受診のタイミングに注意!「インフルエンザ」特有の2つの症状と予防策とは
これからの季節に増える感染症のひとつといえば、インフルエンザです。感染を避けるためには、また、感染した場合にはどのようなことに気をつけるとよいのでしょうか。今回は、きくち総合診療クリニックの理事長である菊池大和先生に「インフルエンザの症状の特徴や治療法、予防策」について教えていただきました。
教えてくれたのは……菊池 大和先生
医療法人ONE きくち総合診療クリニック理事長 菊池 大和先生
平成29年4月11日に「きくち総合診療クリニック」を開院し、令和元年に医療法人ONEを設立。「病気を診て、人を診て、一人でも多くの命をやさしく包み込む医療を提供する」ことを診療基本理念としている。
これから流行する兆しの「インフルエンザ」症状の特徴と治療法
毎年寒くなると、流行のピークを迎えるインフルエンザ。現在の感染状況と症状の特徴、治療法について、菊池先生に伺いました。
菊池先生:インフルエンザは、現時点ではまだ感染者数が少ない状況です。しかし、どの感染症にも言えることですが、寒くなって乾燥する季節になると流行すると考えられます。11月ごろから少しずつ増え始め、1月から2月ごろにピークを迎える傾向があります。これから急激に気温が下がってくる時期になるので、注意が必要です。今年は例年よりも流行の時期が早まることも予想されます。
症状の特徴と治療法
・急激に高熱(38度以上)が出る
・関節痛、全身の筋肉痛
菊池先生:咽頭痛、鼻水、咳などの一般的な風邪の症状と変わらない方もいらっしゃいますが、インフルエンザ特有の症状として、上記の2つが挙げられます。急に高熱が出た場合は、インフルエンザの可能性を疑ってもよいかもしれません。
治療法としては、症状に応じた対処療法の薬を処方することもありますし、インフルエンザのウイルスの増殖を防ぐ抗ウイルス薬を処方することもあります。抗ウイルス薬は発症後48時間以内に服用することで、発熱の症状の期間を短くするなどの効果が期待できます。
受診のタイミングに注意
菊池先生:発熱後すぐの受診では、検査結果が不正確な場合があります。まずは1日暖かくして十分に休息を取り、その後1日経過してから医師の診察を受けるようにしましょう。
インフルエンザを予防するために意識したいこと
これから流行が予想されるとなると、気になるのが対策方法です。昨シーズンは学級閉鎖が多かったとニュースでもよく耳にしましたが、どのようなことに気をつけるとよいのでしょうか。
菊池先生:お子さんがいるご家庭では、インフルエンザは学校でもらってくるか、家庭内でうつるかがほとんどですよね。
ほかの感染症と同様に、手洗い、うがい、マスクの着用、机やドアノブなどよく触れる場所の消毒、こまめな換気など、基本的な予防策をしっかりと行うことが大切です。お子さんが外から帰って来たら、いろいろなところに触れる前にすぐ石けんで手洗いし、うがいをする習慣をつけられるとよいですね。ゲーム機やスマホにもウイルスがつくので要注意です。
どのウイルスにも共通していますが、免疫力が低下すると感染しやすくなります。そのため、十分な睡眠と栄養を摂取し、疲れを溜めない生活を送ることが重要です。
最近話題のインフルエンザワクチン「フルミスト」とは
感染や重症化の予防に有効だとされるワクチン接種。注射ではなく、鼻腔内に噴射するタイプの新しいインフルエンザワクチンとして「フルミスト」が話題になっていますが、どのようなものなのでしょうか。
菊池先生:アメリカでは、20年ほど前から行われているワクチンです。直接鼻に入れるため、鼻水、咽頭痛、咳などの副作用が生じる可能性もあると言われています。
当クリニックでは現時点では導入を見合わせていますが、通常のワクチンとは違い、お子さん(2歳以上から接種可)でも1回の接種でよいことや、効果が1年間持続するといったメリットがあります。注射を嫌がるお子さんなどには適した選択肢のひとつになるかもしれません。
高熱でつらそうな子どものケア方法
最後に、子どもが高熱で寝苦しそうなときのケアについて教えていただきました。
菊池先生:首、脇、鼠径(そけい)部の3点を冷やすことがポイントです。氷のうをあてる、冷却ジェルシートを貼るなどで対応してあげるとラクになると思います。家庭内感染を防ぐのは大変だと思いますが、看病する側も疲れを溜めないようにしてくださいね。
shukana/webライター