豪華ゲスト続々登場!“見どころお化け”な韓ドラ大傑作『ナインパズル』後半戦レポート【ややネタバレ有】
ディズニープラス『ナインパズル』ついに全話配信!
5月21日よりディズニープラスの「スター」で独占配信がスタートした韓国ドラマ、『ナインパズル』(全11話)が凄まじい面白さで話題を呼んでいる。初回に6話までが一挙配信され、6月4日(水)から、ついに第10話と最終11話が配信開始された。
👉️前半解説記事:まるで「韓ドラ福袋」な豪華さ&面白さ!キム・ダミ&ソン・ソック初共演『ナインパズル』前半戦濃厚解説
ウェブトゥーン原作の韓ドラが多い昨今だけに、貴重なオリジナル脚本作品としても注目を集めている本作。数々の骨太クライム~サスペンス映画を手がけてきたユン・ジョンビン監督作ということで、ありえないくらい豪華俳優陣のゲスト出演も、これまでの韓ドラ基準では測れない魅力と言えるだろう。
キム・ダミ演じる主人公ユン・イナは超人的な能力を持つ犯罪プロファイラーで、自己中もとい奔放な性格のため周囲を振り回しがち。エキセントリックな言動が特徴の主人公はキャラクターを印象づけるための不可解モーションで観客をイラつかせがちだが、イナの場合は行動原理に矛盾がないので、ほぼストレスフリー。
しかも相棒的ポジションの刑事キム・ハンセム(演:ソン・ソック)が、愚直な捜査によって彼女の推理を都度しっかり裏付けていくので、刑事ドラマとしての納得度も高い。本作が初共演となるダミ&ソックが互いを信頼していく様子も、なにかとラブ要素をねじ込みたがる男女バディもの特有のベタつきがなく爽やかだ。
初回一挙配信からの「見どころお化け」な後半戦の見どころは?
初回6話一挙配信は、漢江署やソウル警察庁など登場人物たちの背景や、イナが巻き込まれていく事件、刑事たちの疑念や焦燥を観客に植え付けるのに功を奏した。
実際、過剰にドラマチックな「どうなる次回? 乞うご期待!」みたいな不自然な“煽り”も回避しているし、関連人物やキーアイテムの相関を早い段階で脳内に構築できたはず。イナのコミュニケーション能力の成長――罪悪感に苛まれている警官をさりげなく気遣ってみせたり、傷心の同僚の肩をそ~っとポンポンしたり――にハッと気づけるのも、初回たっぷり配信の効果だろう。
ということで、第1話~6話のコッテリ解説は前回の記事を参照していただくとして、ここでは第7~9話をざっと振り返りつつ、第10話~最終11話の見どころにも触れておこう。とにもかくにも、もし本作の鑑賞を躊躇している人がいたら、今すぐ第1話をポチってほしい。連続ドラマのお約束である“ガマンの初回数話”などは無く、毎エピソードに山あり谷ありの“見どころお化け”な、間違いなく今年最注目の韓国ドラマだから!
※注意:次ページより物語の内容に触れています。
ファン・ジョンミン、パク・ソンウンら豪華ゲスト登場!でも即死亡!?
