【庵】熊屋酒造‐岡山県 雄町に選ばれたテロワール 「晴れの国岡山」で醸す、飲み手に響く酒
地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。今回は岡山県倉敷市(おかやまけんくらしきし)の熊屋酒造(くまやしゅぞう)を特集します。
江戸中期から250年以上地元の人々や旅人たちに親しまれてきた味わい
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
蔵元を営む庵谷(いほりや)家はもともと紀州熊野の出身で、紀州熊野大社の分社の神殿を建設する際の人足として現在の岡山県倉敷市に移住しました。
移住先は蔵裏手の熊野神社詣でへの街道、また香川の金毘羅へ続く金毘羅街道として非常に栄えていました。
この地で、1716年、三代目当主の庵谷伊七(いしち)が、すぐそばにある熊野神社から「熊」の一文字をもらい、「熊屋本家酒造」として酒造業を創業し、酒造りの歴史が始まりました。
「雄町」は晩稲(おくて)で田植えは6月中旬、収穫は11月上旬と遅く、また背丈が高いため、稲が倒れやすく、病害虫にも弱いため、栽培が困難といわれています。
しかし、岡山県は「晴れの国 岡山」と言われるほど日照時間が年間二千時間と長く、降水量は年間千百ミリ程度でその少なさは日本有数のテロワール。だからこそそのような雄町の栽培にも適した気候風土が整っていると言えます。
「庵」純米大吟醸及び、純米吟醸は旧赤磐地区に隣接した土地に圃場を構える契約農家の優良米を使用しており、貴重な備前雄町を契約農家から安定的に確保できる数少ない酒蔵です。
―代表銘柄は?
庵(あん) 備前雄町 純米大吟醸 磨き三割八分
香りは穏やかながら、パイナップルやバナナなど南国フルーツを思わせる華やかな香り。
透明感が高く、果実のジューシーな味わいがクリアに感じることが出来ます。骨格があり奥行のある旨みも感じます。
お薦めの飲み方:冷、常温
庵 備前雄町 純米大吟醸 原酒
熟した洋ナシや白桃、パッションフルーツのような華やかでフルーティな香り。
大吟醸らしい華やかな香りやフルーティさと共に、雄町ならではの奥深く重厚なボディ感を楽しめる日本酒です。
お薦めの飲み方:冷、常温
お客様の直の声を聞き、その言葉を酒造りに
―酒造りで心がけていることは?
「飲み手にずっと飲みたいと言って頂けるお酒」「最初に口の中で広がるお米の旨みと潮が引くようなキレの良さをもったお酒」を造ることを目指しています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
当蔵の北側には岡山県指定史跡の日本第一熊野神社があり広い境内には森林を背景に六棟の社殿などが立ち並び、国及び県指定の重要文化財に指定されています。
他にも県指定文化財の三重の塔、また南側には修験道総本山五流尊流龍院があり、五流尊龍院は児島高徳の誕生の地でもあります。
今回ご紹介した酒蔵について
【岡山県】
熊屋酒造有限会社
〒710-0142 岡山県倉敷市林705
https://craftsake.mottox.co.jp/producers/producers-001667/