AI、絢香、清水翔太、ビッケブランカら10組が出演した『FM802 SPECIAL LIVE RADIO MAGIC』2日目のオフィシャルライブレポート到着
6月1日(土)、2日(日)の2日間、大阪城ホールにてFM802の開局35周年を記念した『FM802 35th ANNIVERSARY “Be FUNKY!!” SPECIAL LIVE RADIO MAGIC』が開催された。2日目のオフィシャルレポ―トが到着したので紹介する。
今年で開局35周年を迎えたFM802が主催する音楽イベント『FM802 35th ANNIVERSARY “Be FUNKY!!” SPECIAL LIVE RADIO MAGIC』が6月1、2日の2日間に渡り、大阪・大阪城ホールにて開催された。同イベントは2009年より、開局アニバーサリーイヤーの5年ごとに開催しているスペシャルライブ。FM802に縁のある、ジャンルを越えたボーカリストやバンドが次々に登場。ラジオでおなじみの「RADIO HITS」を中心としたナンバーを、この日のために結成されたスペシャルバンドの演奏をバックに披露。さらに、番組DJを務めるアーティストのトークが楽しめるステージが登場するなど、アニバーサリーにふさわしい饗宴が繰り広げられた。
2日目はAI、絢香、石原慎也(Saucy Dog)、クリープハイプ、塩塚モエカ(羊文学)、清水翔太、ビッケブランカ、牧達弥(go!go!vanillas)、LOVE PSYCHEDELICO、yamaが。さらにトークゲストには中島颯太(FANTASTICS)も出演。スペシャルバンド「FM802 35th ANNIVERSARY “Be FUNKY!!”RADIO MAGIC SPECIAL BAND」にはトオミヨウ(Key)、玉田豊夢(Dr)、安達貴史(Ba)、石成正人(Gt)、朝倉真司(Per)。ストリングスには藤堂昌彦、漆原直美、石橋尚子、石亀協子、金孝珍、二木美里、奥泉貴圭、稲本有彩が。FUNKYホーンズに武嶋聡、村上基、大田垣正信、コーラスにおかのやともか、大山佳佑が参加。
開演前にはFM802でDJを担当する、中島颯太が場内ラジオに登場。客入れ真っ最中の会場から生中継し、リスナーからの質問に応えるなど、この日も南森町のスタジオを飛び出し、大阪城ホールをスタジオに換え、リスナーの気分を高めていく。さらに、イベントの開演を報せる「FUNKY MUSIC STATION FM802」のメロディは、FM802の各番組で使用される新ジングル。この日のジングルは開局記念日である6月1日に公開されたばかりのもの。いまから始まる祝宴に向け、スイッチ代わりとなるジングルを耳にし、観客のテンションも高揚していく。
●yama
マジカルな瞬間、その幕開けを飾るのはyama! すでにFM802のイベントには欠かせない存在となったyamaの登場に、会場は拍手喝采で迎える。「RADIO MAGIC、楽しんでいきましょう!」、スペシャルバンドの軽快なビートに乗せて披露したのは「くびったけ」。ストレートなギターロックサウンドに透明感とくっきりとした輪郭を持つ歌声をぶつけ、熱い言葉を乗せていく。真っ白な衣装、真っ青なヘアスタイルは存在感も抜群。白いマスクで表情は見えないけれど、その口元からは柔らかな笑みも見える。「おめでたい節目にこのステージに立てて幸せです」と感謝の言葉を告げ、次曲「色彩」へと繋げる。ハスキーなウィスパーボイス、高低差激しい歌声はタイトルままに華やかで、ストリングスを加えたスペシャルバンドのダイナミックなサウンドと相まって、一層心地よく響きわたる。
●塩塚モエカ(羊文学)
「more than words」、空気が澄んでいくようなクリアな歌声、低音をビシリと効かせたバンドサウンドがリリックをよりくっきりとした世界観に仕立てていく。いつもはギターを手に歌う彼女だが、この日はマイクのみでパフォーマンス。広いステージを気ままに歩いたり、全身で音を表現し、観客に手を振ったりしながら歌う姿も新鮮だ。『MUSIC FREAKS』でDJを担当していたこともある彼女。「大阪がホームになったような、貴重な経験をさせてもらった」と想い出を語り、次曲「あいまいでいいよ」へ。何度も聴いてきたヘビーローテーション曲(2020年12月)ということもあって、凛とした歌声に誘われ、観客も自然と一緒に声を出して歌う。
●石原慎也(Saucy Dog)
まずは「シンデレラボーイ」からハスキーで、でも心の奥底にしっかりと刺さる歌声で観客の感情を豪快に掴んでいく。彼もまた、この日はバンドではなくソロでの出演。いつもと違うゴージャスなバンドサウンドが鳴り響く中、石原も観客と一緒になってこの日限りのパーティを満喫。思いのたけを込めて熱唱した「真昼の月」。直前まで席に座っていたおじさんが曲名を聞いた途端に立ち上がり、ご機嫌に体を揺らす姿が見える。2018年5月のヘビーローテーションに選ばれたこの曲。これまで以上にバンドが認知され、楽曲が愛され、浸透してきたことが伝わってくる。とびきり大きなハンズクラップに乗せた「優しさに溢れた世界で」では観客と共に歌い、たった3曲でも大汗をかきながら、フルスイングなパフォーマンスで楽しませてくれた。
