大通公園・エディオン久屋広場
入場料:無料
RIVAは10月6日(日))に出演!
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