【「キシリア・ザビ」って誰!?】『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の視聴に役立つかもしれないガンダム用語| 先見の明を持ちながらも、ジオン敗北の最後の一因を担ったザビ家の長女
現在放送中の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(以下、ジークアクス)』。最初のガンダムシリーズである『機動戦士ガンダム(以下、ガンダム)』と密接な関係がある本作ですが、『ガンダム』が放送されたのは1979年……! そして、難しい用語や人物名が多出するため、『ジークアクス』からガンダムシリーズをご覧になる方は「これって何?」と思うかもしれません。
そんなあなたのためにスタートした連載「『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の視聴に役立つかもしれないガンダム用語」。ごくごく簡単に『ジークアクス』や『ガンダム』にまつわる用語を解説していきます。
今回は『ジークアクス』の世界にも関わっている「キリシア・ザビ」について解説します。
キリシア・ザビとは?
キリシア・ザビは、『機動戦士ガンダム』に登場するキャラクター。サイド3から地球連邦政府に宣戦を布告したジオン公国を実質支配しているザビ家の長女であり、公王デギン・ソド・ザビの娘です。
兄であるギレン、弟であるドズルを含めたザビ家の3人が実質的にジオンのトップ3といえますが、ギレンともドズルとも仲はあまり良くなく、一応は味方同士ではあるものの派閥争いを繰り広げているシーンが多いです。
ガルマの仇討ちのためにホワイトベースの攻撃任務に就いていたドズル傘下のランバ・ラル隊からの補給要請を、腹心であるマ・クベが無視したことで、ランバ・ラル隊が全滅するという結果にもつながっています(ゲーム『ギレンの野望』シリーズでは、その時点の最新鋭モビルスーツであるドムをランバ・ラル隊に配備しておくと、ホワイトベースとガンダムを撃破してくれるというIF展開に派生したりもします)。
一方、末っ子であるガルマ・ザビとの関係は比較的良好で、ガルマからも信頼を寄せられており、ガルマ戦死の報を聞いた際には、キシリアもショックを隠せないようでした。ただ、ガルマを静かに送りたいデギンではなく、発案の国民の戦意を高めるための国葬を行おうとするギレンの案に賛成しており、徹底した合理主義者であることも分かります。
ジオンの突撃機動軍司令という立場もあり、ほとんど前線に出ることはありませんが、TVアニメ版の18話「灼熱のアッザム・リーダー」では、部下であるマ・クベが操縦するモビルアーマー・アッザムに同乗。噂に聞くガンダムの性能を自ら目にするというエピソードも描かれていました。
キシリアに焦点が当たるのは物語の後半からで、「ニュータイプ」の存在にいち早く着目し、ニュータイプを研究するための「フラナガン機関」を創設。
さらにガルマの死の責任を取らされ左遷されていたシャア・アズナブルも自らの傘下に引き入れ、シャアを隊長とするニュータイプ部隊を編成しています。ララァ・スンやシャリア・ブルも、このニュータイプ部隊の一員として配属されています。
その後、ニュータイプの存在は宇宙世紀の歴史に大きく影響を及ぼしていきますが、キシリアはニュータイプの有用性にかなり早い段階から目をつけており、優れた先見の明を持っていました。
「意外と兄上も甘いようで……」のセリフが最終的に自分に返ってくる
そしてキシリアを語る上で欠かせないのが、ア・バオア・クーでの決戦における兄ギレンの暗殺。
このア・バオア・クーの決戦に至る前に、ギレンは独断で和平交渉に向かった父・デギンを、超巨大なレーザー兵器であるソーラ・レイによって連邦の艦隊ごと謀殺しており、キシリアはそれを「父殺し」と断罪し、戦闘の最中にギレンを銃殺します。
キシリアが本当に父殺しの罪を許せなかったのか、邪魔だったギレンの殺害を正当化するためにデギンの死を利用したのかははっきりしていませんが、キシリアはデギンとの関係はギレンほど悪くなかったので、おそらくはその両方の意図があったのではないかと推測されます。
この結果、それまでのア・バオア・クーでの戦いは、ソーラ・レイによって連邦が主力艦隊を失っていたこともあってジオンが優位に進んでいましたが、このギレン死による指揮系統の混乱をきっかけに、連邦優位へと形勢が逆転していくことになります。
キシリアは早々にア・バオア・クーを放棄し、自身の主力部隊が残るグラナダに撤退を目論むも、脱出の寸前に現れたシャアが放ったバズーカの砲弾によってキシリアは死亡します。
ギレンを殺害する際には、キリシアの殺意に気付けなかったギレンに対して「意外と兄上も甘いようで……」と、身内への警戒が甘かったことを指摘するようなセリフを吐いていたキシリアでしたが、この時のキシリアはシャアの正体が、ザビ家との因縁があるキャスバル・レム・ダイクンであることは知っていたにも関わらず重用しています。
キシリアもギレンと同じく、他人を警戒しきれなかったため殺された上、ギレンを殺したことがジオン敗北の最後の要因になってしまうという皮肉な結果になっていました。
『ジークアクス』では「ゼクノヴァ」でソロモン落としが防がれたことで生き残る
『ジークアクス』の一年戦争パートにおいても、ほぼ同様の立場で登場。『ジークアクス』の世界ではガルマが戦死していないので、シャアは左遷されていませんが、シャアのニュータイプとしての適性を見抜き、ニュータイプ部隊の指揮をシャアに任せています。
連邦がグラナダへのソロモン落としを敢行した際には、市民は退避させつつもグラナダに残り指揮を取り続けるという、兵士たちを残してア・バオア・クーから逃げようとした時とは対象的な描かれ方をされています。
結果、シャアが引き起こしたサイコミュの暴走である「ゼクノヴァ」によりソロモン落としが阻止されたことでキシリアは生き残り、元の歴史では自分を殺したシャアに命を救われるという、まったく正反対の結末を迎えることに。
実際のシャアは、作戦をわざと失敗させてソロモンを落とし、キシリアを亡きものにしようと目論んでいたのですが、その真意はキシリアには伝わっていないんですよね。結果だけを見ると、キシリアはシャアに命を救われた形なので、シャアに対してどんな感情を抱いているのかも注目のポイントです。
本編中の時間軸でもあるU.C.0085年でも存命で、ジオン内のギレンとの権力争いが激化しつつあることが示唆されています。