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「洗濯機のない暮らし」で長年の悩みが解消!?自閉症親子の洗濯事情を大公開!

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「洗濯機のない暮らし」で長年の悩みが解消!?自閉症親子の洗濯事情を大公開!

監修:新美妙美

信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教

服をたくさん持っていないのにすぐ着替える……!

わが家には、ASD(自閉スペクトラム症)の息子と娘がいます。自分自身もASD(自閉スペクトラム症)傾向のある私、夏の困りごととしてずっと頭を悩ませていたのが「洗濯」についてでした。

わが家の子どもたちは感覚過敏の傾向があり、汗をかいた服はすぐ脱ぎたがります。そして一度脱いだ服は、たとえちょっとしか着ていなくても「洗っていないからイヤ」と言って、着てくれません。

しかも、着る服の好みがはっきりしていて、気に入ったものしか着ないのです。結局いつも3着ぐらいの「お気に入り」で回している状態、私の頭の中には「いつ洗濯する?」「残っている服は何枚?」「お天気は?」などと、洗濯に関することが常駐している状態でした。

努力が追いつかない……!

夏になると、朝・昼・夕方・風呂上がり……と1日に3〜4回も着替えることがあり、洗濯物が山のように出ます。

子どもたちが小さかった頃は、私が手洗いをしたり、洗濯機を1日に2回も3回も回したりしていました。でも、私自身もASD(自閉スペクトラム症)の傾向があり、やるべきことが抜け落ちてしまいやすいタイプ。洗濯はしても干すのを忘れてしまったり、必要な服(学校の制服や体操服など)を間に合うように用意できなかったりと、うまく回せないことも多かったです。

引っ越しをきっかけにコインランドリー生活に

わが家は息子が高校に進学したタイミングで、学校へのアクセスのいい場所に引っ越すことになりました。新居は50キロの距離だったので、引っ越し屋さんに頼まず、自分たちで少しずつ荷物を運ぶことにしました。

わが家でそれまで使っていた洗濯機は二層式のクラシカルなタイプ。水道との接続が難しく、またスペースも取るので新居には置けませんでした。この際新しいものを買うか?とも考えたのですが……。

なんと引っ越し先のすぐ目の前に、タイミングよくコインランドリーができたのです!

末子の娘も小学校4年生となり頻繁に服を汚すこともなくなっていて、それ以前よりは洗濯物の量も少なくなっていたので、洗濯機を選ぶのは後回しにして、しばらくこのコインランドリーを使おうということになりました。

これが思った以上に快適で……!

なにしろ、それまでは二層式の洗濯機で、洗濯ものを洗っては脱水層に移動させ、またよっこらせと洗濯層に動かしてすすいで、また脱水して、天気を気にしながら自分の手で天日に干していたのですから……!

「洗濯しなきゃ!」と思った40分後には洗濯が完了しているコインランドリーは「夢の機械だ!」と感じられました……!

「洗濯は全部ここでやる」

冷静に計算してみると、家庭で洗濯しても「タダ」ではありません。洗濯機本体、電気代、水道代、洗剤代。また引っ越すとなると運ぶことや捨てることも考えなければいけません。それに、洗濯槽の掃除や、洗剤のストックを切らさないようにすることも、私にはそれなりの負担でした。

その点、コインランドリーは常に最新型に入れ替えられ、思い立った時にふんわり乾いた服を一気に仕上げてくれます。洗剤を自分で買う必要も、洗濯槽を洗う必要もないのです。それを思えば、意外とコスパは悪くないのかもしれない、と思いました。それで、思いきって「洗濯は全部ここでやる」と決めました。

コインランドリーなら、わが家の子どもでも洗濯できる

それから3年経ち、また息子の進学に併せて引っ越しをすることになったのですが、その時も「コインランドリーの近く」を条件に家を探しました。

コインランドリーなら放り込んで回収するだけなので、子どもたちも洗濯に行ってくれるようになり、私一人にかかっていたプレッシャーが減りました。

子どもたちも自分で行くようになったので、コインランドリーの店内に貼ってある「染み抜きのコツ」とか「靴下は予洗いしておくときれいになる」などのペーパーを読んで、ちょっとずつ洗濯のテクニックを覚えてやってくれるようになり、嬉しい副産物となりました。

洗濯を私が一手に担当していた時は、漫画のネタを考えていても「洗濯もの溜まってないかな」「今日は子どもがどれだけ洗濯物をつくるだろうか」と考えては気を散らせていました。天気のいい昼間に干す時間を合わせねばという制限もありますし、実際の作業にかかる時間を捻出するコストもばかになりません。私にとって、洗濯のことを頭から追い出すことができたのは本当に大きかったのです。

ここでお伝えしたいのは、コインランドリーはコスパが良いとか、全自動洗濯機を買えばいいとかいうことではありません。「洗濯機が家にあるのが当たり前」「家にいるお母さんが洗濯をやる」といった「常識」にとらわれなくてもいいんじゃないかということです。

誰かの当たり前が、自分たちの当たり前とは限らない。そんな柔らかい発想で、生活の工夫を重ねていけたらいいなと思っています。

執筆/寺島ヒロ

(監修:新美先生より)
お洗濯事情の話題から、常識にとらわれない生活の工夫のための発想の転換についてご提案くださりありがとうございます。
発達障害があると、感覚の偏りなどから服関連のこだわりがさまざま出てくることも多くて、それによりお洗濯も振り回されることがありますよね。こだわりを尊重するために子どもが小さいうちは保護者が頑張ることになりますが、年齢が上がってきたら自分のこだわりを実現するために自分でも頑張ってもらうというのは自立に向けても大事な視点です。
家庭の日常のお洗濯をコインランドリーで賄うというのは、考えたこともない発想でした。こういう、発想の転換をすることで、一人ひとりの特性を尊重しながら、誰かが大変になり過ぎず、家族みんながスムーズに生活できる工夫って素敵だと思います。常識とかコスパとかの一般的な物差しじゃなく、暮らしているその人が、楽だ、安心だ、スムーズだと実感できることを大事にしていきたいですね。目からウロコのエピソードを聞かせていただき感謝です。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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