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なぜ「キャリア志向なし」の新入社員が過去最高の割合か? 会社に求められるキャリア形成支援

月刊総務オンライン

なぜ「キャリア志向なし」の新入社員が過去最高の割合か? 会社に求められるキャリア形成支援

ALL DIFFERENT(東京都千代田区)の研究機関であるラーニングイノベーション総合研究所は6月16日、2025年度新入社員のキャリア志向についての調査結果を発表。「キャリア志向なし」の割合が過去12年間で最高だったことを明らかにした。

過半数がキャリア形成支援として「上司に相談できる機会」を希望

将来、会社でどのような役割を担いたいかを聞いたところ、トップは「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい」(専門家)で27.0%。次に「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい」(管理職)が25.2%で続く。

そして、23.5%は「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」と考えており、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」という人が23.3%いる。

新入社員が将来会社で担いたい役割(※画像クリックで拡大)

キャリア形成支援として会社に期待することとしては、半数以上が「上司に相談できる機会をつくってほしい」と答えている。

新入社員がキャリア形成支援について会社に期待すること(複数回答、N=3931)

 ・上司に相談できる機会をつくってほしい 54.3%

 ・キャリア形成についてのセミナーや勉強会などを開催してほしい 36.8%

 ・上司以外の社員に相談できる機会をつくってほしい 33.7%

 ・社外の人の意見を聞ける場を設けてほしい 25.4%

 ・会社に期待するものではないと考えている 6.4%

管理職を選んだ理由として「仲間と仕事をするのが好き」が上昇傾向

将来で担いたい役割で管理職を選んだ人は、男性の方が女性よりも13.7ポイント高い。リーダーになりたい理由として、34.6%が「仲間と仕事をするのが好きだから」と回答しており、11年前より10ポイント以上増加していることがわかった(23.7%、2014年度)。

約2割が「将来経営層として会社を引っぱっていきたいから」(21.8%)を選んでいるが、2014年度(37.5%)と比べて15ポイント以上減少。最多は「人を束ねて、大きな仕事をしてみたいから」の36.6%で、12年間で最も高い数値となった。

管理職になりたい理由(※画像クリックで拡大)

専門家を選ぶ人の男女差は小さいが、ゆるやかな減少傾向

専門家を選んだ人の男女差は、ほかの4項目に比べて4.3ポイントと最も小さい。なりたい理由として、過半数が「いざというときに専門性を生かして仕事をしていきたいから」(55.2%)と回答。少数派だが、マネジメントが自分には不得手だと感じる(4.2%)ことや、1人で仕事をするのが好き(2.9%)を理由として挙げた人もいる。

「専門家としてひとつの分野を追求してみたいから」と答えた人は37.3%。減少傾向にあったが、2023年度以降は増加に転じている。

専門家になりたい理由(※画像クリックで拡大)

ただ、専門家を選んだ人の割合は、過去12年間で最も低い。ゆるやかな減少傾向にあり、11年前と比べると9.4ポイント下がった。

一方、増加傾向を示しているのが、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」と考えている人で、その割合は2025年度に過去最高を記録した。「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」という人も、過去12年間で約6ポイント増加(5.9ポイント)。

同調査では、VUCA時代において新入社員も、学生時代からニュースやSNSを通じて不確実性を感じ取っており、将来の見通しが立てにくいのではないかと分析している。

新入社員が将来会社で担いたい役割(経年比較、単一回答)(※画像クリックで拡大)

ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員意識調査2025(3933人のキャリア志向編)」は、3月25日から4月24日の間、同社が提供する新入社員研修に参加した 2025年度入社の新入社員を対象に実施。サンプル数3933人。調査の詳細は同社公式リリースにて確認できる。

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