「やはりここに橋いりますわ」 四国民の訴えに7.6万人共感→なぜ出来ないの?和歌山市に聞いてみた
「やはりここに橋いりますわ」
そんな呟きと共に、1枚の加工された地図がX上に投稿され、多くのユーザーの共感を呼んでいる。
南四国在住の会社員・@mhmd_oilmagnateさんが2025年5月5日に投稿したのは淡路島と和歌山市周辺の地図。それには、本来存在しないルートが書き足されている。
@mhmd_oilmagnateさんは、淡路島と和歌山を繋ぐ橋が必要だ、と言っているのだ。
この投稿には、X上で7万6000件以上のいいね(15日時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「まじで切実にそう思います」 「徳島県民からしてもマジでお願いしたい」 「賛成!淡路から和歌山が近くなるな。四国から関空のアクセスもよくなりますよね」
Jタウンネット記者はさらに深堀してみることにした。
渋滞解消や物流のショートカットに
Jタウンネット記者の取材に応じた投稿者・@mhmd_oilmagnateさんは、淡路島と和歌山の間に橋を作ったほうが良いと考える理由を4つ挙げる。
それは、現状四国から近畿方面へ向かうルートが1本しかないことの脆弱性や、「四国・淡路・和歌山(紀州)は伝統的に一つの地方「南海道」であった事から今一度和歌山(更には泉州)とのご近所化を進めたい」という思い、「東海・関東や九州にとっての物流ショートカットルートとなり、四国の活性化に繋がる」といった期待。そして、「海流が荒く地震リスクもある紀淡海峡に高規格なインフラを通す事で、我が国の優れた先進技術を国際社会に見せ付けるのに最適な場所である」という考えだ。
「人口減少が加速している時代です。昔よりもより多くの人と効率良く広域な連携を図っていく必要があります。 間違いなくそれに寄与するであろう海峡横断ルートや四国新幹線など、国家的プロジェクトが少しでも動き出す事を心より願っております」(@mhmd_oilmagnateさん)
なるほど、確かにいろんなメリットがありそうだが......。では、なぜ橋が架かっていないのか?
記者は14日、和歌山市交通政策課の紀淡連絡道路実現期成同盟会事務局に話を聞いた
60年前から構想はあった
同事務局の公式サイトによれば、淡路島と和歌山を結ぶ連絡道路――「紀淡連絡道路」の構想は、1965年の時点で既に提唱されていた。
その後も実際か現地調査が行われたり、国土交通省の計画の中で構想を進める旨の記述がされたりしたが、2025年現在、実現には至っていない。
取材に応じた同事務局の局員よると、紀淡連絡道路は、約11キロの紀淡海峡を横断して和歌山市と洲本市を結ぶ全長約40キロの幹線道路となる想定で、紀淡海峡には世界最大級の吊り橋となる」紀淡海峡大橋」(中央支間長2100~2500メートル)が架けられる構想となっている。
「幹線道路に加え、明石海峡大橋を上回る長大橋を整備するためのコストがかかることなどが、(紀淡連絡道路が実現しない)理由ではないかと考えます」(事務局員)
ただ、事務局では現在も紀淡連絡道路の実現のために毎年国への要望活動を行っており、今後も継続して行っていく予定だという。
「交通ネットワークの代替性・多重性の確保に繋がる本事業は、災害に強い国土・地域づくりを進める観点からも重要であると考えているため、今後も実現に向け継続して取り組んでまいります」(事務局員)