原菜乃華、間宮祥太朗「人間関係や就活でうまくいかないことがあっても、すべてが決まってしまうわけではないはず」#18歳のころ
著名人の方々に、自身の18歳のころを振り返っていただく連載企画“18歳のころ”。大人と子供の狭間でもある18歳は、未成年から成年年齢に変わる歳でもあり、多くの人が高校を卒業して新しい道を歩むタイミングでもあります。憧れのあの人の18歳のころを知ることで、これからの人生を送る上でのヒントを見つけられるかもしれません。
今回は劇場アニメ『不思議の国でアリスと
-Dive in Wonderland-
』に声の出演をされた原菜乃華さんと間宮祥太朗さんが登場。
18
歳の読者へエールを送ってくれました。
【写真】中島颯太の撮りおろし原菜乃華、間宮祥太朗の18歳のころ
――18歳の頃を振り返って、印象的なことはありますか?
間宮祥太朗(以下・間宮):そのときにはもう仕事をしていて、一人暮らしを始めて生活が変わったときでしたね。細かいことは覚えていないのですが、家事とか一般的に難しいことは大変でした。あと、好きなアーティストのライブにたくさん行ってましたね。
原菜乃華(以下・原):私はアニメをすごく観ていました。コロナ禍のときからハマって、学校の休み時間に教室の端っこでイヤホンをつけてひたすら観ていたと思います(笑)。
――音楽やアニメなどその当時吸収したものは、今にも影響しているなと感じますか?
間宮:影響しているし、今でも好きなものは変わっていません。チバユウスケさんがすごく好きで、The BirthdayやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT、あとはくるりや銀杏BOYZは当時から変わらず今もずっと好きですね。
原:私は別に詳しいわけではないので、勧められたものを一つずつ観ていった感じです。周りにアニメが好きな友だちが多かったので、学校帰りに一緒にアニメイトをハシゴしたり、ゲームセンターでグッズを取ったりして遊ぶのが楽しみになっていました。
――成人してから、大人になったなと感じた瞬間はありますか?
原:このあいだ『はじめてのおつかい』を観て泣いて、大人になったなと思いました。小さい頃に観ていたときは「私もやりたい!」とワクワクしていたんです。今は大人たちが泣いている理由がわかって、ちょっと大人になったのかもと思いました。
間宮:僕は音楽番組の特番とかで、ヒットチャートよりも「あの頃」みたいなランキングのほうが楽しくなってきたときですね。自分たちの年代に向けて「平成ヒットソング」みたいな特集をやっていて、それを見てに友だちと盛り上がっているときに、もう大人の入口にいるんだなと思いました(笑)。
――18歳の読者にエールをお願いします!
原:『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』は、私と同年代くらいの方々にすごく刺さる作品だと思うんです。篠原(俊哉)監督が描く柔らかくてかわいい世界観に癒やされつつも、いろんな気づきをもらえる作品だと思うので、楽しんでいただきたいです。
間宮:好きなように生きてください!就活だったり、色々なことで本当にどん底まで落ちてしまうような気持ちになることもあると思います。でももっといろんな可能性やいろんな場所があるので、人間関係や就活でうまくいかないことがあっても、すべてがそこで決まってしまうことはないと僕は思います。
アリスが主人公じゃないのがすごく新しくて面白い
――8月29日におふたりが声の出演をされた劇場アニメ『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』が公開されます。どういったところに面白さや魅力を感じましたか?
原:『不思議の国のアリス』が今どんなふうにアニメーションになるんだろうと考えたときに、アリスが主人公じゃないのがすごく新しくて面白いなと思いました。主人公・安曇野りせの性格や抱えている問題が私と同年代の方々には特に共感できるからこそ、物語に入り込みやすく、りせを通して見た不思議の国が輝いて見える作品になっているなと思いました。
間宮:『不思議の国のアリス』という世界的な名作を今この時代に、日本で新しい要素を取り入れて映像化するということ自体が一番のフックになるんじゃないかと思いました。僕にとっての『不思議の国のアリス』は幼稚園とかに置いてあった絵本やディズニーの映画だったんですけど、ポップさの中にあるサイケデリックさ、毒々しさみたいなものを今回はあんまり感じずに、日本のアニメーションの爽やかな風情というか、柔らかさがあって、そこが自分が持っていたイメージとの違いを感じましたね。
――おふたりは同じ事務所に所属されていて、過去にも共演経験がありますが、今回の共演を前に連絡を取ったり、話すことはあったのでしょうか。
原:すごくアットホームな事務所なので、忘年会でお会いしたり、タイミングが合えば事務所でもご挨拶させてもらったり、日常的にやりとりがあるので、特別に話したことはなかったです。ただ間宮さんが出てくださると聞いたときに「菜乃華がやるんだったらぜひ」と言ってくださったと聞いてすごく嬉しくて。やっぱりずっと「兄ちゃん」だなと思いました。
――間宮さんはそういった思いがあって出演を決められたんですね。
間宮:もう、その思いがほぼすべてです。
原菜乃華がやっているとわからないようにしたい
