伝統工芸の駿河漆器のお噺し
2024年10月6日放送の「静岡市歴史めぐりまち噺し」。今日は、伝統工芸の駿河漆器のお噺しです。
語り:春風亭昇太
登呂遺跡から出土した、漆が塗られた琴。ここにも静岡の漆塗りの歴史を見ることができます。
今川の時代には、静岡浅間神社近くに漆塗りのお椀を作る職人たちが集まる御器屋町と呼ばれる町があったとされています。
江戸時代の寛永年間に静岡浅間神社が造営される時には全国から、優秀な漆塗り職人が駿河に集まり、漆塗りの技を極めた拝殿を完成させました。
駿河は漆塗りに適した気候であったため、職人たちの多くは拝殿が完成したあとも駿河に住み続けて技術を広めました。
駿河の漆器は公家や大名のための特別なものではなく、主に庶民の日用品として発展していきます。
幕末以降、パリやウィーンで行われた万国博覧会に寄木細工を施した家具や小物など、駿河の漆塗製品が、日本を代表する工芸品の一つとして出品されました。
万博での入賞をきっかけに海外からの注文が殺到して日本の漆器は大量に輸出され、ジャポニスムの影響も受けてヨーロッパ各国に広がっていきました。
輸出漆器と称された、これらの大半を占めたのが駿河の漆器。この時代に駿河漆器の特徴とされる、様々な変わり塗りが開発されたといいます。
2つの世界大戦により輸出漆器を取り巻く環境は大きく変化し、職人の多くが、漆器の仕事から離れていきましたが、今も工芸品としてその技術が守られています。
駿河の寄木細工の技術は箱根に伝わり、箱根寄木細工へと伝承されたとされています。平成19 年に「駿河漆器」は、静岡市初の地域ブランドとして、地域団体商標に登録されました。
静岡市歴史めぐりまち噺し、今日のお噺しはこれにて。 <!-- tag:伝統工芸/area:静岡市葵区静岡市駿河区 -->