ど根性アイドル・あっとせぶんてぃーん【こえび】メイド服を脱ぎ捨てる熱いライブがしたい!
大好評連載中:ROAD to LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)⑥
7月10日に浅草花劇場で行われた、セカンドシングル「アキハバラ・ラヴァーズ」のレコ発ライブで、圧倒的な熱量と真っ直ぐな気持ちをリリックに乗せ、ハートフルな歌声で観客を魅了したあっとせぶんてぃーん(以下:あっせぶ)。老舗メイドカフェ『あっとほぉーむカフェ』でお給仕に勤しみながら、アイドルとしても多忙な日々を送る彼女たちに密着した連載、『ROAD to LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)』も今回で6回目。
今回のパーソナル・インタビューは、グループの精神的支柱であるリーダーの “こえび” が登場。3期性としてあっせぶに加入し、グループの成長を客観的な視点で見つめてきたその心のうちと、LINE CUBE SHIBUYAを目指す現体制のあっせぶについて飾らない言葉で語ってくれた。
氣志團の早乙女 光とコラボレートしたレコ発ライブ
―― 氣志團の早乙女 光をゲストに迎えて行われた先日のレコ発ライブは、あっせぶの新境地ともいえるステージだった。早乙女とのコラボレーションは、あっせぶの魅力の根底にある、熱気あふれるエンターテイメント性を見事に開花させた。
こえび:レコ発ライブはすごく楽しかったです。早乙女 光さん(氣志團)にゲストで来ていただいて、私たちがこれまでやってこなかったライブの作り方を目の当たりにして、大きな刺激になりました。早乙女さんがあんなに踊ってくれるとは思わなかったです。ライブを盛り上げようとしてくれる気持ちが伝わってきて、すごく嬉しかったです。
―― 早乙女 光とコラボレートしたあっせぶのステージはエンタテインメントが溢れていた。フォーメーションの素晴らしさ、そして彼女たちが放つ “熱量” のベースには、リーダーこえびの存在は欠くことが出来ない。こえびの安定した存在感があって、メンバーそれぞれのパーソナリティが発揮できるのではないか。
こえび:それはあまり考えていないですね。ああしよう、こうしようとか私が指示するのではなく、みんな自由にやっています。自由にやりながら、今のあっせぶとしてまとまっているという感じです(笑)。ただ、まだ個性を出し切れていないメンバーもいるかもしれません。特に新しく加入したメンバーは、まだ恥ずかしがっているというか…。それぞれのキャラもありますが、飾らないで弾けている姿を見たいなとも思います。
今のあっせぶは私がリーダーで “つらら” さんがサブリーダーという体制なんですが、先日、彼女と占いに行ったんですよ。そうしたら “2人は夫婦” って言われました。運命共同体ということだと思います。だから何かあったら “私たちは夫婦だからね” と言って助け合っています(笑)。つららさんとは同期で、あっせぶの良い時も悪い時も見ています。ずっと一緒なので感じる部分も同じ気がします。
Photo by 平野タカシ
これまでにあった解散の危機
―― こえびは3期生としてあっせぶに加入。そこから7年のキャリアを誇る。この期間、あっせぶはどのように変化してきたのだろうか。あっせぶの遍歴は、こえびをはじめとするメンバーに自覚を促し、アイドルのパブリックイメージであるキラキラ感とは違う部分にグループとしてのプライオリティを見出している。それは試行錯誤を繰り返し、ツアーを重ねるロックバンドにも通じる泥臭さだ。
こえび:良い時よりも悪い時の方が多かった。だから、そう簡単にはへこたれないグループだと思っています。これまでに解散の危機もありました。本当に終わるのでは?と思った時が一度あって、自分で終わらせたいと思ったことも一度ありました。終わりにしようと思ったのは、ちょうど “かげとら” さんの卒業タイミング(2023年)でした。
それは、2019年に新体制の8人になって、その後いろいろあって7人に落ち着いた時期でした。だから、この7人の誰か1人でも欠けたらあっせぶは終わりだと私は思ってました。このメンバーがベストかなと。そこに、かげとらさんが卒業して6人に。さらに、“ももな” の卒業も重なって…。私はその時、いかにきれいにあっせぶを終わらせるかしか考えてなかったかもしれません。
立ち位置とか歌のパートを変えても、ファンの方は心配になりますよね。そんなことを考えていたら “解散するなら今がベストかも” という結論になりました。だけど、まだやりたいことがあるメンバーもいるし、そうもいかない。でもメンバー5人ではどうにもならない……。そんな状況でも続けるのならば、“ちなつ” に入ってもらいたいと思ったんです。あっせぶを救ってもらいたいという気持ちでちなつにお願いしました。
ちなつのことは、前に所属していた “めいどいん!”(註1)の定期公演を観てすごい成長を感じていました。それで、声をかけたら本人もすごく喜んでくれて。その時点ではメジャーデビューの話が決まっていたので、“お願い!あっせぶを助けてください!” と言いました。
あっせぶの救世主、ちなつの加入にこえびは泣いた
―― 新加入したちなつが初めてあっせぶの衣装を着た時、こえびは泣いて喜んだという。ちなつ、そして “なあな” の加入はこえびにとっても大きな刺激になった。
こえび:それはもう嬉しかったです。”これでもう一度あっせぶをやれる!” と思いました。その時のちなつは本当にキラキラしていました。その後、なあなが入って、もっと頑張らなくてはと思うようになっていきます。2人があまりにも偉すぎて。弱音も吐かないし、当たり前のように歌詞や踊りを覚えてくる。当たり前にできるというのはすごいですよね。尊敬します。
自分があっせぶに加入した時は、大人数のグループだったし、大役をつけられることがなかったんです。だから責任も感じない。いるだけでよかったんです。後ろで踊っているだけでマイクも持ったことがなかったし。だけど、ある時、対バンのライブがあって、出たい人は挙手制だったんですよ。そこで “出ます” と言ったのですが、ダンスのフォーメーションもイチから覚えなくてはならないという状況になって “初めてやるのに出来るわけがない!” とブチギレました(笑)。でも、後輩はみんなやっているんですよね。すごいです。
ファンの “お嬢様” は私を全肯定してくれる
―― ちなつ、そして、なあなが加入した現体制のあっせぶは順調なのだろうか。ライブを観て驚くことは、女性ファンが多いということだ。先日のライブでも “こえび” と書かれたペンライトを振る女性ファンの姿が目立った。
こえび:『あっとほぉーむカフェ』自体が “お嬢様”(女性客)人気が高いので、女性は多いかもしれません。私が好きになる同性のアイドルは、自分にない憧れの部分を持っているんですが、私にはみんなが憧れるものはない…。ただ、自分では分からないのですが、ファンの “お嬢様” たちは私を全肯定してくれる。だから、本当にみんなに救われています。
―― こえびは常に自然体だ。ライブのMCでも気負うことなく、素のままの自分で、飾らない言葉で話す。そこが一番の魅力なのかもしれない。
こえび:きれいごとは辞めました。怒られないようにコメントしなくては、などと考えた時期もありましたが、ここまで来たら何も言わせません!
