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鴻八幡宮の例大祭(2024年10月12・13日開催)~ 地域の人たちが地域のために盛り上がる「しゃぎり」と「だんじり」を堪能するお祭り

倉敷とことこ

鴻八幡宮の例大祭(2024年10月12・13日開催)~ 地域の人たちが地域のために盛り上がる「しゃぎり」と「だんじり」を堪能するお祭り

核家族化、マンションやアパート暮らしが一般的になってきた昨今、近所の大人と子どもたちが交流する機会が減ってきていませんか。
私自身も、自分が住んでいるアパートに暮らす人たちがどのような仕事をしているどのような人なのか、知らないで生活しています。

このようなご時世ですが、倉敷市内では今もなお地区の大人が子どもたちとともに、お祭りを継承している地区もあります。

地区の大人から子どもたちへ、口伝(くでん)で伝わるお囃子(はやし)「しゃぎり」と、だんじりで盛り上がる例大祭がおこなわれる鴻八幡宮へ行ってきました。

鴻八幡宮の例大祭とは

2024年10月12日(土)13日(日)の2日間、児島にある鴻八幡宮とその氏子区である倉敷市児島上の町、下の町、田の口、唐琴を会場に開催された鴻八幡宮の例大祭は、以下の内容で構成されています。

・鴻八幡宮と地区内の御旅所(おたびしょ)をご神体が往復する御神輿神幸(おみこしじんこう)
・お囃子(以下、「しゃぎり」と記載)に合わせて、十九台のだんじりおよび・千歳楽(せんだいろく)が地区内・鴻八幡宮の境内をにぎわせるお祭り

鴻八幡宮の祭礼で演奏される祭り囃子は「しゃぎり」と呼ばれており、岡山県重要無形民俗文化財にも指定されています。

毎年10月の第二日曜日とその前日の二日間にわたって開催されていて、2024年は10月12日(土)と13日(日)の二日間に開催されました。

初日の12日(土)は、だんじりおよび千歳楽がそれぞれの町内を練り歩きます。そして、二日目の13日(日)は、御神輿神幸と各地区から出発しただんじりおよび千歳楽が、しゃぎりの演奏とともに朝から晩まで境内を盛り上げました。

朝から晩まで、しゃぎりとだんじりが場を盛り上げる例大祭

例大祭二日目、まずはご神体が祭典をする御旅所へ向かいました。

御旅所は二か所あり、東廻りの場合は唐琴、西廻りの場合は上の町。2024年は西廻りのため、上の町にある上の町集会所で祭典がおこなわれました。

ご神体が鴻八幡宮と地区内の御旅所を往復する間も、各地区のだんじりや千歳楽がしゃぎりのメロディに合わせて各地区を練り歩き、鴻八幡宮の境内を目指します。

地区ごとにしゃぎりのメロディに特徴があるほか、だんじりの形や大きさも異なるので、境内に上がってきた各地区のだんじりが並ぶ姿は圧巻です。

また、表参道の急斜面を上り下りする際にも地区ごとにパフォーマンスもあり、見ていて飽きません。

最初のだんじりが午前9時30分に表参道をのぼり始めてから最後のだんじりがくだり終える午後8時頃まで、鴻八幡宮は盛り上がり続けていました。

四方八方、どこを見ても法被姿の参加者ばかりな例大祭

鴻八幡宮の例大祭に行って何よりも驚いたのは、四方八方どこを見ても法被(はっぴ)姿の参加者ばかりだったことです。

私の出身地である東北にも、ねぶた祭りや竿灯まつりなどの大きなお祭りがあります。それらのお祭りは鴻八幡宮の例大祭と異なり、参加者と同じかそれ以上の観光客の姿が目立ち、有料観覧席なども用意されていました。お祭りを演出する人たちは法被や衣装を身に纏(まと)いますが、観光客は浴衣や普段着がほとんどです。

鴻八幡宮では、表参道に出店された出店に並んでいる人のほとんどが、各地区の法被を身に纏っています。また、境内もしゃぎりを奏でたりだんじりを曳いたりしてきた人ばかりで、私のように私服で参加している人のほうが珍しいほど法被を着た人であふれていました。

しかし、私のような地区外の人が境内でだんじりを眺めたりお祭りを楽しんだりしていても、地域の人たちはあたたかく見守ってくれたりだんじりが見やすい場所を譲ったりしてくれるので、気兼ねなく楽しめます。

まさに、地域の人たちが地域の人たちのために開催しているお祭りなのだと肌で感じられました。

子どもも大人も、男女問わず盛り上がる例大祭

「だんじり」と聞くと、大阪府岸和田市が全国的に有名ですよね。

鴻八幡宮の例大祭を盛り上げるだんじりの文化も、北前船と一緒に関西から入ってきたのだとか。その大阪では、だんじりを引ける女性は18歳までと決まっており、大人の女性はだんじりを曳けません。

しかし、鴻八幡宮の例大祭は男女問わず大人から子どもまで地区の人たちが力を合わせてしゃぎりを奏で、だんじりを曳きます。

「しゃぎり」を練習する小西地区の子どもたち

特にしゃぎりの練習は、地区の大人から子どもへ口伝されるもの。例大祭に向けて早い地区では夏休み前から週に3回程度練習を重ねてきたのだとか。

例大祭当日は、老若男女問わず地区のみんなで声を掛け合いながらはじける笑顔で例大祭を盛り上げる姿が見られました。抱っこひもで抱かれた赤ちゃんの参加もありましたよ。

午後3時過ぎに境内へ上がってきた小西地区の参加者は

「日頃の練習の成果を発揮しながら無事に境内まで上がってこられました。帰りは時間が遅くなるので、しゃぎりを奏でる人数もだんじりを曳く人数も少なくなるので、最後まで気を抜かずに小西地区まで帰りたいと思います」

と笑顔で語っていました。

また、鴻八幡宮で禰宜(ねぎ)を務める河本昌樹(こうもと まさき)さんも

「今年も無事に例大祭を執りおこなえてほっとしています。どの地区も今日のために練習を重ねてきてことがよくわかる演奏とパフォーマンスの数々で、参加者の楽しそうな表情がうれしいですね。各地区に帰るまでが例大祭なので、無事に怪我無く終えられればと思います」

と晴れやかに語ってくれました。

おわりに

朝から晩まで鴻八幡宮の氏子区すべてからしゃぎりのメロディが聞こえてきて、各地区の法被を着た人が仲間とともに楽しんだ例大祭。

この日を精一杯楽しむために、各地区で練習を重ね、仲間同士の絆を強めてきたからこそ参加者の当日の笑顔が見られる鴻八幡宮の例大祭でした。

これからも、地域の大人から子どもたちへ継承され続けていってほしい伝統文化のひとつです。

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