アルツハイマー月間 「変わらず繋がれる地域へ」 区内の活動、取り組みは
9月21日は世界アルツハイマーデー。9月はアルツハイマー月間とされ、区内外で認知症啓発イベントなどが行われている。区内でも取り組みが少しずつ広がるなか、若年性認知症の人に就労機会の提供等を行うNPO法人マイWay(下作延)で当事者らの活動が続いている。
下作延にあるマイWayは、若年性認知症の人々に就労を通じた働く場や居場所等を提供するサービス事業所。利用者は40代など働き盛りの世代もおり、経済活動として企業から依頼のあった軽作業等を行うほか、主体的な活動としてコーヒーを自家焙煎し販売も行っている。
この日は、翌日14日に市内で行われる認知症の啓発イベントで「オレンジCafé」として自家焙煎コーヒーを提供するため、利用者たちが準備にあたっていた。
同事業所に通う前田博樹さんは「普段の室内作業だけでは刺激がないので今回のイベントの様に、ここ以外でも活動したい。上手くいく、いかないに関わらず終わった後は達成感があるし、少しでも社会に貢献できることがしたい」と笑顔で話した。
イベント当日はオレンジCaféのほか、「安心して認知症になれるまちとは」と題した座談会にも当事者たちが参加し、体験や考えを語ったという。
共に過ごし身近に
「当事者が話す機会や繋がる場が以前より増えている」と語るのは、同NPO法人の若年性認知症支援コーディネーター、渡辺典子さん。認知症の普及啓発について、自分が認知症になっても変わらず地域で自分らしくいられるよう、社会で自分事として捉えようという流れに変わってきたと説明する。「人前で講演したり活動したり、普通に地域で過ごす姿を見てもらうのが一番。認知症はネガティブなイメージを持たれやすいが、将来自分がなるかもしれない。身近にいることで『地域で共に暮らしている人なんだ』と感じてもらい、いざ自分や家族がなった時も安心して暮らせる地域になれば」と語った。
認知症の理解深めて梶ヶ谷こ文ほか区内で
高津区役所では9月のアルツハイマー月間に合わせて認知症啓発のシンボルカラーであるオレンジ色を取り入れた啓発活動を行い、区内施設とも連携。各所で啓発の取り組みなどが実施された。
梶ヶ谷こども文化センターでは今月、子どもたちがオレンジ色に染めたバンダナを飾り、館内の壁面もオレンジ色の折り紙で彩った。11日には、認知症キッズサポーター養成講座を実施したほか、9月中は認知症を学ぶスタンプラリー形式の「シールラリー」も行っている。
交流きっかけに
同施設は「高齢者を含めた地域の大人と子どもたちが関わる機会を」と、町内会の盆踊り練習や近隣の高齢者施設への訪問など地域交流を広げてきた。こうした繋がりから高齢の世代と接する機会が増えたこともあり、今回の認知症啓発活動にも注力。養成講座には小学生ら47人が参加したといい、安藤麗子館長は「お年寄りへの声掛けの仕方等を学び、熱心にメモを取る子も多かった」と感心していた。
日頃の地域交流については、地域から子どもたちとの接点を希望する声もある事に加え「子どもたちにとっても外に出た時に顔見知りの大人がいるのは安心」と安藤さん。「世代を超えた交流で関係性づくりのきっかけを作っていけたら」
図書館で講座も
このほか区内では、高津区役所1階市民ホールで27日(金)まで認知症に関するパネル展示を実施。
また高津図書館では10月10日(木)にタブレットで認知症の前段階である軽度認知障害の簡易検査ができる「脳体力テスト体験会」(午前10時〜午後3時30分、30分ごとの時間予約制)を実施。11日(金)には同館で大人向け認知症サポーター養成講座(2時〜3時30分、市内在住・在勤・在学の人が対象)も。いずれも先着20人(申込・詳細は区役所地域支援課【電話】044・861・3259)。