綾小路 翔が私たちに寄り添ってくれて出来上がった「アキハバラ・ラヴァーズ」
―― 2ヶ月後に控えたLINE CUBE SHIBUYAについてはどんな風に思っているのだろう?
こえび:今日からちょうど2ヶ月ですよね(取材日は7月14日)。正直あせっています。これで大丈夫なのかと。私は1つのことが終わらないと次のことを考えられないので、レコ発ワンマンが終わってからLINE CUBE SHIBUYAのことを考えようと思っていました。だけど今週もレコーディングが3本。忙しさの中で、答えが出せず、正直なところ現実味がない部分もあります。会場には何回か行ったことはありますが、ステージからの光景は見たことがないので、怖いです。
―― 今までのエンタテインメントの歴史でLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)のステージに立ったアーティストは選ばれし少数しかいない。
こえび:そうですよね。だから今も自分たちが、このステージに立てるというのは誇りに思っています。『あっとほぉーむカフェ』に入った頃は、生まれ変わったらアイドルになりたいと思っていた程度でした。メイドになった1ヶ月後ぐらいにあっせぶのオーディションの誘いを受けて、それで “やってみるか” くらいに思って。
そんなメイドのこえびがあっせぶに加入して、 “これが人生だ” と思えるほど目まぐるしい変化と、リーダーとしてのやりがいを感じるようになりました。カワイイは “お屋敷” にいるメイドの時だけでいいんですよ。あっせぶではそれ以上のものを見せたいし、見てもらいたい。大人数の時は、今のような “熱さ” はなかったです。今の私たちはメイド服は着ているけれど、メイドのイメージとはかけ離れた熱すぎるグループになってしまいました(笑)
一方で、“お屋敷” のメイドとして私はずっと秋葉原にいます。この街の交差点を眺めていたりすると “ふぅー” っと一息つける感じがします。もう自分の街になっていますね。だから『あっとほぉーむカフェ』も自分の人生の一部として溶け込んでいます。そして、そこから生まれたあっせぶは自分の人生の一部です。大人数のグループからスタートして、紆余曲折ありましたけど、今の7人でメジャーデビューして、綾小路 翔さんから曲をいただきました。綾小路さんは私たちに寄り添って、私たちの世界観を見事に描いた曲をつくってくれました。それが「メイド in Nippon」であり、「アキハバラ・ラヴァーズ」です。
ファンは運命共同体 “ずっと一緒だよ”
―― こえびにとって、ファンは特別な存在だ。ファンの夢を背負ってLINE CUBE SHIBUYAを目指す。そしてその先には何が見えるのだろう?
こえび:ファンである “ご主人様” と “お嬢様” は運命共同体だと思ってます。もう自分だけの人生ではないし、あっせぶのこえびとして、みんなの夢も背負っているわけなので。だから “ずっと一緒だよ” という感じです。そして、LINE CUBE SHIBUYAが成功しても、私たちは、そこでやり切ったとは思わないです。それは断言できます。この7人で頑張れそうだという確信が強くなるので、もっと上を目指していくと思います。FRUITS ZIPPERさんだってアリーナ級のコンサートをやってますから、私たちもそうならないとですね。原宿系が出来るならアキバ系もやらなきゃです!
私は、きれいな言葉で皆さんに伝えることができませんが、今までのあっせぶの全てがここに繋がっているんです。ここが一番の晴れ舞台だと思っているので、まずはLINE CUBE SHIBUYAを満員にしないと先が見えないでしょう。9月14日は良い日にしたいです。
註1:めいどいん!はあっとほぉーむカフェ17周年を記念して作られたグループ。あっとせぶんてぃーんもこのグループの1ユニットとして所属し継続していた。メンバーのちなつは、あっとせぶんてぃーん加入前 “めいどいん!” に大阪メンバーとして所属していた。
Information
あっとせぶんてぃーんワンマンライブ
Road to 2000 Tokyo Fight 1/1 Bounce Back!!
▶ 開催:2025年9月14日(日)
▶ 場所:LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
▶ 詳細:ワンマンライブ特設サイト
https://2000tfbb.bitfan.id/