猫の『声がおかしい』ときに考えられる原因4つ 病気の可能性も?注意すべき症状まで解説
1.発情期
大きな声で「アオーン、アオーン」と鳴く場合は、発情期かもしれません。とくに、メスはオスを呼ぶためにけたたましい声で鳴きます。また、オスも他のオスを牽制するために鳴くことがあります。
発情期は生理現象ですが、生涯続く点には注意が必要です。春や夏がピークではあるものの、基本的には生後6ヶ月から生涯に渡って発情期を繰り返すためです。人間にとってストレスになるのはもちろん、猫自身にとっても大きな負担となる場合があります。
発情期の異常な鳴き声を防ぐには、避妊手術が有効です。避妊・去勢手術を行うことで、「スプレー行動」や「落ち着きがなくなる」など発情期特有の行動をおさえることも期待できるでしょう。避妊・去勢手術は望まない繁殖を防ぐための処置ですが、猫にストレスを与えないという大きなメリットもあるのです。
2.猫風邪
かすれたような声で鳴き、くしゃみや鼻水が出ている場合は、猫風邪が疑われます。猫風邪は感染症のため、猫同士が屋外でうつしあったり、人間が外からもらってきたウイルスが猫に付着することもあります。
ちなみに、猫風邪とは「猫カリシウイルス」「猫ヘルペスウイルス」「クラミジア」などの感染症の総称です。子猫や老猫など、免疫力が低い猫の発症する可能性が高いといわれています。
猫風邪が疑われる場合に注意したいのは、異常な鳴き声以外の症状が出ているかどうかです。くしゃみや鼻水の他に、目やにや食欲不振、消化器症状が出ていることも多いので、注意深く観察してあげてください。命に関わる場合もあるため、これらの症状がある場合は、すぐに動物病院に行くことをおすすめします。
3.喉頭炎
猫の鳴き方が変わる病気のひとつに、「喉頭炎」というものがあります。喉や気管支に影響をもたらし、ガラガラした声で鳴くようになるのが特徴です。喉頭炎とは、喉が炎症を起こしている状態のこと。ウイルスや細菌、アレルギー、異物誤飲などが原因となって発症します。
喉頭炎が重篤化すると、呼吸困難を起こしてしまう場合もあります。早期発見すれば獣医師の診断を受け、指示に従って自宅でケアできる場合もあります。気を付けて猫の様子を見ることが大切です。
他の症状としては、よだれや食欲不振、咳などがあります。猫の声がいつもと違う場合は、これらの症状がないか観察してみましょう。
4.認知症
人間と同じように、猫にも認知症が存在します。認知症の症状はさまざまですが、激しい夜鳴きが見られることが非常に多いようです。お腹が空いているわけでも、トイレに行きたいわけでもないのに、大きな声で夜通し鳴き続けます。
今のところ、認知症を治療するための方法は確立されていません。しかし、出ている症状を緩和させるための薬が処方されるケースもあるので、早期発見は非常に大切です。
夜鳴き以外に、意味もなく歩き回る、トイレを失敗する、好みの変化などの症状が出る場合もあります。中には破壊行動をしてしまう猫もいるため、できるだけ早く気づいてあげましょう。
まとめ
猫の鳴き声が変わった場合、気にしなくてもいいケースと、動物病院で診察を受けた方がいいケースとがあります。基本的に、一時的に変わっただけであれば問題はありません。寝起きや興奮時などに声が変わってしまうこともあるためです。
問題となるのは、鳴き声以外に症状が出ている場合です。鼻水やせき、食欲不振などの症状が出ているときは、悪化する前に診察を受けることをおすすめします。
また、長時間に渡って鳴き続けている場合も要注意。認知症だけでなく、痛みを我慢している可能性も考えられます。猫の異常にすぐに気が付けるよう、普段から鳴き方や鳴き声を観察することが大切です。
(獣医師監修:葛野宗)