――今回演じた役柄について、どういったキャラクターだと思われましたか?また演じる上で意識したことがあれば教えてください。
原:りせは絶賛就活中で、すごく真面目で几帳面で、周りに合わせようと必死なんだけど、でもなかなかうまくいかなくて。横並びでいることで安心する気持ちや、SNSに囲まれて育ったからこそ自分の好きなものを見失ってしまうところはすごく共感できると思いました。私はもともと自分の持っている声がちょっと高めで、早口で喋ってしまう癖があるんですけど、今回は大学生で就活中なので落ち着いた雰囲気で、「原菜乃華がやっているとわからないようにしたい」と音響監督の山田(陽)さんからお話があったので、それはすごく意識して演じました。
間宮:浦井は、アトラクションの入口と出口にいる案内人のようなポジションをイメージして演じました。監督から、りせとりせのおばあちゃんとの関係性を収録前にお話しいただいて、淡々とはしているけど、柔らかいニュアンスが出せればということだったので、その指示に極力近づけようと演じました。
――この作品を通して感じた、お互いの声や演技の魅力について教えてください。
間宮:いや、もううますぎますよね(笑)。
原:そんな!(笑)
間宮:名作がいっぱい生まれるので、どんどんやるべきだ思います!(笑)。
原:私は間宮さんと声でご一緒できるのがすごく嬉しかったです。もともと声が素敵だなと思っていて、間宮さんの持つ全部を包み込んでくれる優しさや余裕が声だとより感じられる気がしていますし、父性を感じられてとてもいいなと思いました。キャラクターデザインも間宮さんに似ていて。
間宮:こんなに爽やかかな?(笑)。
原:すごく素敵でした!
間宮:菜乃華の魅力は、声の跳ね方、観ている人の集中力が上がる呼吸だったり、細かいことを言い始めたらキリがないですけど、りせというキャラクターに生命を感じることが端的に言うとすごいところだなと思います。
――主人公のりせは周りやSNSに影響されて自分のペースを掴むことや自分らしさを見つけることに難しさを感じていますが、おふたりが自己肯定感やテンションが下がったときはどうしていますか?
原:私は落ち込みやすいんですが、でもだから頑張ろうと思えているので「ま、いっかな」と考えるようになりました。それでも落ち込んだときは動物の動画とかを観ます。私はサメが好きなのでよく観ています。間宮さんは自己肯定感が下がる瞬間ってあるんですか?
間宮:あんまりないかもしれないなあ。
原:なさそうですよね!(笑)
間宮:多分、自己肯定感が下がらないというよりかは、自己肯定感という概念を僕の中に持ち込んでいないだけな気がします。肯定したり、否定したりするものではないというか。友だちだったり、好きな音楽や映画、趣味みたいなものがあるから、あまり考えたことがなかったのかもしれないですね。
PROFILE
原菜乃華
2003年生まれ。東京都出身の女優。2009年にデビュー後、映画やドラマで活躍。2022年『すずめの戸締まり』で声優初挑戦し、第18回声優アワード新人賞を受賞。2023年にはNHK大河ドラマ『どうする家康』に出演。映画『ミステリと言う勿れ』で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2025年公開予定の『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』では主演・安曇野りせ役を務める。
PROFILE
間宮祥太朗
1993年生まれ。神奈川県出身。2008年に俳優デビューし、2017年『全員死刑』で映画初主演を務めた。NHK朝ドラ『半分、青い。』や大河ドラマ『麒麟がくる』などに出演。近年の出演作にドラマ「ナンバMG5」、「ACMA:GAME アクマゲーム」、「イグナイト-法の無法者-」、映画「変な家」、「劇場版ACMA:GAME 最後の鍵」、「アンダーニンジャ」など。
劇場アニメ『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』
2025年8月29日(金)全国公開
失敗しないように空気を読んでるはずなのに、みんなと同じようにやってるのに、なんでうまくいかないんだろう――人生に迷っていた大学生の安曇野あずみのりせは、ある日、亡き祖母が遺した招待状に導かれて、“不思議の国”へと入り込んでしまう。そこでアリスという少女と出会い、一緒に旅をすることに。白ウサギや青虫、ハートの女王にトランプ兵、マッドハッターと三月ウサギ、ハンプティダンプティ、双子のトゥイードルダムとトゥイードルディーにチェシャ猫に……次々にりせの前に現れるへんてこりんな不思議の国の住人たち!そして、巻き起こるハチャメチャな大騒動!?アリスとめぐる、とびっきりおかしな冒険で、りせはどんな未来を選ぶのか――この冒険で明日がきっと笑顔に変わる。
https://sh-anime.shochiku.co.jp/alice-movie/
取材・文/東海林その子
撮影/三橋優美子
スタイリング/馬場麻子〈原〉、津野真吾(impiger)〈間宮〉
ヘア&メイク/山田安莉沙〈原〉、三宅茜〈間宮〉
原:イヤカフ12,100円(four seven nine/ロードス03-6416-1995)、リング18,700円(PLUS VENDOME/ヴァンドームヤマダ03-3470-4061)
間宮:衣装協力/FORTUNA HOMME、Paul Smith