【えっ?】かどや製油、驚異的なミルクコーヒーの飲み方を公開!! ごま油+ミルクコーヒーは本当にうまいのか?
マジ……なのか……? 投稿を見た瞬間に、恐らく大半のものがそう感じたのではなかろうか。2025年10月1日に、かどや製油公式Xが投稿した、驚異的なコーヒーの飲み方についてだ。
「コーヒーの日の朝はコレで決まり!」と、ミルクコーヒーに ごま油を投入してるのだ。即座に試した人々もいるようだが、反応は賛否両論、否多めに見える。実際どうなのか、私もやってみることに。
・諸説ある
結論から言うと、諸説ある。絶対的に不味いというわけではなく、アリな片鱗は確かに感じられる。しかし、これは多くの日本人の味覚に合うものではないように感じた。
東南アジアとか、ポリネシアとか、南米とか、なんかそういうところの飲み物で出てきたら、まあ、そういうのもあるのかな? みたいな感じで受け入れられそうな、そういう方向性の味って感じ。
より具体的に、また、念のため行った各種検証結果と共にお伝えする。
ということで、用意したのは「雪印コーヒー」。
ミルクコーヒーはとても幅の広い概念だ。コーヒーに何らかのミルクが入っていれば、それは全てミルクコーヒーに含まれると思われる。
かどや製油が使用したミルクコーヒーのブランドは不明だが、とりあえず「雪印コーヒー」はその条件を満たしているし、最も入手しやすい商品の1つだと思うので選択した。
こいつを……
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いやぁ、香りの時点で駄目じゃねぇかな……。
なんか、本能的に駄目なんですよ。いや、いい匂いなんですよ。香ばしくてね。でもそれは、あくまで ごま油としてであって、「雪印コーヒー」から漂ってきてほしい香りじゃあないんですね。わかります?
適材適所ってヤツを最大級にハズしてる感じ。でも飲んでみないと何事もな。今まで私も様々な食べ物をレビューしてきた。
においはアウトでも味は激ウマなものだってごまんとある。食い物ってのは、結局は舌で感じた結果が重要なんだよ。
ということで飲んでみたが、やっぱり駄目でした。
いやぁ、オイリー感がキツいって! 唇がテッカテカだし、口内も油でコーティングされてよろしくない。
味も私の好みではない。ごま油の風味がコーヒーの風味を圧倒的に上回っており、異物が混入した水っぽい ごま油を飲んでるよう。
しかし、かどや製油の投稿にあった “香ばしくコクのあるコーヒーに変身” という一文の意味は理解できた。
ごま油が入ったことで、確かに香ばしさは劇的にアップ! 液体として物理的に粘度が増すことにより、風味の持続性が圧倒的に向上している。そして舌ざわりと喉ごしに厚みももたらしている。
これは入れる分量の問題かもしれないな。入れすぎた油というのは、ある程度リカバリーが可能だ。海洋での重油流出事故への対処と原理は同じである。
ティッシュなどをこうして……
当初よりも、だいぶ ごま油を除去して飲んだところ……ああ、わかる。これなら、好ましく感じる人は、普通にいると思う。私が思うに、コップ1杯のミルクコーヒーに対し、ごま油は1滴でいい。
そうすればコーヒーの香りに変化が加わって、特徴的な種類の豆を使ってるのかな? くらいになる。オイリー感もだいぶ控えめになり、ちょっと脂肪分が多めのヘヴィなミルクを使ってるのかな? くらいな感じに落ちつく。
クセのあるコーヒーを使ったヘヴィめなミルクコーヒーって感じになり、好きな人は好きだと思う。でも日本においては、万人向けではないだろう。ということで、冒頭で述べた諸説ありってライン。
トップに油の層ができるくらいに入れるのは、強く ごま油を愛する人向けじゃないかと。一般人には、コーヒーの風味が ごま油の風味より勝る配合が重要だというのが私の見解だ。
