未利用魚が変身 高校生ふりかけ開発 佐伯豊南高校商業部 【大分県】
地元・佐伯市のことを学びながら、持続可能な社会のあり方を考える。佐伯豊南高校商業部は、SDGs(持続可能な開発目標)をテーマに地域課題の解決を目指した商品開発に取り組んでいる。部員たちが着目したのが、漁港で水揚げされながらもサイズや形の問題で市場に出回らず廃棄される「未利用魚」だった。年間を通じて大量に発生するこの魚たちを「もったいない」で終わらせず、地域資源として活用できないか。そんな視点から、部員たちはふりかけを商品化した。
「以前から、地元のものを使用した商品を作りたいという思いがあった」と話すのは顧問の山下智史教諭。「佐伯の特産品であるミカンのゼリーやジュースなどの意見もあったが、試行錯誤を重ね、今回のふりかけに至った。地元企業の協力と部員たちの頑張りに尽きる」と、部員たちの努力はもちろん、開発に全面協力した地元の水産加工会社「山忠」や、漁村女性グループ「めばる」への感謝の言葉を口にした。
商品企画会議で「子どもからお年寄りまで親しみやすく、毎日の食卓に自然に並ぶものを」という方針が決まり、ふりかけに方向性を定めた。部員たちは朝市を訪れ、実際に未利用魚の水揚げの現場を見学。魚の下処理、焼き加工、乾燥、ほぐしといった工程をすべて体験しながら、未利用魚への理解と商品への愛着を深めていった。
商品開発したふりかけ「ふかちゃん」と「かつおくん」
完成した商品は2種類。一つはホシザメを使った「ふかちゃん」。もう一つは、かつお節の原料としても使われるソウダガツオを使用した「かつおくん」。どちらもシソ風味のひじきとブレンドされており、炊きたてご飯に相性抜群の仕上がりとなった。
「食品を作る大変さを知ったことで、普段の食事にも感謝の気持ちが芽生えた」と語るのは部長の阿南音羽(3年)。現在は手作りのPOPやSNS発信など、販売促進活動にも力を入れている。
今後の課題は、継続的な販売体制の確立だ。山下教諭は「一過性の取り組みで終わらせず、もっと多くの店舗に置いていただき、販売を継続していきたい」と展望を語る。目指すのは、自分たちの暮らす町がもっと元気になること。高校生の若い力で地域活動の担い手となるべく、商業部はこれからもさまざまな取り組みを実践していく。
部員たちは地域活動の担い手を目指す
(塩月なつみ)