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中西アルノ(乃木坂46)、高い表現力で感情の緩急を歌に刻みこむ! 音楽番組『Spicy Sessions』最新収録レポート

Pop’n’Roll

中西アルノ(乃木坂46)、高い表現力で感情の緩急を歌に刻みこむ! 音楽番組『Spicy Sessions』最新収録レポート

株式会社TBSテレビが運営するCS放送『TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画』にて毎月放送中の音楽番組『Spicy Sessions』(スパイシーセッションズ)。

今月行なわれた11月、12月放送回の収録を、ゴスペラーズをデビュー当時からよく知り、数々のアーティストのオフィシャルライターを務める音楽ライター・伊藤亜希が取材。

収録後のMCインタビューと合わせて番組の魅力を伝える第5弾をお届けする。

・乃木坂46の写真 10枚

■収録レポート

刺激的な音楽番組『Spicy Sessions』(スパイシーセッションズ)は、音楽が生み出される瞬間を魅せるドキュメンタリー番組だ。MCを黒沢薫(ゴスペラーズ)と、中西アルノ(乃木坂46)が務め、CS放送TBSチャンネル1で放送されている。11月の収録でちょうど12回、来月には放送開始から1年を迎える。毎回ゲストとともに、多彩なジャンルのセッションをくり広げてきた『Spicy Sessions』。観覧を終えた観客が帰路に就く際には、こんな会話が飛び交っている。 これまでの収録の中で拾った言葉の中から一部を紹介しよう。“中西アルノがあんなにすぐハモれるのには驚いた”“黒沢薫の仕切りがないと成立しない番組”“がっつりルーツを掘り下げたトークが面白かった”“ゲストやバンドと一緒に並んでカレー食べてるって(笑)”“カバー曲のセレクト、ほかの歌番組じゃあり得ない”“バンドも楽しそうだった”……など、挙げ始めたらきりがない。そんな中でも、目立って多かったのは“セッションってああいう感じなんだ”“本物のセッションすごかった”という感想だ。セッションを体感できる、そこが『Spicy Sessions』の最大の魅力だ。第11回(11月放送分)、第12回(12月放送分)の収録現場の密着レポートとともに、収録後のMC2人のインタビューをお届けする。

11月放送のゲストは、Little Glee Monsterのかれんとmiyou。最初に自身の楽曲「Come Alive」を2人だけのスペシャルバージョンで披露。“2声(2人)とは思えないような倍音がありましたね”という黒沢の言葉に観客から同意の拍手が起こる。Little Glee Monsterとは、彼女たちのデビュー前から親交があるゴスペラーズ。黒沢は“ヴォーカルグループがほとんどいないメジャーシーン。 そういう意味では、Little Glee Monsterが唯一の後輩なんですよ”と、音楽シーンを俯瞰で捉えた言葉で改めてリトグリを紹介した。この黒沢の俯瞰の視点は『Spicy Sessions』という音楽番組にとって、非常に重要なファクターだ。その視点はセッション曲のセレクトにも現れていると思う。セッションという“マニアックなスタイル”を誰もが楽しめるエンタテインメントに昇華させているのは、黒沢薫の俯瞰の視点と、中西アルノというキャッチーさと実力を備えたアイコンの存在があってこそだ。 かれんと中西のセッション曲は三浦大知の「ふれあうだけで ~Always with you~」。かれんが、キーを原曲より“+3”にしたいとリクエスト。バンドが音を鳴らしてキーを確認していく。黒沢は、かれんと中西と相談し、歌割りを決めながら“リトグリに乃木坂がハモるなんて(ほかの番組じゃ)ないでしょ?”と観客へ言葉を投げると、観客から大きな拍手が。黒沢が中西に細かくリクエストする様子にかれんが“名物(=無茶ぶり)だ”とつぶやくと、場内は笑いに包まれた。 歌唱が始まると、お互いの声を確かめ合うように、そしてお互いがお互いを引っ張り合うように高まっていく歌声に、観客は聴き入っていた。続いては、黒沢が“この番組以外では歌えないと思う”と言ったダニエル・シーザー&H.E.R.の「Best Part」をmiyouと黒沢でセッション。2人の歌唱をステージ上で観ていた中西は“黒沢さんはハイトーンのイメージがあったんですけど、ローの歌声も素敵で。ずっと聴いていたいと思いました”と、楽曲のよさまで受け取ったコメントを述べる。 続いて、かれん、miyou、黒沢でLittle Glee Monsterの「ECHO」。スタジアムロックを想起させるダイナミックな曲調とスケール感、そして《Oh Oh……》をくり返す力強いメロディが特徴のミドルチューンだ。黒沢は“スタジアム級の曲をこの空間でやってみたかった”と選んだ理由を述べたあと“お客さんも歌いません?”と観客に目を向けた。この投げかけにレスポンスし、冒頭の《Oh Oh……》から右手を頭上に掲げ大合唱する観客。その光景は本当にライブそのものだった。中西アルノのソロ歌唱曲はaikoの「カブトムシ」。中西曰く“新しい一面を出させてもらえたら”という想いで選んだ曲だそうだ。中西の歌声に引っ張られるように、バンドが丁寧にグルーヴを調整していく。ファルセットや高音のロングトーンをクリアに響かせ、原曲とはまた違った切なさを醸し出していた。