・検証
さて、ここらできっと、ピュアなコーヒーの味と ごま油の相性が気になるという方が出てくるころだろう。私くらいにクオリティの高いライターになると、その辺は予想できる。
そして当然、その疑問に応える用意もあるってこと。ノーミルクで、ついでに無糖のコーヒーだ。
コップの洗浄が十分でないラーメン屋で出されるウーロン茶みたいだな。
飲んでみると、これがとても不味い! ごま油の量とかの問題じゃない。なんだろう。コーヒーと ごま油の乖離レベルが尋常じゃなく、水っぽい油というか、油でネトつく水というか、そういう舌ざわりで不快すぎる。
わかったぞ。ミルクだ。ミルクがコーヒーと ごま油の橋渡しをしているのではないか。ミルクには油分が含まれるからな。それが上手いこと一体感を生み出していたのではなかろうか。
待てよ。じゃあミルクの量を変えたらどうなるのだろう。どの程度のコーヒーの風味とミルク量が ごま油と相性がいいのか、気になるじゃないか。
ご安心ください。この江川、当然その需要を先読みして、ミルク少な目なカフェラテを用意しております。カフェラテなので、エスプレッソとミルクだ。
「雪印コーヒー」よりも苦みが強いし、ミルクはとても少ないはず。缶の側面に “少しのミルク” と書いてあるのを信じろ。ここから探っていこう。
結果は、ぜんぜん合わないわ。タリーズの無糖ラテのミルクレベルでは、不快な油水っぽさから脱却できていない。コーヒーと ごま油、それぞれの要素が全く混ざらない。
これより少しミルクが強そうなので用意したのがこちら。
飲んでみたところ、素の状態とごま油入りで、今回の実験を通して最大級の変化を感じた。
絶対的に美味いわけではないのだが、コーヒーと ごま油がちゃんと一体化して、新たな液体になっている。やはりミルクが一定量必要なのだ。
そして「雪印コーヒー」よりもコーヒーの風味が強いのだが、それもいい方向に働いている。コーヒーの風味がごま油を簡単に上回るので、水っぽいごま油を飲んでいる感覚から距離をとれる。
では、さらにミルクが増えるとどうなるのか?
こちら、私の味覚だと、ミルクの風味もコーヒーの風味も、今回用意したものの中で一番強いやつだ。こいつに ごま油を1滴入れると……
おや、ほとんどわからんな。コーヒーとミルクの勢力が共に強いと、多少の ごま油では揺るがないもよう。まあ、そりゃあそうか。
ちょっとずつ ごま油の量を増やしたところ、ごま油が主張しだした。しかしそこまで行くと、オイリー感がキツくなってきて、私としてはNGなラインに突入した。
・配合が鍵
なるほど。ではまとめよう。まず、ミルクがコーヒーと ごま油の一体化に寄与する説は、有力だと考えられる。一定量のミルクは、舌ざわりの面で重要だと感じた。
また、コーヒーの濃さも重要だ。コーヒーが濃ければ濃いほど、香りの面で ごま油を飲んでいるという感覚に陥りづらい。
しかしコーヒーとミルクの両方が強すぎる場合、ごま油由来の香ばしさを有意に思える水準まで高めようとすると、オイリー感が強くなりすぎ、ただ油を飲んでいるように感じられるリスクが生じる。
ミルクコーヒーfeat.ごま油の世界は奥深いようだ。ベストな ごま油ミルクコーヒーを飲むには、コーヒーの濃度とミルクの濃度、そして ごま油の量の全てを慎重に管理する必要があるだろう。
一朝一夕でベストな配合を見極められるものではない。これは上級者向けだな。いや、煽ってるんじゃなく、ちゃんと配合を見極めないとすぐ不味くなるって意味で。なんにせよ絶対的にNGではない事は確か。
参考リンク:X @kadoya_seiyu
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.