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目指すは「ミスターキングス」クラブ初“U22契約”!琉球ゴールデンキングスU18・佐取龍之介に与那嶺翼HC「190cmのPGに…」

OKITIVE

恩師の与那嶺HC(右)と肩を組み、笑みを浮かべる佐取
キングスU18の佐取龍之介(左)と与那嶺翼ヘッドコーチ=沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝)

プロバスケットボールBリーグ・琉球ゴールデンキングスのユースチーム「キングスU18」でキャプテンを務め、ユース育成特別枠でトップチームにも帯同する#77佐取龍之介。数分間ずつとはいえ、既に4度に渡って沖縄サントリーアリーナのコートに立っており、キングスファンの間でも認知度が高まってきているだろう。 1月には、2025-26シーズンからキングス初となる「U22枠」でプロ選手契約を結ぶことが発表された。身長187cmと際立って高さがある訳ではないが、持ち前のハッスルと長い手足を生かしたリバウンドとシュート力は年々磨きが掛かっている。率先して声を出し、勝負所では自らスコアを狙うリーダーシップも備える。BリーグユースのU18世代では指折りの選手の一人だ。 体の線の細さや成長途上にあるハンドリング技術を考慮すれば、伸びしろが多く残されていることは間違いない。U22契約は将来性を見越しての判断だろう。 トップ級の選手にしては珍しく、バスケを始めたのは中学校からと競技歴は浅い。中学時代には県大会で初戦敗退の悔しさを味わったこともある。 なぜ、急速に頭角を現したのか。本人とキングスU18の与那嶺翼ヘッドコーチ(HC)へのインタビューを通し、その過程を紐解いていく。

栃木→沖縄…「自分を高めたい」とキングスU18へ

中学3年で栃木県から沖縄に移った

栃木県足利市の出身。小学生の頃はテニスやドッジボール、体操、サッカー、陸上など多彩なスポーツに親しんだ。シンプルに体を動かすことが好きだったという。 中学では、親友から「バスケやろうぜ」と誘いを受けてバスケ部に入部した。「遊びですらやった事がなかった」と言うが、すぐにハマる。 「単純に楽しくて、それまで経験したスポーツの中で一番ハマったんですよね。感覚的に『これ好きだな』みたいな。試合を観に来たお父さんもバスケが好きになって本気になり、休みの日は家の駐車場に設置したリングで一日中一緒にバスケをすることもありました」 当時の身長は150cm台と小柄で、主な役割はポイントガード(PG)。部活動とクラブチームをかけ持ちし、さらにBリーグ・宇都宮ブレックスが運営するスクールにも通ってドリブルやシュートの技術を磨いた。特にクラブチームの監督は「練習中からみんなが声を出すのがスタンダードだった」と言い、現在のリーダーシップの素地が築かれた。 中学3年に上がるタイミングで、父の「憧れの場所」だったという沖縄に家族で移住し、豊見城市の伊良波中学校に転校した。同時に部活動にも入ったが、チームは決して強くはなく、自身もまだまだ基礎を固めている段階。県大会では初戦敗退も経験した。 さらなる成長を求め、「沖縄の中でもレベルが高いチーム」「もっと高みを目指せる場所」と考えていたキングスU18のトライアウトに参加した。中学3年間で一気に身長が伸び、高校進学時点で177cmまでサイズが増していたこともあり合格。自らのバスケ人生を大きく変えることになる新天地へと足を踏み出した。