12月放送のゲストで登場したのは、Tani Yuuki。拍手とともにステージに迎えられたTaniは“素敵な機会をありがとうございます”と挨拶。最初にTaniのオリジナル曲「おかえり」を歌い、最後はアカペラで高音のロングトーンを響かせた。“音源よりもめちゃくちゃダイナミックだった”と黒沢。中西も“アコギがアコギじゃないくらいでした”と興奮気味。セッション自体が初体験というTaniがセッションの候補曲として挙げたのは、DEENの「このまま君だけを奪い去りたい」。 Taniと黒沢でセッションすることに。譜面が準備され、黒沢は、Taniに確認しながら歌割りを決めていく。“サビはTaniくんに歌ってもらって。(僕が)引き立つようなハモりを”と言う黒沢の言葉に“マジですか? いいんですか?”とTaniがワクワクした表情を見せる。1度バンドと合わせるため、サビだけ練習することに。高音のさらに上でハモるアプローチを見せた黒沢に、Taniから“気持ちいいー!”と本音が漏れた。本番へ。イントロが始まると、笑いながら後ろを振り返り、バンドメンバーを見回す黒沢。その視線にバンドメンバーたちが“こうでしょ?”とアイコンタクトを返す。バンドサウンドは『Spicy Sessions』の1つの肝である。各メンバーが多彩なジャンルを網羅しているからこそ、曲のアレンジはもちろん、黒沢のリクエストにフレキシブルに対応できる。さらには、曲のよさを活かす緩急やグルーヴを全員が瞬時に理解し、再現できる。音楽への情熱とスキルを備えたメンバーばかりだ。「このまま君だけを奪い去りたい」は、少し重ための引きずるような独特なグルーヴがある曲だが、そこをイントロから見事に合わせてきたバンドサウンドに、黒沢は破顔するほど嬉しかったのだろう。ミュージシャンとミュージシャンが音で会話をしている、その表情が目の前で観られるのも『Spicy Sessions』が回を重ねることで得た魅力だ。続いて、RADWINPS「愛にできることはまだあるかい」をTani、黒沢、中西でセッションすることに。歌詞に合わせて歌割りを決めるなど、これまでになかったパターンも出て来ていた。歌う前に黒沢は、中西に“間奏のシャウト、「Actually...」(乃木坂46)みたいなシャウトで”とリクエスト。先述した歌詞に合わせた歌割りも含め、中西がオクターブ上をファルセットでハモるなど、新たなチャレンジが詰め込まれた1曲となった。Taniが中西に向かい“間奏のかけあい、気持ちよかったです”と言った本曲の仕上がりぶりは、ぜひとも放送でチェックしていただきたい。黒沢がTaniと一緒に歌いたいと選んだのはTaniの代表曲「W/X/Y」。黒沢が、初めて同曲を聴いた時の感想を話すと“すごく嬉しいです”とTani。「W/X/Y」が始まり、驚いたのは黒沢のボーカルアプローチである。黒沢の代名詞でもある“声を張ったハイトーン”を持ってきた。なぜ、「W/X/Y」で初めて自分の代名詞をぶつけたのか。それは、楽曲とTaniのボーカルに、それだけエネルギーがあったからだと思う。エネルギーにエネルギーで応え、Taniへのリスペクトを歌で表現したのだ。ゴスペラーズとして歌う時よりも、クリアで丸みのあるハイトーンが、Taniの柔らかい歌声にとてもマッチしていた。“セッションっていいですね。ライブではやっていないアレンジもあって楽しかった”とTaniが感想を述べる。最後には“また一緒に”という言葉が出るほどセッションを楽しんでいた。中西が自身のソロ歌唱曲に選んだのは家入レオの「Silly」。“ストーリー性のある曲だから感情に身を任せて歌いました”と語った中西。感情の緩急をしっかり歌に刻んだ中西の表現力にも、ぜひ、注目してもらいたい。

■MCインタビュ―

収録を終えた黒沢薫と中西アルノに感想を訊いた。

ーー黒沢さんが、ダニエル・シーザー&H.E.R.の「Best Part」を紹介する際、これまでの中で“最もセッションらしい1曲”とおっしゃっていたんですよ。12回収録を重ねて来た今、改めて“セッション”の楽しさを伺えますか?

