『三Fストリート』って知っとう?三宮センター街に完成した癒し空間。学生らが10年越しに制作 神戸市
2026年に80周年を迎える、神戸っ子お馴染みのアーケード商店街・三宮センター街。そこに新たに完成した癒し空間『三Fストリート』をご存じですか?神戸の学生たちが10年かけて作った、誰もが気軽に立ち寄れる“居場所”とは…実際に行ってその魅力を体感してきました!
三宮のど真ん中、センター街にある思わず立ち寄りたくなる不思議な空間、その名も「三Fストリート(さんエフストリート)」。その名前には、三宮の「三」と、“Forest For the Future(未来のための森)”という意味が込められているそう。
木材がふんだんに使用され、都会の真ん中にいるのにほっこりと落ち着くような異空間。「森で動物たちが集い、くつろぎ、賑わうように──この場所が人々の交流の場となり、神戸の未来につながる出来事がここから生まれるように」という願いから、交流の“場”を目指してつくられたこの場所。実は10年越しのプロジェクトだというのだから驚きです。
このプロジェクトが始まったのは2015年。ジュンク堂前にあるこの「Loop&Loop」という空間から最初の設計がスタートしました。
2016年に完成したこの「Loop&Loop」というエリアですが、実は当初、たった3か月限定の企画だったのだそう。「気づけば地域の皆さまに長く愛される場所に育ち、昨年ついに全9エリアが完成しました」と語ってくれたのは、神戸・三宮センター街1丁目商店街振興組合 まちづくり担当の井上 小矢香さん。
その後地域の方々や来街者による利用も広がり、2024年、ついに全てのエリアが完成。神戸・学園都市にある神戸で唯一の芸術系大学「神戸芸術工科大学」の学生たちと一緒に、設計から施工までを行いながら一歩ずつ形にしてきたそうです。
プロジェクトに参加した学生たちにとって、この経験は何より大きな学びの場になったといいます。「自分のアイデアが街の中に形として残り、多くの人に利用されている。この経験が、今の仕事に活かされていると話してくれる卒業生もいます」と井上さん。
昼間は授業、夜は現場での作業と、忙しい合間を縫いながら続いた作業。今年4月には当初より関わった卒業生たちも集まって完成記念の式典を開催、10年の歩みを振り返る感慨深いひとときになったそうです。
この三Fストリートの面白いところは、エリアごとに全く異なる表情を持っていること。そしてそのデザインはすべて学生たちによるものというところなんです。
実際椅子に座ってみるとそれぞれの空間によって時間や景色の感じ方が全く違うのも新鮮。しかし木に囲まれているせいか、どのエリアでも落ち着いたリラックスタイムを過ごすことができるのが印象的です。
現地に行けばそれぞれの空間に込められたテーマを紹介する案内板もあり、ただそこで過ごすだけでなく、空間を知り・感じる「体験」を楽しむこともできます。「日によって、気分によって、天気によって、使いたい空間を選んでみてください。想像しながら楽しんでもらえるとうれしいです」と井上さんは語ります。
実際に筆者が訪れたときも、仕事の合間のランチタイムを過ごす人や読書をする人、会話に華を咲かせる学生さんやはたまたパソコンを開くビジネスマンなど、様々な人が思い思いの時間を過ごしていました。
「三宮センター街」というと人で賑わい刺激的で、いつもどこか急ぎ足になってしまうイメージ。でもその中にこんなにもホッとできる空間があることに驚いた人も多いのではないでしょうか。実際に利用すると、多くの人の憩いの場として愛されているのが伝わってきます。
「これからも、街の中の“憩いの場”として、たくさんの人に気軽に使ってもらえたら」という井上さんの言葉通り、ショッピングの合間に、勉強の息抜きに、友達との待ち合わせに…。三Fストリートは、今日も変わらず、誰かの日常のひとコマをそっと支えています。
場所
三宮センター街 三Fストリート
(神戸市中央区三宮町1丁目 )