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子どもの「体験格差」とは?経済的理由だけが原因ではない!?

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見えない格差の一つとされる「体験格差」が子どもたちの間で問題となっています。自然体験や社会体験、文化的体験などで得られる多様な経験は子どもたちの好奇心を刺激し、将来の可能性を広げる上で重要な役割を果たします。しかし、近年の研究でこうした体験機会に大きな差が生じていることが明らかになりました。今回の記事では、体験格差の実態と、それがもたらす影響、解決に向けた取り組みについてみていきましょう。

体験格差とは

体験格差とは、家庭の経済状況や地域環境によって生じる、子どもの経験機会の不平等を指します。昨今、社会全体で経済格差が拡大していることや、教育の重要性が見直されていることに伴い、一つの社会問題として注目されるようになりました。

子ども時代にどのような体験をしてきたかどうかが、子どもの将来に影響するともいわれており、「見えない格差」に対して社会全体としてどう向き合っていくかを求められているといえるでしょう。

体験格差が広がった要因

【画像出典元】「stock.adobe.com/hachiware」

体験格差が広がった要因として考えられるのは、主に以下の2つです。

経済的要因と地域差

体験格差が起こる要因の一つに、経済的要因が挙げられます。実際、世帯年収が上がるほど、習い事や家族旅行をはじめとする体験機会が多くなる傾向にあり、金銭的な理由によって差が生じていることは確かでしょう。

また、都市部と地方の間にも地域差があり、そこには教育機関や文化施設へのアクセスのしやすさが現れていると考えられます。

コロナ禍の影響

コロナ禍によって、体験格差はさらに拡大しました。オンライン学習環境の差が顕著となり、インターネット環境やパソコンが整っていない家庭の子ども達は、学習の継続が困難となりました。

さらに、外出制限によって体験機会が減少したことも格差が広がった要因の一つです。美術館や博物館への訪問、スポーツ活動、自然体験など、今まで当たり前に行われていた体験活動が大幅に制限されたことが影響していると考えられるでしょう。

このように、コロナ禍は単に学習環境の差だけでなく、子どもたちの体験機会全般に影響を与え、既存の格差をさらに拡大させる結果となりました。

体験不足が子どもに与える影響

文部科学省が2021年に発表した令和2年度「体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト」の調査結果によると、小学生の頃に体験活動や読書、お手伝い等をしていた子どもは家庭の環境にかかわらず、高校生になってからの自尊感情や外向性、精神的な回復力などの項目において点数が高くなる傾向にあることが明らかになっています。

引用:文部科学省「令和2年度体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト」より一部抜粋

また、調査結果から見えてきたこととして、家庭の経済状況と体験不足に直接的なつながりはないということです。収入の水準が相対的に低い家庭であったとしても、自然体験の機会に恵まれていたケースでは、その後の成長に良い影響があったことが分かっています。

家庭や学校、地域が「体験」の重要性を改めて認識するとともに、格差の解消に向けて取り組むことが大切だといえるでしょう。

格差解消へ向けた取り組みも始まっている

【画像出典元】「stock.adobe.com/matimix」

実際、体験格差の解消に向けたさまざまな取り組みも始まっています。子どもの教育格差解消に取り組む公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンは長野市および経済産業省と共同で「長野市子どもの体験・学び応援モデル事業」をスタート。子どもの体験を地域で支える取り組みを構築することを目指しています。

また、学校と地域の連携も重要です。自治体によっては放課後プログラムや地域ボランティアの活用によって、子どもの体験機会を創出しようとする動きが見られます。例として、地域の農家と連携した農業体験や地元企業と協力したキャリア教育などが挙げられるでしょう。

まとめ~私たちにできること~

体験格差の解消は、社会全体で取り組むべき課題の一つです。私達に出来ることとして、寄付やボランティア活動への参加などが挙げられるでしょう。地域の子ども向けイベントを企画するほか、運営に関わることで、体験格差に悩む子ども達を支援することが出来ます。

また、家庭でも出来ることはたくさんあります。例えば休日に子ども達と図鑑を持って公園に出掛ける、キッチンでご飯やお菓子を作る、絵本を読み聞かせるなど、身近なところで出来ることから取り組んでみるのも良いでしょう。

そして、パソコンをはじめとするデジタル機器やインターネット環境が整っているのであれば、オンラインを活用して様々な体験をしてみるのも一つの手です。体験格差の解消に向けて、私達に出来ることから始めていきましょう。

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