JR東日本、ドローンを活用して安全性向上・働き方改革に取り組む
JR東日本高崎支社は、2023年9月からドローンを活用したメンテナンス業務を通じて、鉄道の安全性向上、業務効率化、そして働き方改革に取り組んでいる
鉄道構造物に対して新しい視点で点検手法を取り入れることで、点検精度の向上が期待でき、鉄道を利用するお客さまや沿線に住んでいる人々にさらなる安全・安心を提供できる。
ドローンを活用することで、従来の高所や斜面に登っての点検や夜間作業の一部削減を進め、鉄道の安全性向上や作業者の負担軽減に努めている。
概要
鉄道の安全で安定した輸送には、鉄道構造物の健全性を確認するために点検者の目視が基本となっている。ドローンで撮影された画像を活用することで、新しい仕事の仕組みである「スマートメンテナンス」を実現し、安全性、品質、生産性の向上を図りつつ、社員の働き方改革を推進している。
従来の点検からドローンを活用した点検を行うイメージ
従来の点検方法から、必要な要員を1人削減できるようになる。ドローンで撮影した画像は複数の視点から確認できるため、点検精度の向上にもつながるという。
DJI Matrice350 RTK(写真左)
ローン導入に伴うメンテナンス業務の有効性
これまでの実証実験や実際の作業を通じて、高所での作業や夜間に行っていた作業にドローンを活用することが、メンテナンス業務の効率化・省力化に有効であることがわかっている。
高所作業の削減
こ線橋や橋りょう上部の点検など、高所での作業は、ドローンを使用することで作業者などの「墜落リスク」を軽減できる。
沿線斜面の調査作業の軽減
落石や斜面調査を行う際に、事前にドローンで広域的に点検することで、作業者の「身体的負担」を軽減できる。
視認性の向上と夜間作業の削減
これまで新幹線高架橋の防音壁などは、終電から始電までの限られた時間で点検する必要があったが、ドローンにより昼間でも点検が可能になり、明瞭な画像に基づく「精度の高いメンテナンス業務の実現」と「夜間作業の削減」に繋がっている。
従来の点検方法(写真左)。線路直上を避けた飛行ルートにすることで、昼間の点検が可能になる(写真右)
その他の活用事例
今後の予定
ドローンを活用したメンテナンス業務の有効性について、今後も継続して検証を実施していく。ドローンによる目視だけでなく、点群データを活用した周辺環境の3Dモデル化、沿線樹木の位置・生育状況の把握や変状箇所への補修材塗布など簡易修繕について、2025年度中に検証の実施・導入を検討していくとしている。
労働人口減少社会において、顧客・社員などの安全を確保しながら「スマートメンテナンス」の実現を通じて課題解決に取り組んでいく方針だ。
JR東日本