●ビッケブランカ
『MUSIC FREAKS』や『MEET THE WORLD BEAT』への出演など、彼もまたFM802に欠かせない存在となったアーティストのひとりだ。「Ca Va?」のキャッチーで中毒性あるメロで瞬時に観客の心を掴むと、「大阪は新しい経験や色んなことを教えてくれた場所。ここにいられることを誇りに思う」と、次曲「Snake」へ。前曲とは一転、スリリングなビート、リズムのなかで柔らかなファルセットボイスを響かせる。DJ陣から“稀代のMUSIC CREATER”と称されるのも納得の、楽曲ごとに印象が変わるステージ。観客はもちろん、バンドメンバーもこの瞬間を大いに楽しんでいるようだ。「10年経つと、曲の作り方も変わる。言葉の言い回しとか、今見ると恥ずかしくて、長くライブでやっていなかったけど、(アーティストとしての)キャリアを始めた頃の曲」と披露したのは2014年10月のヘビーローテーションに選ばれた「秋の香り」。前出の2曲と確かに印象は異なるけれど、この曲をきっかけに彼の存在を知ったリスナーも多いはず。柔く、優しく、生命力に満ちた声で歌う彼の表情もなんだか新鮮だ。
●清水翔太
DJからの紹介メッセージの一言一句に会場が沸いたのが、清水翔太のステージだ。まずはネオソウルの心地よいサウンドが体を揺らす「Baby I love you so」でエッジの効いた、でも滑らかな歌声で観客の心を解していく。ピアノの優しい旋律が響き、歌い出しのたった一瞬で会場から感嘆の声が漏れ聞こえたのが「HOME」(2008年2月ヘビーローテーション)だ。臨場感たっぷりなスペシャルバンドのサウンドが、彼の深く伸びる歌声をより印象深くしていく。MCでは「デビュー曲をまたここで歌えることがうれしい」と感謝の気持ちを伝え、次曲「STAY TUNE」へ。FM802恒例の春の「ACCESS!キャンペーンソング」として、2017年に清水翔太が作詞作曲を手掛けたものだが、なんとこの日がライブ初披露とか。しかもゲストにビッケブランカと絢香を迎え、この日限りのスペシャルなコラボステージが実現。「STAY TUNE」は音楽とラジオだけでなく、人との繋がりが深まっていくことを実感できる曲。シンガーとしてはもちろん、彼の卓越した作曲センスをまじまじと体感することができた。
各アーティストのステージ前には、FM802のDJ陣が想いをこめたメッセージでアーティストを紹介。それはただの概要ではなく、互いの想い出や楽曲、ライブへの想いもあふれていて、こういったシーンからアーティスト、ラジオ、リスナーとの思いが繋がっているのだと実感。ほかにも、生中継でライブを終えたばかりのアーティストのインタビューを放送するなど、FM802 のポリシーでもある「生放送」なエッセンスを随所にダイレクトに感じ取ることができた。
●クリープハイプ
尾崎世界観(VO&Gt)がつらつらと言葉を羅列させ、一気に濃厚な世界観へと引きずり込んだ「ナイトオンザプラネット」でライブスタート。ハイトーンボイスに強く心が惹かれる憂いを帯びたメロディ、物語を読み進めるように打ち込まれる小泉拓(Dr)のビート。たった1曲で会場の空気が変わったのが伝わってくる。小泉拓(Dr)がギターリフを爪弾いた瞬間、今度は淫靡な香りが漂った「キケンナアソビ」。アニバーサリーイヤーのお祭りでも、媚びることのないスタイルはさすがだ。それでも、リリックを『RADIO MAGIC』版にアレンジしたりと、この瞬間だけの特別なステージで楽しませてくれるのもいい。長谷川カオナシ(Ba)がマイクを取る「月の逆襲」、バンドのポップネスを追求した「イト」など、「言いたいことはいっぱいあるけど、曲を詰め込んでやりたいと思います」と、ストイックなステージでバンドの魅力を見せつけていく4人。ラストは「大事な節目のイベントに立たせてもらってうれしい。心をこめて歌いたい」と、インディーズ時代から大切に歌い続けてきた「exダーリン」。5曲と短い時間ながらも、バンドの本質にぐっと迫る布陣で確かな軌跡を残していった。
●牧達弥(go!go!vanillas)
「いつだって最新最高を超えていくバンド」と紹介を受けて登場した、牧達弥(go!go!vanillas)。ウエスタン風のギターリフがテンションを高める「マジック」から、颯爽とした歌声を響かせる。2014年11月のヘビーローテーションに選ばれた同曲はいまではバンドのライブアンセムのひとつにもなっていて、「音楽の魔法」を謳った歌詞は共感の塊でしかない! 「FM802と僕は同じ年! まだまだ長い付き合いをしていこう! FM802と出会って超ラッキー!」と、「ラッキースター」ではカラっと爽やかなギターロックサウンドが響くなかを気持ちよさそうに歌い上げる彼の姿に、観客も思わず破顔の表情に。「ここにいるみんなの未来が、さらにさらに素晴らしいものになりますように!」と、ラスト曲は「アメイジンググレース」。音楽へ、ライブへ、そしてラジオ賛歌な選曲、そして「最新最高」に「最幸」を加えた多幸感いっぱいのステージに拍手喝采が届けられた。
