NASA、無人航空機システム交通管理の技術を開発。ドローンによる配送産業を現実に一歩近づける
未来の玄関先に、パッケージ配送用のドローンがやってくる日が近づいている。その準備を進めるNASAは、薬やピザが空を飛んで届けられる際に、それが安全であることを確保する取り組みを続けている
今年7月、連邦航空局(FAA)は初めて、複数の米国企業が目視外で商業用ドローンを同一空域で飛行させることを許可した。この重要な段階に至るには、目視外飛行(BVLOS)という概念に関する大規模な研究が必要だったが、その分野でNASAが主導的役割を果たした。
BVLOS飛行を日常化するには、パイロットや航空管制官がすべてのドローンを目視できない状況で、信頼性の高い自動化技術をドローンと空域システムに組み込む必要がある。この課題に対処するため、NASAは無人航空機システム(UAS)交通管理(UTM)をはじめとするいくつかの主要技術を開発。UTMは、各ドローンユーザーの飛行計画をデジタルで共有できる技術だ。
コパーデカル氏:NASAがFAAや産業界と協力して行ったUTMの先駆的な研究により、高度400フィート以下での小型ドローンの安全かつスケーラブルな飛行が可能になりました。この技術は現在、目視外飛行を可能にする鍵として世界的に採用されています。
UTMを使えば、すべてのドローンユーザーがドローンが飛行する空域の状況を同じように把握できる。この技術開発の基盤はNASAのUTMプロジェクトによって築かれたもので、FAAの特別な承認があれば、現在でもBVLOS飛行が可能だ。
FAAのテストサイトやリスクを考慮した選定エリアでは、現在もBVLOS飛行が実施されている。しかしFAAは、将来的に免除や特例なしでBVLOS飛行が可能になるよう、新しい規制の整備を進めている。
NASAのUTMチームは、空域を管理する新しい方法を発明した。政府から商業界まで複数の関係者が協力し、飛行計画の策定や離陸前の戦略的衝突回避、通信、監視、安全飛行に必要なその他のサービスを提供するというアプローチだ。
この技術は現在、FAAがダラスエリアの一部で承認した空域で使用されており、NASAが起源となるUTM研究を活用して商業用ドローン企業がパッケージを配送している。UTMにより、オペレーター間で戦略的な調整が可能となり、各企業は自社ドローンの飛行を監視し、計画された飛行経路に沿って正確に飛行していることを確認できる。
ダラスのようなテストサイトは、小型ドローンの全国的な運用を安全に実現するために必要な要件をFAAが特定するのに役立っているという。
さらにNASAは、商業用ドローンと同じ空域で運用される公的安全用ドローンが優先されることを確保するためにも取り組んでいる。別のBVLOSプロジェクトでは、NASAは空飛ぶタクシーに使用できる技術をテストするためにドローンを活用している。これらの取り組みの一つひとつが、物資やパッケージがドローンで日常的に配送される未来に一歩ずつ近づけているという。
NASA