「水に流そう」「忘れよう」の英語表現 –––– forgive and forget や let bygones be bygones のニュアンスをネイティブが解説 【ラジオビジネス英語】
「過ぎたことは忘れよう」を意味するフレーズには、いざというときにさっと口にしてほしいものがいろいろあります。今回は「ラジオビジネス英語」9月号の「Lisa’s Expressions」から、「水に流そう」「忘れよう」という気持ちを伝える表現をご紹介します。
forgive and forget
forgive and forget([過去のことなどを]許して忘れる)
よく使うフレーズです。「もう文句を言ったり怒ったりせずに、きれいさっぱり忘れます」と誓うようなニュアンスがあります。
I promise toforgive and forget what happened. I won’t mention this again.
(起きてしまったことは水に流すって約束するよ。もう二度とこのことは口にしないから)
let bygones be bygones
let bygones be bygones(過去のことを水に流す)
これもよく使われる表現です。 býgònesは「過ぎ去ったこと」「過去(の不快なこと)」の意味。アクセントの位置に注意してくださいね。ちょっと格調ある雰囲気の言い方です。
Let bygones be bygones. It’s a new day!
(過去のことは水に流そう。今日は新しい日だよ!)
start (over) with a clean slate
start (over) with a clean slate(水に流して出直しを図る)
slateは「(昔の筆記用の)石板」、with a clean slateで「(過去を清算したあとの)白紙の状態で」を意味します。wipe the slate clean(過去のことを清算する[なかったことにする]、新たにやり直す)という言い回しもあります。
My comments were inappropriate. I beg you to allow me to start over with a clean slate.
(私の発言は不適切でしたが、皆様のお許しをいただければ一から出直したいと思います)
put the past behind . . .
put the past behind . . .(過去と決別する、過去のことは忘れる)
behindのあとにはmeやusなどが入ります。「過去を…の後ろに置く」というイメージですね。
We had our differences. But let’s put the past behind us and work together.
(私たちは考え方が違ったけれど、過去のことは忘れて、共に仕事に取り組みましょう)
water under the bridge
water under the bridge(過ぎてしまったこと)
直訳すると「橋の下の水」。止まらずに流れ去っていく水のことで、そこから「どうにもならないこと」の意味で使われます。It’s water under the bridge.と誰かに言うときには、「気にしなくていいよ」という気持ち、つまり、It’s OK.とかI forgive you.といった気持ちが入っていることがよくあります。
Never mind. It’s water under the bridge. Let’s move on.
(気にしないで。過ぎてしまったことじゃない。前に進もうよ)
★「なかったことにするよ」を英語にすると–––– I will pretend it never happened.
pretend( 振りをする)を使ったこの表現は、会話の中にもしばしば登場します。例えば、テスト中にカンニングをした学生を見つけた先生が次のように言えば、その学生は「助かった!」と思うでしょう。
Only this timeI’ll pretend it never happened.Don’t ever cheat again.
(今回だけは何もなかったことにしよう。二度とカンニングしないこと)
また、夫婦げんかをしたあとで、どちらかがもう1人にこんな言葉を投げかけるかもしれません。
Let’s pretend the whole thing never happened.We can start again from scratch.
(何もなかったことにしよう。一からまた始めようよ)
このように、Let’s pretend . . .の形も覚えておくと便利です。
執筆者
リサ・ヴォート
アメリカ・ワシントン州出身。メリーランド州立大学で日本研究準学士、経営学学士を、テンプル大学大学院で TESOL(英語教育学)修士を取得。専門は英語教育、応用言語学。2007年度 NHKラジオ「ものしり英語塾」で講師を務める。現在、青山学院大学非常勤講師。また、写真家としても活躍している。『知ってる英単語で広がる英会話』『CD BOOK ネイティブ感覚で もっと伝わる日常英語』(ともにNHK出版)など著書多数。
※記事公開時点での情報です
■NHKテキスト ラジオビジネス英語 2024年9月号より