黒沢:
この番組でよく登場する“無茶ぶり”っていうのは、セッションとしては、実はユニークなスタイルなんですよ。なんとなく決めて、それで始まるのがセッションですから。だから例えば「Best Part」みたいに、あんまりコード進行の展開がなくて、メロディががっちり決まってない曲の方が、セッションはしやすい。

――メロディーががっつり決まってない分、自由度が高いってことでしょうか?

黒沢:
もちろん、それもありますね。これまで『Spicy Sessions』でやってきたJ-POP、今回の収録ではJ-ROCKもセッションしたけど、両方ともメロディがしっかりある。だから、それだけで縛りが強いんです。縛りが強い上に、普通にやると、ただツラッと歌えて“よかったですね”になりがちなんですね。そうならないようにやっているのが『Spicy Sessions』って番組なので。だから本来のセッションよりも、この番組のセッションはハードルが高い。それをバンドもゲストも含めて全員で完成させていく。そこをしっかり見せていきたいと思っているんですよね。聴いた方が“セッションするんだ、ウマいじゃん”って思うだけじゃなく、そこを越えていくものを考えたいし、考えないといけない。だから僕の中ではプロデュースワークに近いところもあるかな。将来的にはアルノさんが“私ここ歌います!”って言ってくれるといいなぁ、と。

中西:
えっ!(笑)

ーー来ましたね、ハードル上げ。

中西:
はい(笑)。でも収録を重ねていく中でわかったのは(黒沢さんにいろいろリクエストされて)“どうしよう……”って思っても、やらなきゃいけないわけで。だったら、考えるよりも走り出しちゃった方が早いし、“行っちゃえ!”って飛び出したものがよかったりすることが、セッションではすごく多かった。とりあえず飛び出してみるかって、そういう気持ちが持てるようになったのは、自分の中でも大きいですね。

黒沢:
そう。どうにでもなる。それがセッションだから。

中西:
そうですよね!

ーーリテイク(再度演奏すること)も放送するのが『Spicy Sessions』ですが、今日はいつもよりも、リテイクする曲が多かったですね。でも、テイクを重ねるたびに、前のテイクとはまったく違う音像になっていって。正直、ちょっと、びびりました。

黒沢:
そうなんですよ、あれがセッションなんです。テイクを重ねても同じ演奏、同じ歌ではない。少しずつフレーズが変わったり、ニュアンスが変わったりするんです。今回の収録は2本ともリテイクがあったから、すごくわかりやすかったかもしれないですね。

ーーではアルノさんに伺います。セッションした「愛にできることはまだあるかい」、ソロで歌った「Silly」。両曲とも静と動のコントラストがある、ストーリー性のある曲だと思うのですが、アルノさんの中での表現の違いは?

中西:
「Silly」の方は自分の感情が高ぶって、その波に乗っかっていった感じで。「愛にできることはまだあるかい」は、バンドに乗っかっている感覚。ピアノもギターもすごく盛り上がっているところに、自然に私が声で乗っかっていくような感覚で歌っていましたね。

黒沢:
そうだよね。「Silly」は自分自身が引っ張っていた。

中西:
そうですね。

黒沢:
「愛にできることはまだあるかい」は、ボーカルが3人いてのセッションだから。バンドの音も含めて、3人がお互い反応し合っていくっていう感じだったよね。

中西:
そうです! まさに!

ーー今のやりとりで、2人の感覚がばっちり合っているのがわかりましたね。

黒沢:
そうだね。今、アルノさんの言葉にすごく納得できました。

ーー1周年を迎える『Spicy Sessions』。今後の抱負を教えてください。

黒沢:
今回のTani Yuukiくんみたいに、僕も初めまして……ってゲストにも声をかけていきたいなと思っています。(自分と)仲がいいアーティストとのセッションも、やってる中で新しい発見がありますし、初めて会うアーティストと音楽を通して会話をして仲よくなっていく……この両方とも素晴らしいことだと思うんです。音楽を通してわかり合える瞬間を見せていくことも『Spicy Sessions』には絶対に必要だと思いますから。だから今後は(自分の)人脈と初対面、その両方でやっていけたらベストかなと思っています。

『Spicy Sessions with かれん&miyou(Little Glee Monster)』
放送日時:2024年11月30日(土)23:30~深夜0:30

『Spicy Sessions with Tani Yuuki』
放送日時:2024年12月28日(土)23:30~深夜0:30

放送チャンネル:CS放送TBSチャンネル1
推奨ハッシュタグ #SpicySessions

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