【中学受験】24年終了組の親が本番当日にやらかした「失敗談」&「リアルタイムスケジュール」大公開〔受験伴走完走・教育ママライター〕
2024年の中学受験の伴走を終えた教育ジャーナリスト・佐野倫子さんによる「中学受験伴走」連載。【本番当日後編】は、当日のタイムスケジュールについてです。終了組の失敗談も併せてレポートします。
中学受験当日の親子のかばんの中を大公開!前回は、2024年2月に中学受験伴走を終えた、教育ジャーナリスト・佐野倫子の実体験をもとに、当日の服装と親子の持ち物をお伝えしました。今回は「当日のスケジュール」と「取材で聞いたリアル失敗談」についてです。どうかどうか、2024年中学受験終了組からの申し送りとしてお読みください。
佐野倫子(さの・みちこ)
東京生まれ、早稲田大学卒。航空業界・出版社勤務を経て作家・教育ジャーナリストに。おもな著書に『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)。2人の男の子の母。
まさかそんな……!? 当日起こったハプニング
ついに迎える受験本番! 「事実は小説よりも奇なり」とはよく言ったもので、予想もしていないことが起こることもあるようです。
そこで2024年伴走終了組を取材して集まった、驚きの体験談をまずは報告します。
「当日前夜、まったく眠れなかったのはむしろ母でした。生理も重なり、緊張と寝不足でまさかの貧血に。立っていられず、電車を降りて、夫に電話をするもつながらず、息子は一人で学校までいくことに。事前に模試などで現地を下見していたのが救いで、彼は一人でたどりつくことができました」(2024年終了保護者)
「入試を終え、学校に迎えに行くとものすごく怒っている娘。出来が悪かったのかと血の気が引く思いで話をきくと、上履きが入っていなかったとのこと。1日スリッパで過ごして、とても肩身が狭かったというのです。これは募集要項を管理していた私の完全なミス。平謝りでした。また娘の友人は、出発直前に荷物を出して確認したことで時計を落としてしまい、本番10分前に筆箱に入っていないことに気づいたそうです。出発前に点検するよりも、前夜に完璧にしていくつもりで準備したほうがいいと思います」(2024年終了保護者)
「面接がある学校なので、11月に服を用意し、願書の写真もその服装で撮影。下旬にはそれを着て模試も受験し、準備万端。それですっかり服のことは頭から消えて、迎えた当日。冬期講習と正月特訓で缶詰+直前期に学校に行かず家で勉強をしていたためか、なんと服がぴちぴちに! 特にスラックスが入らず、急遽ホックをゆるめて、父親のベルトでなんとか落ちないように締める、という荒業にでました。せめて数日前にもう一度着てみるべきでした……。油断は禁物です」(2024年終了保護者)
今でこそ笑い話かもしれませんが、当日に起こるとこれは相当のインパクト! 準備は入念に、しかし何が起こるかはわかりません。家族とすぐに連絡が取れるようにしておく、現金を余計に持っておく、スマホは忘れない、などには特に注意しましょう。
余談ですが、受験票や筆記用具は忘れても学校が貸してくれることも多いようです。遅刻してしまうくらいならばコンビニで買えるものは買って、そのまま行ったほうがベターかもしれません。
当日残したメモを再現! ワンポイントアドバイス
我が家が実際に本番を経験して、細かいことながら大事だと気がついたことがいくつもありました。当時の私のメモとスケジュールを公開したいと思います。
【待機時間とリラックスグッズ】
親の待機時間が意外に長いです。万が一、試験中に体調不良などあると連絡がくる可能性を考えて、学校の最寄り駅などで時間をつぶしている方が多い印象を受けました。
早朝はお店が開いていないことも多く、どこでどのように待つかはシミュレーションしておいたほうがいいでしょう。自宅に戻れるならば、親は体を休めて長い闘いに備えるのも有効です。
前泊している場合は、チェックアウトを延長して、子どもを送ったあと、ホテルに戻って体を休めたことがすごくよかったです。
漫画喫茶やホテルなどで隙間時間を過ごすとき、できるだけ体を休められるように手軽なリラックスグッズは重宝します。
午前と午後のはしご入試の場合
【移動手段と昼食】
午前と午後で入試をはしごする場合は、とにかく移動手段について時間に余裕をもって検討すること。午後受験校の近所までまずは移動し、そこで昼食を取れるようにお店を予約もしくは目星をつけておきましょう。たいていの場合、学校近くのお店は非常に混雑します。
また、午後の学校が早く会場を開けてくれて、軽食を食べることができる場合もあるので募集要項などをしっかり確認を。
一方で、あまり豪華に食事をすると眠くなるし、実際は緊張気味でさほどたくさんは食べられないかもしれません。軽食程度になったとしても焦らず、午後入試には補食となるチョコや栄養ゼリーなどを持たせれば大丈夫と割り切りましょう。
