日本の水道料金、地域格差が大きすぎる。その要因は?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、5月29日の放送に元日刊スポーツ編集局長の久保勇人が出演。東京都がこの夏、一般家庭の水道基本料金を無償化すると発表したことや、日本における水道料金の地域差について解説した。
長野智子「まずは東京都の水道料金、無償化についてお願いします」
久保勇人「この夏の4ヶ月間、6月起点か7月起点かはまだ不明ですが、都内の一般家庭における水道基本料金を無償にする、ということです。水道料金は基本料金と、使った分だけ払う、という二階建構造になっています。一階の部分を無償にしましょう、と。基本料金も給水管の太さによってそれぞれ違うんです。だいたい1ヶ月あたり860円から1460円の幅の中です」
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「けっこう幅がある」
久保「4ヶ月分だとだいたい5000円ぐらいの負担軽減になるのでは、といわれます。これで家計を助けることによって、皆さんエアコンを使いましょう、熱中症対策しましょう、ということを小池(百合子都知事)さんは言っていました。1週間経ちますけど、いろいろな自治体の首長さんが反応しまして。住民から『うちもやってほしい』と声が上がるので」
長野「特に関東近県の人からすれば、ね」
久保「首長さんは一様に『あれは財政が豊かな東京だからできることであって、うちはできません』と。実際に全国の自治体を見ると、ここ数年でどんどん水道料金は値上がりしています。格差は拡大している、という状況があります」
長野「ほかの県から通勤して、東京は会社とかが豊かになって自分は帰る、みたいな人もいる。どうなのよ、という」
久保「水は人間が生きていくうえで、もっとも基本的なインフラのはずですよね。それがこんなに格差がある、ということについては考えなくてはいけない、と思います。そもそも日本の水道料金はなぜ、こんなに地域差があるか。水道法という法律があって、水道は市町村による経営が原則と決められているんです。使う人が使った分の経費を負担していきましょう、というロジックのもとに運営されているんですね」
長野「はい」
久保「当然、給水する人口、そのエリアの水を飲んでいる人が少ないほど料金が高くなっていく。1世帯の一般的な使用料で換算すると全国平均は1ヶ月でだいたい3300円です。ところがもっとも高いといわれる地域のひとつ、北海道夕張市だと1ヶ月7000円近く払っています」
長野「え~っ? ずいぶん違いますね」
久保「一方でもっとも安いといわれる兵庫県赤穂市は860円台なんです。およそ8倍の差があります。同じ水ですよ。生きていくうえでもっとも大切な水の料金がこんなに違う」
長野「ちなみに東京は?」
久保「平均的な家庭で2500円ぐらいです。なんでこんなに差があるのか日本水道協会に聞きました。すると、格差の理由は人口密度、水源の種類や出水設備、つまりどう水を引っ張っていくか、どれだけの手間がかかるか。地理的、歴史的な要因があるんだ、ということを言っていますね」
長野「兵庫県赤穂市は?」
久保「水源がいいみたいです。いい川が近くにあればそこから引っ張ってくるのにあまりお金はかからない。遠くにあると引っ張ってくるのにお金がかかります。そういうことも要因のひとつのようです」