のび太君を助けるドラえもんのような関係性を目指す。AI・ロボティクスで創る未来は効率よりも思いやりを重視する<avatarin株式会社 深堀 昂さん>【東京都中央区】
「困ったときに、そっと手を差し伸べる存在でありたい」――AI・ロボティクス技術を活用し、人と人をつなぐサービスを提供するavatarin株式会社(アバターイン)。代表の深堀 昂さんがAI・ロボティクス技術を用いて目指すのは、効率ではなく、思いやりあふれる社会です。
のび太君を助けるドラえもんのように、AI・ロボティクスが人を支える未来。その挑戦の背景にあるストーリーと、描く未来図をひも解きます。
より多くの人を助けたい――航空業界からスタートアップへ
AI・ロボティクス技術を使用して「困った人を助ける」サービスを提供しているavatarin(アバターイン)株式会社(以下、アバターイン)。
「問題解決ができる人と問題が起こっている場所をAI・ロボティクスを使ってつなげることで、社会課題の一つである人材不足の解消に貢献したい」と目標を掲げています。
小さいころから、両親の仕事で飛行機に乗る機会が多く、飛行機が好きで、ANAへ就職した深堀さん。「当時の、”世界の人々に『夢』と『感動』を届けます。”という企業理念に感銘を受け入社したのですが、社内資料をあたって自身で試算したところ、飛行機を利用しているのは全世界の人口のおよそ6%ほどだったことを知りがく然としたんですよ。だったら世界中の人々に夢と感動を届けられないでしょ?って」と深堀さん。
その思いを胸に、2020年にANAホールディングス発のスタートアップとしてアバターインを創業。「困った人を助ける」サービスを実現するため、AI・ロボティクス技術の開発に乗り出しました。
「人と人」また「人と人類の素晴らしい能力の数々」をつなぐ技術。人材不足の社会課題に取り組む
アバターインが提供するのは、人と人の能力をつなぐ画期的なサービスです。
「世の中の多くの課題って、解決できる人は世の中のどこかにいるんだけども、その問題が起こっている場所に解決できる人がいないってことだと思うんですよ。それを解決できればより多くの人を救うことができる」と、深堀さんは事業の原点について話します。
物理的に離れた場所にある、別の存在に乗り移って、情報や人の能力を搭載することで、「人と人」また「人と人類の素晴らしい能力の数々」をつなぎ、だれもが、いつでも、どこでも助け合えるサービスを展開することで、人材不足の社会課題に取り組んでいます。
具体的には、遠隔からお客様をサポートする接客AIサービス「avatarin」や、遠隔地を自由に動きまわり自分の目で見て話すことができる、コミュニケーションに特化したコミュニケーションAIロボット「newme(ニューミー )」を開発しています。
効率<思いやり。のび太君を助けるドラえもんの関係性が登場するのは遠くない
深堀さんが目指すのは、単なる効率化ではありません。「おもてなしの心」をテクノロジーでかたちにすることです。
「日本っておもてなしの文化が売りですよね。それが人材不足によって接客も簡略化され、生身の人間であっても『ありがとうございました』の一言もいわないとか、ぼーっと立っているだけとか。だったら、ロボットがお客さまの様子を読み取って、『今日のメニューは何ですか?』『お客さまはお肉が好きですよね』って接客をした方がいいって思うんです。」
これがアバターインが目指す技術だと深堀さんは語ります。
深堀さんの目指す未来は、のび太君とドラえもんのような関係性そのもの。「近い未来、そんな世界が、割と近い未来に当たり前になる」と確信しています。
AI・ロボティクス技術で、人の可能性を広げ、思いやりをかたちにする。アバターインの挑戦は、これからも続きます。
※写真はすべて事業者からの提供
聞き手、書き手 田口有香