1年夏に訪れた“転機” ワークアウトで「才能」磨く

日々のワークアウトでハンドリングスキルを磨いた

キングスU18に合流すると、早速面食らうことになる。 「栃木にいた頃はPGをやっていましたが、まわりを見たらガード陣が自分より全然上手くて、バケモノ級ばかりでした。衝撃でしたね」 一つ上の代には須藤春輝(大阪体育大学1年)と宜保隼弥(国士舘大学1年)、同級生にも#99新垣元基や#11平良南海輝というスキルの高いガードが揃っていた。チーム内では高身長に分類され、リバウンドに対する感性の良さも備えていたため、加入直後はインサイドを中心にハッスルすることに注力した。 4カ月ほどが経過した頃、転機が訪れる。真夏の8月中旬に行われた、BリーグU18の全チームがトーナメント形式で頂点を争う「チャンピオンシップ 2022」の準々決勝でのことだ。相手はライジングゼファー福岡U18だった。 キングスU18の与那嶺翼HCが振り返る。 「彼がチームに入ったばかりの頃は泥臭くリバウンドを取って、走って、というプレーが中心でしたが、福岡戦では一人で20点以上を決めたんです。ドライブや速攻など幅広いパターンでスコアし、後半の初めには3Pシュートを柔らかいフォームで決めて、そこからチームが一気に波に乗りました。1年生がああいう舞台で活躍することは簡単ではありません。僕の中で『あ、こういうプレーもできるんだ』という発見があり、才能の片鱗を見た気がしました」 この試合における佐取の最終スコアは両チームトップの24得点。放ったシュート13本のうち10本(成功率76.9%)を決め切った。試合は競り合いが続いたが、終盤で突き放してキングスU18が86ー73で勝利した。 その後、現役時代にキングストップチームでエースガードを務めた与那嶺HCは、佐取に対して自らスキルを伝授するワークアウトを行うように。日々の積み重ねで佐取のスキルレベルが目に見えて向上していき、メンタル面もポジティブさを増していった。 佐取自身も成長を強く実感した。 「キングスU18に入った当初は経験を含めて、自分がチームの中で一番下にいる感覚で、周りに追い付くことだけで精一杯でした。しかし、ワークアウトをして徐々に周囲とレベルが合ってくると、『自分でもやればできる』という思考になっていきました」

与那嶺翼HCが佐取の将来像に連想した選手は…

フリースローを打つ前のルーティンでフロアに手を付く佐取

2年生に進級する直前、もう一つのターニングポイントが訪れる。与那嶺HCが新年度に向けて選手一人ひとりと面談した際、佐取にこう伝えた。 「龍之介はプロになれるよ」 「190cmのポイントガードになれ」 この「190cmのPG」という選手像について、与那嶺HCには明確なイメージがあった。宇都宮ブレックスに所属する22歳の若手有望株、小川敦也である。 身長190cmで悠々とダンクを叩き込む身体能力がありながら、優れたハンドリング能力を持ち、PGを本職とする。筑波大学の3年生だった2023年の全日本大学選手権ではチームを3位に導き、優秀選手賞、アシスト王、MIPに輝いた。 佐取の万能性を目にした与那嶺HCが小川を連想したことには、理由がある。 「僕がbjリーグ時代に大分ヒートデビルズでプレーをしていた時、チームメイトに選手兼アシスタントコーチで小川忠晴さん(現Wリーグ・アイシンウィングスコーチ)という方がいて、小川選手は忠晴さんの息子さんなんです。だから、僕は小川選手が3、4歳の頃から知っていて、その後に彼が世代別日本代表になったり、大学バスケで活躍したり姿をずっと見てきました。佐取はまだ身長が伸びていたので、小川選手のようになれるかもしれないと感じました」 その後、与那嶺HCは小川の試合動画を見付ける度に佐取と共有した。日々のワークアウトで自信を深め、さらに目指すべき選手像が固まっていったことで、佐取は「2年生の頃にはプロを意識するようになっていました」と振り返る。 3年生ではキャプテンに就任し、エースとしての自覚も向上。ハンドリングスキルや3Pシュートの精度を磨いたことで得点力が格段に上がり、得点とリバウンドが二桁に達する「ダブルダブル」を記録する試合が増えた。 クラブはさらなる成長を後押しするため、昨年10月にユース育成特別枠に登録。プロのレベルを間近に見たことでプレーの基準が上がり、今年度にあったBリーグU18の「チャンピオンシップ」「エリートリーグ」ではいずれも大会ベスト5を受賞。得点とリバウンドでダブルダブルを記録する試合も多く、一気にBリーグU18世代を代表する選手の一人に躍り出た。 キングスU18での最後の大会となった2月22〜24日のインターナショナルカップでは、初戦の千葉ジェッツU18戦で43得点19リバウンドという驚異のスタッツを記録した。この大会ではサイズのある海外チームとの対戦も合わせ、全4試合を行なって計57本ものフリースローを獲得。力強いドライブからファウルをもらう場面が多く、これも与那嶺HCとのワークアウトの成果と言えるだろう。 プロ契約を勝ち取るまでに急成長を遂げたキングスU18での3年間について、「1番(ポイントガード)の練習ではなかなか上手くいかないこともありましたが、翼さんが常に一緒に練習してくれて、期待に応えたいという思いがありました。翼さんのおかげで、大きく成長することができました」と振り返る。