待ち合わせ場所と当日の付き添い担当を決める
【待ち合わせ場所と当日の付き添い】
入試が終わったあと、どこで待ち合わせをするかは必ず相談しておくこと。試験前は頭が回らず、見送ってしまうこともあるので、できれば前日に確認しておきましょう。
また、当日誰が受験会場まで送っていくのかについては、慎重に家族で検討し、できれば誰がつきそっても持ち物やタイムスケジュールに支障がないように情報を共有しておくことは必須です。
実際に当日、親が腹痛や貧血で、予定していなかった保護者が行ったケースが周囲に何件かありました。冒頭にもあったように、前日に眠れなかったなど、本番中は親にも相当負担がかかるので、体調管理は気を付けておきたいものです。
受験当日のハードなタイムスケジュール
それでは、2024年2月1日受験当日の我が家のリアルなタイムスケジュールを紹介します。
【2月1日当日スケジュール】
06:00 起床
朝食を食べ、漢字と計算を10分ずつ。
07:00 自宅を出発
07:00 受験校最寄り駅に到着
電車遅延に備えて早く出発したため、時間に余裕あり。緊張していたので駅前のカフェで温かいものを一口だけ飲む。
08:00 受験校に到着
「待ち合わせはここね」と念を押してから「問題文をよ~く読んで、いつも通りにね!」と言葉をかけて送り出す。
08:20 母は予約しておいた隣駅のシェアオフィスに移動
自宅に帰るか迷ったものの、テレワークしながら万が一のときにすぐに迎えに来られるようにと、学校近隣で温かく待機できるところを探して決定。
08:30 学校が指定した集合時刻
09:00 試験開始
14:00 母は学校前で待機
14:30 入試終了。子どもが退出
「どうだった!?」とは決して尋ねず、ねぎらいながら、午後受験校に行くかどうかを確認。「受験する!」というので、ひたすら調べておいた電車に乗るために走る。車内で子どもはチョコと水分補給。母は鉛筆を削り、受験票をさしかえる。ペットボトルとお菓子をリュックに補充。
15:00 午後受験校に到着
16:00 母は自宅に戻り、宿泊グッズをピックアップ
2月2日の学校の集合時刻が早く、自宅から距離があったので思い切って前泊にしたため、2日目の受験に必要なすべてのものを持って、再び自宅を出発。
19:00 入試終了
受験人数が多く、番号も後半だったために、子どもに会うまでに30分以上かかる。
20:45 2日受験校の最寄り駅に到着
駅ビルでお弁当を買ってホテルにチェックイン。食事をして、つむじ風が起きそうな勢いで入浴。
22:00 就寝
学校に近いホテルのため、精神的には安心。あまりの疲れで親子ともにバタンキュー。結果的には眠れない、などの心配はなし。翌朝は7:00に起床して、8:00にホテルを出発予定。
iPad、イヤホン、充電器、携帯バッテリー、スマホスタンド、PCは常に持ち歩いていました。結果次第で後半日程の出願をする可能性もあったので、ガジェットは必須でした。
3日間午前・午後受験を組むのは負担が大きい
結果的に2月1日の午前・午後受験がもっともハードなタイムスケジュールでした。事前の面談で、塾の先生に「午前と午後両方受験するのはどこか1日ならさほど支障はなく、2日間の予定ならばまあよくある。しかし3日間、午前・午後受験を繰り返すのは子どもの負担が大きいだろう」と伺っていましたがそのとおり。長年受験生を送り出している先生の言葉は確かなものでした。
そして2日目以降は、このタイムスケジュールの合間に、前日あるいは当日の合格発表、という心臓の痛い予定が入ってきます。どのような結果になっても、やるべきことを間違えないようにと、私は時系列でやるべきことをメモして持ち歩いていました。
実際に、「不合格のショックで、夫や先生に電話をして、後半の受験校について変更したほうがいいのかなどで頭がいっぱいになり、4日の受験校の出願締め切り時刻を過ぎてしまいました。血の気が引くとはあのことです」という保護者の方も。各校それぞれのアラームをセットするくらいの気持ちで、出願日時や入学金納入の締め切りについて、家族全員が注意しておくようにしましょう。
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2025年組もいよいよ本番です! ついに本番を迎えると思うと緊張するのは親でも無理からぬものです。
ですが、もちろん準備は抜かりなく、しかし一番大切なことは名セコンドとして子どもを温かくサポートして、ほっとする時間を作れることだと感じました。
難しいですけれども、子どもが力を出し切れるようにいいアシストを目指したいですね。全ての受験生が、全力を出し切ることができますように。心から祈り、応援しています。
撮影・取材・文/佐野倫子
『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』著:佐野倫子(イカロス出版)