絶滅した日本の動物は何種類いる? #もやもや解決ゼミ
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日常に潜む「お悩み・ギモン」=「もやもや」を学術的に解決するもやもや解決ゼミ。今回は「絶滅した日本の動物」がテーマです。
「絶滅した日本の動物」と聞くと、ニホンオオカミを思い浮かべるかもしれません。では、他にはどんな動物が姿を消してしまったのかをご存じでしょうか? 今回は、野生動物の保全活動など幅広く環境保全に取り組んでいる『公益財団法人 世界自然保護基金(WWF)ジャパン』に教えてもらいました。
【写真】絶滅の危機に瀕している日本の生き物多くの生き物が絶滅してしまっている
日本では環境省が「絶滅の恐れのある野生生物のデータ」をとりまとめ、『レッドリスト/レッドデータブック』として公開しています。それによれば、現在分かっているだけで、110種の日本の野生生物(亜種を含む)が絶滅しています。
このうちの約半数は、昆虫や貝類などの無脊椎動物や、キノコなどの菌類といった、小さな生き物が占めています。また、植物や藻類なども36種が絶滅しています。
絶滅の理由はさまざまですが、
・生息、生育地が開発などによって破壊されてしまった
・飼育などを目的に乱獲された
・人が外から持ち込んだ外来生物によって捕食されたり駆逐されたりした
などが大きな要因になっています。
近年は、地球温暖化(気候変動)がさらなる大きな脅威となり、今後もさらに絶滅種を増やす原因になることが心配されています。
どんな生き物が姿を消してしまっているのか
ニホンオオカミやニホンカワウソのように、日本全国に広く生息していた野生生物が絶滅した例もありますが、こうした例は少数です。
多く見受けられるのは、小笠原諸島や沖縄諸島など小さな島のような場所や、ごく限られた場所にだけ生息・生育する野生生物が生息地を失い、姿を消してしまうケースです。
こうした野生生物は、もともと生息している数も少ないことが多いため、乱獲・採集による影響を強く受けてしまいます。
また、日本の絶滅種の中には、オガサワラマシコやリュウキュウカラスバト、ミナミトミヨなどのように、もともと日本にしか生息していなかった生き物がいます。これらは絶滅してしまったことで、世界全体からも完全にいなくなってしまいました。
こうした日本の野生生物を保全することは、絶滅の危機にある世界の野生生物を守ることでもあるのです。
絶滅の危機に瀕している日本の生き物はどれくらいいるのか
環境省のレッドリストには、2020年時点で3,175種の野生生物が絶滅危惧種、すなわち絶滅の恐れが高い種(しゅ)として掲載されています。
この中には、トキやコウノトリ、イリオモテヤマネコのように、名前が良く知られた野生生物も含まれていますが、その多くは絶滅種と同様に菌類や無脊椎動物、藻類やコケ類などを含む植物が占めています。わずかな環境の変化も大きく影響してしまう、小さな生きものたちの危機が深刻な規模で広がっているということです。
また、シマフクロウやオオワシ、ラッコなどは、日本以外の生息域でも減少が懸念されており、国際的な絶滅危惧種にも指定されています。
渡り鳥のように、日本と海外の国々を季節によって移動しながら生きている生物もいます。日本の希少な野生生物を守り、そのすみかである自然環境を守ることは、世界の生物多様性を守ることにもつながっています。
絶滅が危惧されている生き物を守るために
生息地の破壊、乱獲や過剰な採集、外来生物、そして気候変動など、野生生物を絶滅に追い込む大きな原因は数多くありますが、一つ共通している点があります。
それは、私たち人類がその原因を作り出しているということです。
皆さんが普段食べている肉や魚、大豆、パンや米、また身に着けているコットン製品や化学繊維の洋服なども、それを生産する過程で、農地の拡大や資源の乱獲といった、自然破壊につながる問題を引き起こしているかもしれません。
そして、この問題が深刻化すれば、人自身もまた、この地球上で生きていけなくなってしまいます。
『WWF』では、こうした問題に取り組むため、保護区の設定などに協力したり、農地や林業で利用する土地をむやみに広げないよう地域の人々を支援したり、生産性を向上させ環境に配慮したものにする「持続可能な開発」を促進しています。
また、外来生物対策を進めるためのルールの強化といった活動に取り組んでいます。地球温暖化を食い止めるために手掛けている、各国政府や世界中の企業に対して、温室効果ガスの排出削減を強く求める活動も、世界の自然と生物多様性を守る大事な取り組みの一つです。
絶滅の危機にある野生生物を守ろう!と思ったとき、何よりも大切なことは、私たちの暮らし自体が、こうした生き物が暮らす自然とつながっている、という意識を持つこと。そして、そのつながりを活用した、環境保全や持続可能なライフスタイルの実践に取り組むことです。
WWFの活動は、こうした地球環境の問題に危機感を持つ、世界中の方々がお寄せくださった会費や寄付で行なわれています。皆さまもぜひ、WWFの一員となって、ご一緒に地球と野生生物をめぐる問題に関心を向け、共に取り組んでみませんか?
◇けつろん!
絶滅してしまった日本の野生生物の数は110種にも上ります。「こんなに多いとは知らなかった!」という人は多いでしょう。さらに3,000種以上の野生生物が絶滅危惧種に指定されています。これらの動植物を守るためにも、身近なところから意識していきたいところですね。
◇おしえてくれたせんせい!
■WWFについて
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体。1961年に設立されました。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行なっています。WWFの活動は、皆さまからの寄付・募金・会費によって行なわれています。
『公益財団法人 世界自然保護基金(WWF)ジャパン』
https://www.wwf.or.jp
文:高橋モータース@dcp
編集:学生の窓口編集部
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