茨城戦で見せ場「ディフェンスに手応え」

茨城ロボッツ戦に出場し、ディフェンスで体を張る佐取=1月5日

ユース育成特別枠に登録後、沖縄サントリーアリーナで行われるホーム戦にはほぼ毎回ベンチに入り、 既に4試合でコートに立った。12月8日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦でデビューを飾ると、12月28日の京都ハンナリーズ戦では単独速攻からのレイアップシュートでプロ初得点を決めた。 「前に誰もいなかったので、逆にめちゃくちゃ緊張しました。結構ギリギリでリングにコロンと入った感じだったので、外さなくて良かったです」と笑みを浮かべる。 年号が変わり、1月5日の茨城ロボッツ戦では大きな見せ場をつくった。 試合時間残り1分20秒でコートに入ると、相手選手のドライブに対して押し負けずに体を当てる。残り8秒の場面では持ち味であるオフェンスリバウンドを掴み、積極的に3Pシュートを放ってファウルをもらった。フリースロー3本を落ち着いて決め、アリーナを沸かせた。ファンに見守られているという温かい感覚があり、「緊張はしなかった」と言う。 まだフィジカル面が不足していることは自覚しているが、一定の手応えもあった。 「少ないポゼッションではありますが、いつもディフェンスをしっかりやろうという意識でコートに立っています。外国籍選手はやっぱり強いですが、相手がぶつかってくる時はある程度耐えやすいので、それ以外の選手に対しては『意外とできるな』と感じました。オフェンスではボールをもらう時や抜く瞬間に体を当てられるので、それに耐えられるだけのフィジカルも身に付けたいです」

キングスPG陣から学び、目指すは「ミスターキングス」

恩師の与那嶺HC(右)と肩を組み、笑みを浮かべる佐取

ベンチで戦況を見詰めている時は、横に座ることが多い#8植松義也らから戦術の解説や助言を受けることが多いという。試合後には与那嶺HCと話し合いながら場面ごとの状況判断を考え、成長の肥やしにする。 「190cmのPG」になるべく、#14岸本隆一、#3伊藤達哉、#47平良彰吾ら個性にあふれたPG陣からの学びにも貪欲だ。 「隆一さんのように、流れが悪い時に試合を変えるゲームメイクはもっと学びたいです。達哉さんもスピードを生かしてプッシュすることもあれば、ゆっくり攻めることもあって本当にゲームメイクが上手い。彰吾さんのエナジーもすごく大事だと感じます。キングスのPG陣のプレーはとても参考にしています」 佐取は3月31日までユース育成特別枠として、その後の6月30日までは練習生としてトップチームの活動に参加し、来シーズンからU22枠のプロ選手としてローテーション入りを目指す。バスケを始めてから、まだ6年弱。与那嶺HCの言葉を借りれば「まだまだ天井が見えない選手」だ。 目指すべきプレーヤー像を明確に描き、日々のトレーニングを前向きに取り組んだことで、確かな成長を実感した佐取。この成功体験を得たからこそ、まだまだ自分は伸びるという自信がある。最後に今後の展望を聞くと、胸を張って言った。 「高校でキングスU18に所属し、自分的にも急成長を感じることができました。僕はキングスに育てられたようなものです。U22枠でプロキャリアをスタートさせ、もっと成長し、将来は『ミスターキングス』と呼ばれるような選手になりたいです」

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