忙しい司書教諭 図書館業務の時間がない
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今日は学校の先生についての話題です。
司書教諭 8割が「活動時間がない」
先月、文部科学省が公表した、2024年度の教員採用試験の採用倍率は、前の年度と比べて0.2ポイント減り3.2倍と過去最低になりました。こうした教員のなり手不足の理由として指摘されるのが、長時間労働の問題です。
学校には、学校図書館の中心的な役割を担う教員「司書教諭」という教員がいて、学校図書館を授業の中で使ってもらうためのコーディネーターのような役割なんですが、先月発表された別の調査結果では、この司書教諭について、多くの学校で「図書館の仕事をする時間がない」状況だと分かりました。調査をした全国学校図書館協議会 竹村和子さんのお話です。
全国学校図書館協議会 竹村和子さん
ここ数年じゃなくて、ずっと司書教諭は大変です。学級担任、クラス担任、教科担任、そういう先生方が兼務しているということがあるので、例えばクラスに何かがあると、そっちをどうしても優先する。となると、学校図書館の司書教諭としての仕事の時間がなかなかとれない。例えば、今回の調査ですと、活動時間の確保、要するに「司書教諭として学校図書館のことができるよっていう時間の確保がある」と回答しているのが、小学校で15%、中学校で12.6%、高等学校で15%と、2割に満たないんです。ですので8割が「活動時間がない」という回答をしています。
司書教諭は、教員免許に加えて、司書教諭の資格が必要です。学校図書館法では、12学級以上ある学校では、必ず「司書教諭」を置く義務があると定められています。ただ調査の結果、司書教諭がクラスの仕事や教科の仕事も兼務しているため「図書館の仕事をする時間がない」という学校が多いという結果が出ました。
子どもたちに影響も
司書教諭に加えて、専門的な知識・経験を有する学校図書館担当の事務職員「学校司書」が配置されている場合もありますが、司書教諭が、司書教諭としての仕事をできないことによる影響や、海外との比較について再び、全国学校図書館協議会 竹村和子さんに伺いました。
全国学校図書館協議会 竹村和子さん
結局、司書教諭として活動時間がないということは、子どもたちの読むこと、学ぶことにサポートするための時間がない。本のこともそうだし、学びに向かうワークシートを作るとか、そういう授業の打ち合わせをするとか、そういう時間がとれないということなので、子どもたちに大きく影響してくるということです。本来、専任でいないと、ますます今求められている教育を進めていくのであれば、司書教諭と学校司書が車の両輪となっていなければ、そして子どもたちのために学校図書館教育を推進していくことができなければならないところであります。アメリカはちゃんとティーチャーライブラリアンがいます。だからティーチャーライブラリアンがなぜ他のことをやるのか。なぜ日本のように先進的なところに専任のティーチャーライブラリアンがいないのかということは、他の海外の先生たちからは言われます。
専任の司書教諭=ティーチャーライブラリアンを置いている海外の方からは「司書教諭がなぜ生徒指導までするのか」と言われたそうです。
現役の司書教諭は
一方、国内の一部の学校では、司書教諭が司書の仕事をする時間を確保するための対策も徐々に進んでいるといいます。都内の公立小学校の現役の司書教諭に話を聞きました。
都内の公立小学校の現役の司書教諭
司書教諭に対する授業軽減っていうのが2時間は認められているので、本校でその制度を活用して補充をしてもらえるようになったのは、ここ数年のことなので、以前その補充も無くやっていた頃に比べると、まだいいのかなという感じです。学校には、非常勤の先生とか講師と言われる先生方がいらして、その先生が自分の受け持っている授業のうちの2時間分を受け持ってくれる。その間、司書教諭は2時間の空き時間ができる。そこで、図書館業務を行うというものです。なので、司書教諭ひとりに負担を与えずにいく仕組みが整うといいのかなと思っています。
話を伺った司書教諭の方も、もうずっと担任をしているそうで、「いろんな仕事に追われている」「休日の方がゆっくり仕事ができる」というちょっと矛盾した、驚きの言葉がありました。そんな中でも、週に2時間は、図書館業務に専念できるようになったそうです。
また、この先生の勤務する小学校は、他の学校に比べると図書館に力を入れていて、学校にいる司書教諭2人を中心に「チーム」で仕事ができているそうなんですが、他の学校の話を聞くと、司書教諭が1人で対応していて手が回らないというところが多いそう。すぐに教員を増やすことは難しくても、司書教諭だけに負担を与えすぎない環境づくりが必要だと話していました。
先生はどこも今大変ですが、子どもたちの教育にもとても大事な司書教諭の環境、少しずつでも変わってほしいですね。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:西村志野)