【東京・幡ヶ谷】三ツ星レストラン出身シェフは「お菓子を料理する」。人気店「Equal」のスイーツの秘密とは
2019年のオープンから5年。東京・幡ヶ谷で根強い人気を誇り、いまだ入店待ちの行列が途絶えないパティスリー「Equal(イコール)」。そんなEqualがスイーツマニアを惹きつけて止まない本質的な魅力と、後藤シェフのお菓子作りの哲学を紐解きます。
Equalはフランスで修行を積んだオーナーシェフ・後藤さんが「街のお菓子屋さん」をコンセプトにオープンしたパティスリーです。
曲線を描く美しいショーケースには、子どもから大人まで誰もがよく知る定番ケーキや、クラシックな焼き菓子が並び、小型な店内でありながらも豊富なラインナップが揃います。
フォトジェニックを追い求める世間と逆行し、潔いほど飾り気がないのが印象的なEqualのスイーツ。
そこには見た目にとらわれず、本質的な個性を重視する後藤シェフの哲学が息づいており、舌の肥えたスイーツマニアを確かに虜にしているのです。
店の代名詞でもある「チーズケーキ」。
見た目はベーシックなレアチーズケーキのようですが、実は火入れしているため「ベイクドチーズケーキ」なのです。ステーキの「レア」と同じように考えれば、仕組みがわかりやすいかもしれません。
低温でじっくりと火を入れ、チーズの旨みを引き出しつつ、生のような食感を残すように焼いているとのこと。ぷるんとした生地は、生感とベイク感を両立させた絶妙なバランス。
程よい塩気のクラスト生地や上層の爽やかなクリームソースが、チーズの旨味を引き立てます。甘さ控えめで味のキレがよく、お酒にも合いそう。
この洗練されたビジュアルには理由があります。もともと系列店のレストラン「PATH(パス)」で提供されていたメニューですが、生に限りなく近い生地は型崩れしやすく、デセールで提供できてもテイクアウトには不向きでした。
そこで、試行錯誤の末、クラスト生地で両側をはさむことで持ち運びやすくし、Equalの定番商品へと進化しました。
こちらも看板商品の「シュークリーム」。カスタードクリームは通常より短時間でさっと炊き上げ、適度に水分が残った軽やかさ。
和菓子のようなすっきりとした味わいをイメージして作られたとあって、上品な後味です。
シュー生地はしっかりとした噛み応えとほどよい塩気、そして上に絞って焼かれたアーモンドクリームが香ばしい甘さとザクザク食感をプラス。
香りの余韻も強く、小ぶりなサイズですが満たされる一品です。
「フレンチクルーラー プレーン」もEqualらしい一品。
多くのパティスリーでは縁のない「揚げる」という工程は、レストラン出身シェフだからこそある選択肢のひとつ。
フレンチクルーラーはシュー生地を揚げて作りますが、その生地にもこだわりが。外はさくっと、中はしっとりしてる食感を何度も試作を重ねて目指したといいます。また生地がとても繊細で、毎朝作っているというので手間もかかります。
パティスリーらしいおしゃれな形で、食感はしっとり・ふんわり・ぽよんとした弾力で、オムレツのような卵単体のストレートな味わいが惣菜風で優しい。小さなお子さんからご年配の方まで愛されている味わいです。
豊かな実績と確かな実力をもち、業界で名を馳せる後藤さん。改めてこれまでの道のりを振り返ります。
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