健人、川上将大ら米米フレンズも登場、新米・神戸セーラーボーイズが挑む『米ステ』シリーズ最新作はパンと饅が食卓をかけて対決!
神戸セーラーボーイズ 定期公演vol.4 RICE on STAGE「ラブ米」~Golden wheat~
2025.3.14(FRI)~16(SUN) AiiA 2.5 Theater Kobe
神戸を拠点に活動している演劇ユニット「神戸セーラーボーイズ(以下、神戸セラボ)」。4回目の定期公演『神戸セーラーボーイズ 定期公演vol.4 RICE on STAGE「ラブ米」~Golden wheat~』が3月14日(金)よりAiiA 2.5 Theater Kobeで開幕した。今回は初の東京公演もあり、3月23日(日)からはMixalive TOKYO 6F Theater Mixaで上演される。
『RICE on STAGE「ラブ米」』とは、お米を擬人化したキャラクターが登場する短編TVアニメ『ラブ米 -WE LOVE RICE-』を原作とした舞台化作品で、2017年11月に初の舞台化。以降、毎作品糠を削る熱いストーリーを炊き上げている。本公演の『「ラブ米」~Golden wheat~』は、関西代表の座をかけたお米とパンの穀物対決! さらに西の大陸から中華饅頭が侵食……。饅を持して登場した小麦たちと新米が加わったお米たち。耕運の女神は一体どちらを頬張るのか…。
プロローグでは関西稲穂学園の校長・亀ノ尾がこれまでの流れを全部説明してくれる。初めて観る人もすぐにその世界へ入れるだろう。そして本編は関西稲穂学園のスペシャルユニット6名が登場。日本晴(吉澤 翼)を筆頭に、てんたかく(中三川歳輝)、風さやか(大見洋太)、そして本公演のために新たに生まれたキャラクターである新米、神戸セラボの石原月斗扮する姫ごのみ、髙山晴澄扮するさとのつき、田中幸真扮するぴかまるが元気よくパフォーマンス。まるで沸騰した釜の中で舞う米のように、ステージ上で躍動する関西稲穂学園の面々。オープニングから炊き上がっている。
パンのハーベスター「イーストキング」は、リーダーのANN(アン)を細見奏仁、CARRY(キャリー)を明石侑成の神戸セラボの二人が、SHOCK(ショック)を柊木智貴が演じる。イーストキングの3人はベタな関西稲穂学園とは対照的に、クールでオシャレで堂々とした佇まい。関西稲穂学園のメンバーに「グルメたちが心を奪われる気持ちがわかる」と言わしめた、爽やかなダンスも見せた。
稲陸中心のユニットST☆RICEは、『米ステ』シリーズでおなじみのネリカ(健人)、平山(川上将大)、キヨハタモチ(北乃颯希)だ。3人は息の合ったステージングで魅了する。そこへ関西稲穂学園、イーストキングも加わり、早くも火力は最大に。なおかつ平山とキヨハタモチは笑いにも貪欲だ。二人は後々、見事な怪演も見せるので、ぜひ期待してほしい。
本公演で台風の目となるのが「食」の龍(ロウ/津山晄士朗)、豆沙(トーサー/中川月碧)、蓮蓉(リェンヨン/崎元リスト)だ。いずれも神戸セラボのメンバーが扮し、まずは蓮蓉役の崎元が啖呵を切って登場。龍役の津山は謎めいた雰囲気を醸し出し、豆沙役の中川はパワフルな声色で存在感を示した。イーストキングと食による小麦と小麦のプライドをかけた戦いが勃発。その様子を劇中歌で表現する6人。舞台は次第に熱気を帯びていった。
さまざまな思惑が交錯する中、合鴨ブラザーズの弟鴨役の福島海太と、グリーンウッドのデビー役の奥村頼斗、ビル役の髙橋龍ノ介が水先案内”鳥”となって物語の方向性を示してくれる。3人が列をなして客席通路を通過していく姿は微笑ましく、神戸セラボの奥村と髙橋がしっかりと福島の背中についていく姿は親子鴨の行列のようだった。
大団円を迎えたラストシーンは、俳優全員による群舞で締めた。ステージいっぱいに広がり、舞う姿は「かっこいい」の一言。本編では「なんか観たことある……」と思うようなシーンを次から次へと展開し、言葉遊びも頻発。終始、笑いの絶えない『米ステ』ワールドで熱く炊き上げた。
第二部の感謝祭では、米米フレンズの吉澤 翼、健人、大見洋太、中三川歳輝、川上将大、北乃颯希、福島海太によるハーベストショーから始まった。『米ステ』の世界観そのまま引き継ぎ、躍動する彼ら。芝居と同じ熱量で魅せた。
先輩ゲストたちのバトンを受け取り、セーラー服姿の神戸セーラーボーイズが登場。『米ステ』直後と、芝居の勢いがついているためか、定番曲の「ボクラカラー」はいつも以上に元気いっぱいだ。曲中、新メンバー3人のお披露目もあり、客席通路から飛び出してきた! 新メンバーは、17歳・高校2年生の大熊蒼空(おおくまそら)と、14歳・中学2年生の日陽龍之介(ひなたりゅうのすけ)、そして12歳・小学6年生の山本歩夢(やまもとあゆむ)。3人は堂々としたパフォーマンスを見せた。本公演をもって明石侑成、奥村頼斗、リーダーの中川月碧が神戸セーラーボーイズを卒業する。新メンバーが加わった13人の神戸セラボが観られるのも、この公演が最初で最後となった。
「マシュマロマンティック」では明石、奥村、中川がセンターというフォーメーションにもぐっと来る。中川はすべての感情を凝縮したような力強いダンスで彩り、明石は愛らしい笑顔を絶やさず、奥村はその美声で会場を覆いつくした。そして最後は米米フレンズも加わって「浪漫飛行」を披露。ライブパートでもキャストの客席降りが多発、アツアツに炊き上がってしまうことうけあいだ。
取材・文=Iwamoto.K 撮影=福家信哉