キャンプ場・登山で流れ星!! 7月中旬~8月中旬に活動【みずがめ座δ南流星群2025】ピークはいつ・どこを見るといい?
夏祭りや花火大会、キャンプなど、楽しみがいっぱいな夏の夜。
かの清少納言も『枕草子』で「夏は夜」と書いていますが、夏の夜は蛍や花火、祭りの提灯に星と、宵闇に輝く数々の光に魅せられます。
7月から8月にかけては、みずがめ座δ(デルタ)南流星群や3大流星群のひとつ「ペルセウス座流星群」が見ごろを迎えます。
家族や恋人、大切な人と流れ星を探す夏の夜もまた思い出に残りそうです。観察のポイントを富山市科学博物館の学芸員さんに聞きました。
流れ星って…えっ「星」じゃない?
流れ星って、絵本や映画などではよく見ますが、どんなものか知っていますか?
よく知っているという人は、飛ばして読んでください。
流れ星の正体は「チリ」
実は、流れ星は、いわゆる「星」ではありません。
宇宙空間にただよう砂のような小さい粒(固体粒子/流星物質)がもとで、そのなかには、ほうき星(彗星)が残したチリ(固体粒子)がもとになっている流れ星もあります。
その小さな粒が地球に近づいて地球の大気と衝突すると、高温になって光を放ちます(プラズマ発光)。この発光が、私たちが流れ星として見ている正体です。
粒の大きさは、直径わずか1mmから大きくても数cm。とっても小さいのに、きらっと輝いて見えるんですね。
流星群が見られる時期は毎年ほぼ同じ
では、多くの流れ星を見ることができる流星群とは、いったい何なんでしょうか?
地球が太陽の周りを回っている道(公転軌道)と、小さなチリをまき散らしていくほうき星(彗星)の通り道が交わる時、たくさんの流れ星を見ることができます。これが流星群とよばれているものです。
地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年ほぼ決まっているので、特定の時期に特定の流星群が出現するというわけ。
おもな11の流星群と3大流星群
国立天文台がおもな流星群として挙げているのは、次の11の流星群です。
しぶんぎ座流星群(12月28日~1月12日)こと座流星群(4月14日~4月30日)みずがめ座η(エータ)流星群(4月19日~5月28日)みずがめ座δ(デルタ)南流星群(7月12日~8月23日)ペルセウス座流星群(7月17日~8月24日)りゅう座流星群(10月6日~10月10日)オリオン座流星群(10月2日~11月7日)おうし座南流星群(9月20日~11月20日)おうし座北流星群(10月20日~12月10日)しし座流星群(11月6日~11月30日)ふたご座流星群(12月4日~12月20日)
このうち、安定的に多くの流れ星をみることができる3大流星群は・・・
しぶんぎ座流星群ペルセウス座流星群ふたご座流星群
それぞれ1時間あたりに、しぶんぎ座流星群は30個、ペルセウス座流星群は40個、ふたご座流星群は60個程度の流れ星が見られると言われています。
(※月明かりや街の灯りの影響を受けないなど条件が整った際に見える数です)
7月下旬にピーク! みずがめ座δ南流星群
みずがめ座ってどんな星座?
星占いなどで知られる12星座は、太陽が天球上を移動する際に通過する12の星座(黄道12星座)を用いたものです。
おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座。星占いでよく耳にしますよね。
みずがめ座は黄道12星座の第11番目の星座です。
ギリシア神話では、大神ゼウスが愛娘のヘーベの代わりとしてさらった美少年ガニメーデスがかつぐ水瓶とされています。
秋の宵空で見やすい星座ですが、目印となるような明るい星がないので探すのが少し大変。秋の四辺形と、南に位置するうお座の1等星フォーマルハウトの間を探すと見つけやすいですよ。
みずがめ座δ(デルタ)南流星群の“デルタ”って どういう意味?
実は「みずがめ座」と名のつく流星群は、7月末にピークを迎える「みずがめ座δ(デルタ)南流星群」のほかに、5月ピークを迎える「みずがめ座η(エータ)流星群」があります。
このηやδは星につける符号です。
星の呼び方のひとつに「バイエル符号」というものがあり、星座名の後ろにギリシャ文字をつけて「○○座α(アルファ)星、β(ベータ)星、γ(ガンマ)星…」などとよびます。
みずがめ座流星群は、放射点(流星が、そこから放射状に出現するように見える点)が「η星」付近か、「δ星」付近かで区別しているのです。
みずがめ座δ(デルタ)南流星群は、北群と南群に分けられる場合もありますが、現在は、南群だけがほぼ観察されていて、南群だけを「みずがめ座δ流星群」と呼ぶこともあります。
流星のピークは 7月31日
見ごろは深夜から未明
みずがめ座δ南流星群は一般的に7月12日~8月23日にかけて出現します。
流星群自体が最も活発になるのは、2025年は7月31日ごろ。ほぼ一晩中観察できますが、放射点が少し高くなる23時頃からが好条件です。
実際に見える流星の数は、空の暗い場所で1時間あたり5個程度と予想されます。3大流星群と比べると少ないですが、それでも単純計算でおよそ12分に1つの流れ星が見られるということ(※等間隔で流れるわけではないので、あくまで目安です)。
せっかくの夏休み、少しぐらいの夜更かしは許されるのなら、チャレンジしてみてもいいかもしれませんね。
どっちの方向を見ればいい?
7月31日、みずがめ座は深夜から明け方にかけて南東の方角に見えます。
23時以降、秋の四辺形(ペガスス座の胴体部分を形作る4つの星の並び)を目印にするといいでしょう。
流星は、放射点を中心に放射状に出現します。ただし、放射点付近だけでなく、空全体に現れます。方角は関係ないので、なるべく空の広い範囲を見渡すようにしてください。
また、屋外の暗さに目が慣れるまで時間がかかるので、最低でも15分ほどは観察を続けるとよいでしょう。まちの灯りがあると観察しづらいので、それらの光が邪魔しない方向を見るのがオススメです。
観察に必要なものは?
みずがめ座δ南流星群は、流れ星の数は少ないので観測しづらいですが、望遠鏡や双眼鏡などの特別な道具は必要ありません。肉眼で観察できます。
ただし、あると便利なのは、星座早見盤。
日が暮れると東の空に夏の大三角、南の空にはさそり座が見える季節。星座や星を調べることで学びや発見も広がります。星座アプリも便利に活用できますよ。
暗い場所で観察することになるので、車に気をつけるなどくれぐれも安全の確保と、他人の迷惑にならない場所を選ぶようにしてください。
富山市科学博物館では寝転んで楽しめるプラネタリウムがありますし、1年を通して「星空観察会」も実施しています。
天文に興味を持ったら、ぜひ富山市科学博物館に足を運んでみてくださいね。
【富山市科学博物館】
住所 富山県富山市西中野町1丁目8-31
営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)