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堀内誠一のananや絵本の世界に没入できる展覧会が開催

タイムアウト東京

堀内誠一のananや絵本の世界に没入できる展覧会が開催

立川の「プレイ!ミュージアム(PLAY! MUSEUM)」で、デザイナーでありアートディレクター、絵本作家の堀内誠一(1932〜1987年)の多岐にわたる世界観を紹介する「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」が、2025年1月22日(水)〜4月6日(日)で開催される。

「FASHION」「FANTASY」「FUTURE」と3つのセクションが設けられる本展。それぞれの空間が、アートディレクションや絵本といった堀内が作り上げたおのおのの世界観を伝え、大人も子どもも楽しめる個性的で心踊るような空間が広がる。

自由で大らかな1970年代の『anan』

1947年の戦後の混乱の中、堀内は14歳で百貨店「伊勢丹」の宣伝課に就職する。プライスカードやウインドーディスプレーなどを制作することから始め、さまざまなデザインの仕事を経験。やがて広告制作会社で雑誌のアートディレクションを手がけるようになり、1970年、日本初となる大判の女性誌『anan』のアートディレクターに就任した。

Photo: Kisa Toyoshima「anan」45号、1972年©マガジンハウス

ファッションを流行や装いだけにとどめず、音楽や食、旅行やライフスタイルなどのカルチャーをカラフルでビビッドな誌面で伝えた雑誌作りは、当時見たことがないような画面が飛び込む、革命的なものだった。

Photo: Kisa Toyoshima「FASHION」の展示風景
Photo: Kisa Toyoshima「anan」6号、1970年©マガジンハウス

「身にまとう」「脱ぐ」「リズムをとる」などもファッションとし、ファミリーヌードやふんどしの魅力、自由な野菜の食べ方の提案といった風変わりなページがいきなり登場する。ただのファッション雑誌と思わせない、生き生きとした実験的な魅力にあふれ、「今やりたいことをやろう」という堀内の熱意が伝わってくるだろう。

三島由紀夫のエッセイや澁澤龍彦の翻訳による文学など、女性ファッション誌らしからぬ読み物企画もあり、じっくりと読んでみたくなる。

絵本の世界観へ没入

紙に絵を描くことを創造の出発点としていた堀内は、100冊前後の絵本も残している。ファンタジーに対する関心が強かった堀内は、空想や心に存在することを大切にし、存在しないものを絵を描くことで存在させ、色々な形でファンタジーを描いていた。 そんな堀内の絵本の世界に特化した「FANTASY」セクションでは、『ぐるんぱのようちえん』『オズの魔法使い』『くろうまブランキー』などの、迫力の大きな絵、魅力的な原画、幻想的な映像、約100冊の絵本を味わえる。

Photo: Kisa Toyoshima絵本ごとに分かれている部屋
Photo: Kisa Toyoshima大きな絵で絵本の世界へ没入

一つの絵本に集中できるようにするため、セクションは絵本ごとに部屋が分かれている。絵本によって画風と画材はさまざまで、1人の作家が描いたとは思えないほどの変幻自在さに驚くだろう。

Photo: Kisa Toyoshima広場の空間には大きな像も
Photo: Kisa Toyoshima靴を脱いでくつろげる広場の空間

「ぐるんぱ」の生毛も見えるほどに引き伸ばされた巨大な絵本が囲む広場では、絵本の中に入ったような気分になれる。堀内が愛した国内外の名作絵本や堀内自身の絵本が置かれた本棚コーナーもあり、ゆったりとファンタジーの世界でくつろいでほしい。まるで「ファンタジーの世界はこんなにも面白いものなんだよ」と堀内が語りかけているようだ。

100人のお気に入りの堀内作品

絵本や雑誌以外にも、堀内の仕事は実にバラエティに富む。最後の「FUTURE」セクションでは、人形作家の四谷シモンやエッセイストの松浦弥太郎といった、堀内に影響を受けた100人がそれぞれのお気に入り作品を紹介している。絵本、挿絵、絵地図、雑誌、ロゴなど、毛色の違う仕事がずらっと並び、同じ人がこれを?と思わざるを得ない。アイデアや視点が広がる空間だ。

Photo: Kisa Toyoshima「FUTURE」の展示風景
Photo: Kisa Toyoshima展示風景

最後に、同館のカフェとショップでは、ほっこりする絵本をモチーフとしたグッズやオリジナルメニューが展開する。2階の「プレイ!パーク(PLAY! PARK)」にも絵本の中に出てくる楽園が一部再現され、親子連れは一日中ここで遊べそうだ。

Photo: Kisa Toyoshimaオリジナルグッズが満載のショップ
Photo: Kisa Toyoshimaプレイ!パーク(PLAY! PARK)の空間

画期的でわくわくするような雑誌作りに感銘を受けたり、絵本の世界へ入り込んだり、空想にふけったり、あらゆるアイデアを得ることができたりする本展。たっぷりと時間をとって、じっくりと楽しんでほしい。

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