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ジュビロ磐田は新戦力を得てシーズン後半戦に巻き返すことができるか?サックスブルーの動向を探る

アットエス


J1は現在、国際親善試合を含めた約2週間半のブレイクに入っている。ちょうど夏の移籍期間と重なることもあり、多くのクラブが残りシーズンに向けた補強を行う中で、現在18位と降格圏に沈むジュビロ磐田も、セレッソ大阪からFW渡邉りょうを獲得。ブレイク前に同クラブから加入したMFジョルディ・クルークス、イスラエル人DFハッサン・ヒル、栃木SCからレンタルバックのGK中島佳太郎とともに、目標とする“勝ち点40以上”に向けて、大きな力となることが期待される。

クルークスの起用法

攻撃の中心として注目を集めるのはクルークスだ。7月20日の京都戦で1点を追いかける終盤に投入され、短い時間の中でも存在感のあるパフォーマンスを見せた。

もう少し長い時間プレーできていればと悔やまれる部分もあるが、磐田に合流して5日目、実質3日間のチーム練習しかできていなかった。守備の約束事などの共有も不十分で、後半途中までリードしていた時間帯に起用することは横内昭展監督も難しかったようだ。

ただ、堅守速攻を掲げるアビスパ福岡で2シーズン主力を担ってきた選手で、スタメンでチャンスを得たスタッド・ランス戦でも、守備面の貢献ぶりを示していた。ブレイク明けの新潟戦で、どういった起用法になるか楽しみなポイントだ。

静岡に戻ってきた渡邉

藤枝MYFC時代の渡邉りょう


アスルクラロ沼津と藤枝MYFCに在籍した経験があり、静岡に戻ってきたFWの渡邉もマテウス・ペイショットやジャーメイン良と違った特長を持つストライカーだ。90分間ほぼ出ずっぱりの二人の負担を軽減すると同時に、点を取りに行く切り札としても、明確な武器になることは間違いない。

ただし、相手のディフェンスを背負ってロングボールを受けるより、ワンタッチのポストワークなどで絡みながら、最後はボックス内でマークを外してフィニッシュに持ち込む点取り屋なので、ペイショットやジャーメインと同様のタスクを与えるのは得策とはいえない。スタメンで起用する試合では多少、選手の組み合わせやオーガナイズを変える必要があるかもしれない。

外国人枠どうする

ハッサン・ヒルもスタッド・ランス戦で見せたように、守備面で強さを発揮しながら、積極的なビルドアップで磐田をベースアップさせられる選手だ。森岡陸と伊藤槙人が負傷明け、鈴木海音がパリ五輪で不在という状況もあり、新潟戦でいきなりリーグデビューのチャンスが回ってくる可能性もある。

ただし、外国人枠の問題も軽視できない。前半戦はリカルド・グラッサにペイショット、レオ・ゴメス、ブルーノ・ジョゼ、ウェベルトンの5人だった。そこにヒルとクルークスが加わったことで7人に。ベンチ登録できるのは5人であるため、横内監督にとって良くも悪くも、頭を悩ませる材料が増えたと言える。

特別指定選手2人にもチャンス

新戦力の選手はもちろん、特別指定選手ながら7月24日のスタッド・ランス戦に出場したMF角昂志郎や大学3年生のDF吉村瑠晟も、ポテンシャルや特長的には残り14試合となったリーグ戦で、十分に戦力として期待できる。

あとは彼らの学業や大学サッカーのスケジュールと照らし合わせながら、チームの活動に組み込んでいけるかが、リーグ戦の出場チャンスにつながってくる。特に大学の夏休み期間はサッカー部の活動があるものの比較的、チームに帯同させやすい。具体的には吉村であれば、左サイドバックの主力である松原后が出場停止となる8月7日の新潟戦、角なら8月17日の町田戦はもし帯同可能であれば、重要戦力にもなりうる。

平川はインサイドで起用したい

既存のメンバーで気になるのは平川怜の起用法だ。J2のロアッソ熊本では2列目の中央が主戦場だったが、磐田では4−2−3−1の左サイドハーフで使われてきた。J1を戦う中でチームとして思ったよりポゼッションが上がらず、自陣で守る時間帯も多くなる中で、ゴールからの距離が遠くなり、ペイショットにロングボールを当てても平川がタイミングよく前線に絡めないシーンも目立っていた。

20日の京都戦ではベンチ外となったが、4日後のスタッド・ランス戦で横内監督は松本昌也と共にボランチで抜擢。平川は期待に応えるように中盤で高いスキルを発揮した。

ユース年代から仲が良いという対戦相手の中村敬斗は「やっぱりめちゃうまいなって。持ち方がいいですからね。ボールを失わないし」と称賛し「絶対ウイングじゃないでしょって思ってました(笑)」と語っていた。

ポジションというのは結局、周りとの組み合わせや戦術的なオーガナイズで役割も、バランスも変わってくるものだが、やはり磐田の事情を考えればインサイドで起用しないのはもったいない。

現在は4−2−3−1と言っても、ここまで13得点のジャーメインが1トップのペイショットと縦の2トップを組んでおり、典型的なトップ下としては山田大記もいる。熊本時代のように平川がそこで中心を張るのは難しいが、ボランチであれば正確な技術や視野の広さを生かすことができる。

課題だった守備のハードワークやデュエルはそれこそ左サイドで鍛えられてきており、ボランチのポジションでも生かせそうだ。平川以上のポリバレントである松本も、ジョルディ・クルークスの加入によって、インサイドがより有力な選択肢になってきそうだ。

夏に加入した新戦力、台頭してきた特別指定選手、そして起用法の変化が期待されるメンバー。ここまで構築してきたベースにそれらがミックスされる形で、ブレイク後のリーグ戦にどう生かされていくのか。GK川島永嗣や中村駿など、怪我から帰ってくる選手の完全復活にも期待しつつ、動向を見守っていきたい。

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