※注意:物語の内容に触れています。
シリーズ後半戦は、イナが当事者となった10年前の事件だけでなく、さらに過去の謎にもズブズブとハマっていく。初登場の記者イ・ガンヒョンの存在や、新たなパズルのピースの発見、そして強力2班の班長ヤン・ジョンホ(演:キム・ソンギュン)の過去など、時代を行き来しながら謎が深まっていく。
リゾート地である済州島も惨劇の舞台となり、そこで登場するのが『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』が日本公開中の、我らがファン・ジョンミン兄貴! しかし第6話の名優イ・ソンミンと同じく、秒で死亡……!! 彼が演じるオ・チョルジンの飄々としたバイブスはジョンミンならではだが、イナたちを“過去の闇”へと引きずり込むことになる重要な存在でもある。
【ここまでのパズルのピース】
①:目を閉じて写真を撮る男(イ・ガンヒョン)
②:人形を銃で撃つ男(ユン・ドンフン)
③:綿あめを手にささやく女(イ・ミヨン)
④:腕章をつけて踊る男(カン・チモク)
⑤:砂の城を壊すピエロ(ド・ユンス)
⑥:大食い大会の参加者(オ・チョルジン)
ついにパズルのピースは6枚目となり、全9枚で構成されることがほぼ確。そして、ここまで見守ってきた観客にはイナの担当精神科医であるイ・スンジュ(演:パク・ギュヨン)と同僚ファン・インチャンが大きくフィーチャーされはじめる展開に、ヒヤリとしたものを感じるだろう。なお容疑者枠がさらに広がっていくのと反して、警察内部には疑惑を払拭する人物も。ついに<パズル連続殺人>として正式に捜査本部が設立され、かつての容疑者候補が指揮を執るのだ。
カギとなるのは、高級タワマン(ザ・ワンシティー)を巡る被害者たちと、孤児施設出身のベテラン刑事。とはいえまだまだ謎だらけの展開に首を傾げていると、重要な新キャラ=元検事長クォン・サンボムが意気揚々と登場。演じるのはお待ちかねのパク・ソンウン! その禍々しいオーラは、いっさい説明がなくても極悪人かサイコパスだろうと予想できる。まさにユン・ジョンビン監督の人脈が炸裂した最強キャスティングである。
ここにきて(犯人にとっては)イレギュラーな事態も起こりはじめ、あまり感情を表に出そうとしなかったハンセムが号泣するなど、登場人物それぞれに事件が深く食い込んできたことが強調される。口先を尖らせてブツクサ言う姿が愛おしかったソン・ソックが泣き叫ぶ熱演には、涙腺が決壊すること間違いなしだ。
息をするのも忘れる壮絶展開! どうなる第10話&最終11話
ついに配信となった第10話&最終11話。だが、最後の最後まで真犯人の正体を引っ張るようなことはしない。とはいえ犯人確定からの、真相がじわじわと判明していく流れが非常に恐ろしく、また腹立たしく、犯人に同情心すら芽生えてしまう。その犯人を演じる“あの人”の印象が180度ガラッと違って見える迫力に息を呑むだろう。なんだか半分この世に存在していないような、デッサン画のように朧気な佇まいなのに、目に焼き付いて離れない不思議な存在感なのだ。
あまりにも悲しすぎる救いのない犯行原理は、しかし最後の最後ですさまじい説得力を帯び、私たち観客を戦慄させる。今後ほかの作品で見かけるたびに思い出してはゾクリとするであろう、本作が生んだ最も大きな成果の一つと言いたくなるほどのインパクトを放っている。
最終エピソードでは、被害者たちの言い訳無用の“原因”が、時間を20年前に遡って描かれる。言うなれば“悪のわらしべ長者”な汚職コネクションは顔をしかめたくなる腐敗ぶりなのだが、演じるキャストが豪華すぎるゆえに眼福この上なし。おそらく韓ドラ史上“もっとも豪華な死体キャスト陣”だし、この先もなかなか実現しないのではないだろうか。Kコンテンツの古参ファンには、若い頃の留学経験で日本語もペラペラな超ベテラン俳優、「ウンさま」ことキム・ウンスの登場も嬉しいところ。つくづくジョンビン監督の極太人脈おそるべし、である。
本作を完走した観客の多くが、イナとハンセムの活躍をもっと観たい!バディものとして シリーズ化してほしい! と悶絶するはず。肩透かしをくらいがちなラストショットも丁寧に描かれていて、シリーズ続行を期待して良さそうな気配(?)。この作品世界から卒業するのが名残惜しいが、韓ドラ史に刻まれるであろう傑作の目撃者に今すぐ、なろう!
『ナインパズル』はディズニープラス「スター」にて全11話独占配信中