ヘンリー王子、英タブロイド紙をめぐる裁判が「王室との亀裂を引き起こした」と告白
ヘンリー王子が英ITVのドキュメンタリー番組に出演し、英タブロイド紙の盗聴疑惑をめぐる裁判を振り返った。王子は裁判を家族と一緒に闘いたかったと述べ、この裁判が王室との亀裂が生じた一因だったと認めた。王子は複数の著名人達とともに新聞の発行元「Mirror Group Newspapers」を提訴し、昨年5月には2日間にわたって証言台に立った。王室の上級メンバーが法廷で証言するのは130年ぶりという歴史的出来事だった。
【写真】ドキュメンタリー番組で英ITV記者の質問に答えるヘンリー王子
ヘンリー王子が、英ITVで25日(以下、現地時間)に放送されたドキュメンタリー番組『Tabloids On Trial』に出演し、英タブロイド紙との法廷争いについて語った。
同番組は、英タブロイド紙による盗聴被害を受けた著名人や一般人、記事のために手段を選ばなかった記者や探偵達へのインタビューを紹介し、スキャンダルが展開する中で新聞社の幹部達が実際に何を知っていたのかを検証するものだ。
ヘンリー王子は、英タブロイド紙『Daily Mirror』『Sunday Mirror』『Sunday People』の記者達が電話盗聴や欺瞞、私立探偵の利用など違法な手段で情報収集をしたとして、複数の著名人とともに新聞の発行元「Mirror Group Newspapers(以下、MGN)」を提訴していた。
王子は、MGNが公開した1996年から2010年までの147本の記事が違法な手段で入手した情報が使用されたと主張。これらの記事では、王子と家族、元恋人チェルシー・デービーさんとの関係、怪我や病気、薬物疑惑、兵役時代などの話題を取り上げていた。
2023年5月には英ロンドンの高等裁判所で裁判が開始され、ヘンリー王子が2日間にわたって証言台に立った。英王室の上級メンバーが法廷で証言するのは、1891年のエドワード7世以来、およそ130年ぶりという歴史的な出来事となった。
法定2日目には王子が反対尋問を受け、長時間におよぶ厳しい質問に答えた。尋問が終わると涙をこらえ、「大変だった」と弁護士に漏らすほどだった。
そして昨年12月には判決が下され、ヘンリー王子が勝訴する結果となった。ティモシー・ファンコート判事は、電話盗聴や違法な情報収集による記事があったとしてMGNに対し、およそ14万600ポンド(約2540万円)の賠償金支払いを命じた。
今回放送されたドキュメンタリー番組では、英タブロイド紙の違法な手口を暴くために闘うことを決意したヘンリー王子へのインタビューが含まれている。
ある場面で、王子はITVの記者レベッカ・バリー氏から、タブロイド紙を提訴するという決意が王室との亀裂の一因になったのではないかと聞かれた。
王子は「その通りだ。それが中心的な部分となったのは確かだ」と認めると、こう付け加えた。
「だけど、その質問に答えるのは難しい。僕が家族について話すと、マスコミから非難の嵐を浴びせられることになるから。」
そして王子は、王室メンバーとしてただ一人、違法な手段を使うメディアを訴えたことの心情を次のように述べた。
「僕は明確に、これはやるべきことだと言ってきた。もし家族と一緒にできたなら、本当に良かっただろう。僕は奉仕をする立場や公的な役割を担う者として、公共善のために行うべきだと信じている。だけど僕は、自分の理由のためにやっているんだ。」
その後、レベッカ氏が「闘わないという彼らの決断をどう思いますか?」と法廷争いをしない王室メンバーのことを尋ねると、王子はこう答えている。
「これまでに起こってきたすべての出来事は、問題の真実が何であるかを人々に示したと思っている。僕にとってこのミッションはまだ続いている。だけど、あなたが言うように、このことが亀裂の一部を引き起こしたんだ。」
昨年12月の裁判でファンコート判事は、ヘンリー王子の携帯電話が2003年末から2009年4月にかけて「ある程度の範囲」で盗聴され、MGNの特定の人々によって注意深く管理されていたと結論付けた。
インタビューで王子は、昨年に裁判で勝利したことは大きな功績だったと表現した。
「裁判所に出入りした結果、判事が僕達に有利な裁定を下したことは明らかに大きなことだった。だけど判事があそこまで踏み込んだのは、個々の人間の問題だけではなく弁護士や(MGNの)経営幹部などトップにまでおよんだからだ。それを裁判の中で成し遂げたなんて、途方もない勝利だ。」
画像2、3枚目は『ITV News X「Prince Harry tells @BeccaBarry his legal fight with the tabloids is a “central piece” in the breakdown of his relationship with his family.」』より
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)