「新しく見えるものが本当に新しいかは別問題」作家・適菜収が東京都知事選挙を振り返る
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、7月10日の放送に作家の適菜収が登場した。適菜は先月、新刊『続 それでもバカとは戦え』を発売している。放送では今回の東京都知事選挙について語った。
大竹まこと「『続 それでもバカとは戦え』、“続”とあります。1冊目が売れたと解釈していい?」
適菜収「『日刊ゲンダイ』の連載をまとめただけなので自動的に出てきたのかなと(笑)。この本はいま、売れているみたいです」
大竹「過激なことがたくさん書いてありますが。7月7日、都知事選が終わりました。適菜さんは振り返って、どんなお考えですか?」
適菜「事前の予測どおりというか、小池百合子さんが勝利しましたね。組織票を持っていれば、あれだけ集めるのは当然かなと思いますね。ただ予想外だったのが、石丸伸二さんが2位でしたね。石丸さんの動画がYouTubeとかにあるんですけど、普通の会話が成り立たない人ですよね。ただのヤバい人じゃないかと思うんですけど、彼も地元で選挙ポスターの未払い問題があったり裁判で負けていたり、変わった人だなという感じはあります」
大竹「うん」
適菜「彼も組織的に支援されていました。石丸さんの裏にいたのも自民党関係者であるなど。石丸さんの選対本部長は萩生田光一主宰の自民党政経塾の小田(全宏)さんという人なんですね。組織票なしで戦った、といっても自民党であったり、萩生田光一であったりがいる。(2位という結果は)どこが評価されたのかわからない、怖いです」
大竹「石丸さんは既存メディアをあまり信用していなくて、ネットを中心に活動して、それが30代、若者たちにアピールできたのでは、といわれています」
適菜「新しく見えたんでしょう。でも新しく見えるものが本当に新しいかはまた別の問題で。じつは古いものが新しい衣装を着て現れているだけかもしれない。ちゃんと吟味しないといけない、ということですね」
大竹「小池さんの場合は以前、7つの0(ゼロ)を公約に掲げていましたが、この辺の検証などはあまりされなかったようですね」
適菜「そうですね。質問に答えることから逃げ回っていましたから。ちゃんと見ると実現は0だったんですね。達成は0」
水谷加奈「ペットの殺処分0や満員電車は減った、と理解するのは違いますか?」
適菜「違います。ネット、SNSで『ペットの殺処分0は実現した』という声が多いんですけど、たとえば2018年度に犬やネコがおよそ150匹殺されているんです。からくりもすごく簡単で、殺処分0に含む対象は譲渡ができる状態の動物、というだけなんです。要するに定義を変えているだけ。基準や定義を変えてしまえばなんでも0にできるわけです」
大竹「なるほど」
適菜「そういうことをずっとしていた。都道の電柱0、待機児童0、ああいう説明も、ほぼ定義を変えたりカウント方法を変えたりしているだけ」
大竹「水谷の言った満員電車は、コロナで(人が)減って、そのあとまた満員電車になっているっていう」
適菜「電柱も減っているけど0というのはウソですよね。場所を限定して『ここでは0』といっても、公約でそんなことは言っていないわけで。あとからそういうふうに話をごまかす。達成0について記者から説明されると、ずっと論点をずらす、はぐらかす、まったく関係ない話を始める。めちゃくちゃやっていましたね」