●絢香
この日で4回目の開催を迎える『RADIO MAGIC』だが、その全てに出演しているのは絢香ただ一人。1曲目は代表曲でもある「三日月」。さらりと奏でられたメロディを一聴しただけで観客から感嘆の声が聞こえる。包容力や深みのある歌声、心震わす詞世界や美しいメロディ。そのすべてに心奪われ、観客はただじっと前を見据えて聴き入っている。これまでにも「MUSIC FREAKS」でDJを担当するなど、大阪生まれの彼女にとってFM802は身近な存在。MCでは感謝の気持ちを伝えつつ、「みんなで楽しめる曲を」と「Have fun!!」で、観客を巻き込んだパフォーマンスで会場を沸かす。ライブの定番曲ということもあってか、初めて聴く観客もすぐに曲に馴染み、コール&レスポンスでライブに参加。ラストは5月29日にリリースされたばかりの新曲「ずっとキミと」。大切な人、ペットへの想いを描いた、ぬくもりに溢れた曲で心癒してくれた。
●LOVE PSYCHEDELICO
NAOKI(Gt)のギターが唸りをあげ、ドラムのカウントから一気にテンションを解放した「Free World」。日本語と英語が交互に入れ替わる詞を気持ちよさそうに歌い上げるKUMI(Vo)。彼女の歌声に誘われるように、観客もハンズクラップでライブに参加していく。テクニカルなギターにも目が離せないけれど、メンバー2人がスペシャルバンドとのライブを思いっきり楽しんでいる姿も素敵だ。特別感を堪能できるサウンドは続く「Shadow Behind」でも。バンドのグルーヴを高めるKUMIの歌唱、NAOKIの感度高めなギターサウンド、どこまでも気分はハイになれるが、ステージはあっという間に最終曲に。「FM802にはいつも素敵な縁をいただいている。今夜も素敵なミュージシャンと演奏するご縁をいただきました」と、ステージに呼び込んだのは塩塚モエカ(羊文学)。初コラボに選んだのは、2000年3月のヘビーローテーションであり、デビュー曲の「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」。NAOKIの迫力あるギターリフに煽られるように、KUMIと塩塚は声をぶつけあうように熱唱。塩塚の歌声はいつも以上にタフに感じるし、KUMIも初のコラボにご満悦の様子。もちろん、観客もレアなコラボステージに大満足!
●AI
2日間に渡って「音楽の魔法」が鳴り響いた祝宴。その最後のステージを締めくくるのはAI。柔らかなストリングスが響くなか、「アルデバラン」からしなやかで、時に人間臭い、唯一無二の歌声で観客を圧倒。表現力豊かな歌唱が、歌詞に込められた想いをさらに深く胸に刺しこんでいく。「めでたい日に呼んでいただいてありがたい! “一人じゃない”って思える歌を、素晴らしい歌声のこの人と歌いたい!」と、絢香とともに「Story」をコラボ。2人は語り合うように楽しげに歌い、美しいハーモニーを重ねていく。楽曲の素晴らしさはもちろん、音楽が共鳴する瞬間を目の当たりにした観客は拍手喝采を送る。コラボはさらに続き、スペシャルゲストにOZworldを招致。もちろん彼が来たとあれば、映画『ゴジラ×コング 新たなる帝国』の日本版主題歌「RISE TOGETHER feat.OZworld」だ。ゴジラの登場シーンでおなじみの「ダララ」に合わせ、スリリングな歌唱&ラップで観客を圧倒していく二人。ストリングスはこの曲のために用意されたのかと思うほどダイナミックで、圧巻のステージはあっという間に終わりを迎えた。
この日もイベントの終幕を飾るのは、出演者やFM802のDJ陣もそろってのセッション。「最後にみんなで笑顔になりたい!」と選んだ曲はAIの「ハピネス」だ。<君が笑えば この世界中にもっと もっと 幸せが広がる>。その言葉通り、出演者たちの歌声に魅了され、観客は手を高く掲げ、満面の笑みを浮かべながら音楽のパワーを全身で受け止めていた。
2日間にわたって繰り広げられたマジカルなステージは大団円で幕を閉じた。なお、両日のライブの模様は特別番組『FM802 35th ANNIVERSARY “Be FUNKY!!” SPECIAL LIVE RADIO MAGIC LIVE ON AIR』として、7月15日(月・祝)18:00~21:00にわたり、生放送でのオンエアを予定(DJ浅井博章、内田絢子)。貴重なライブ音源やアーティストコメントなども放送されるので、ぜひチェックしよう。
取材・文=黒田奈保子 写真提供=FM802、撮影=田浦ボン、渡邉一生