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プロデューサーが語る 映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』のこだわりぬいたライブ演出②

Febri

TOPICS2025.02.28 │ 12:00

プロデューサーが語る 映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』のこだわりぬいたライブ演出②


劇場映画としては日本初となる観客参加型「インタラクティブ映画」として公開され、話題を呼んでいる映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』。アニメーション制作を務めたポリゴン・ピクチュアズのプロデューサー・中岡亮へのインタビュー後編では、個性的なキャラクターたちを3DCGアニメーションで描くうえでのこだわりに迫った。

取材・文/後藤寛子

※本記事には物語の核心に触れる部分がございますので、ご注意ください。

インタビュー_TOPICS中岡亮映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』

CGでしかできないことをやり遂げた

――3DCGの映像が滑らかで美しかったですが、とくにこだわった部分というと?
中岡 キャラクターの表情と芝居はかなり頑張れたんじゃないかと思います。ポリゴン・ピクチュアズの他の作品と比べても「いい絵が出てるよね」と言われるし、自分でもそう感じていて。理由としては『ヒプノシスマイク(以下、ヒプマイ)』という作品の持っている熱量もあるだろうし、ベースとなるキャラクターのモデルの時点ですごくクオリティを頑張ったという部分もあるし、辻󠄀本さんが本当に粘ってアニメ制作の現場と向き合ってレベルを引き上げてくれたところもあるし……いろいろな要因が重なった結果ですね。ライブ感も含めてCGでしかできないことを多分にやれたし、いわゆる原作の絵の再現という部分も含めて、作画のアニメに負けていないと思います。

――たしかに、3Dになっても原作イラストのイメージが全然崩れていないなと感じました。
中岡 そこは、『ヒプマイ』はアニメが原作ではないというところに助けられているかなと思います。作画アニメに親しんできた人にとっては、作画じゃなくてセルルックCGという時点でハードルが高くなる。だから、今回も「アニメが原作のものをセルルックCGにします。しかもスタジオが違います」という話だったら、たぶんファンによっては拒否感があったんじゃないかな。でも、『ヒプノシスマイク』はこれまでいろいろな形の作品を世に出してきて、それこそ3DCGライブやVRライブもあったので、結果的に他のメディアとは違った新しい『ヒプマイ』として受け止めてもらえるものになったと思います。

――なるほど。
中岡 もちろん、原作のイラストにいろいろな要素が入って魅力的なキャラクターが描かれているので、それをどこまでCGに取り込んで再現できるかはしっかり取り組みました。スタッフにいわゆる二次元男性アイドル系のコンテンツに詳しい人がいたんですけど、そういうコンテンツのCGモデルで総じてもどかしく感じるのが、骨張った手の表現らしいんです。女性ファンはそういうところにグッとくるんだけど、そこを追究している作品が少ないからこそ、今作ではしっかり追い込んでいこうと。キャラクターの目元も含めて、色気みたいなところをどこまで突き詰めるかは、本当に1体目のモデルの試作から会話を重ねました。そういうこだわりが根底にあったからこそ、アニメーションひとつとっても手を抜いていないものに仕上がっていると思います。

刺激的だった制作現場でのやりとり

――ライブシーンでのキャラクターの動きは、実際に人の動きをキャプチャーしているんですか?
中岡 はい。キングレコードさんに協力していただいて、HILOMUさんをはじめ『ヒプマイ』のパフォーマンスを実際にやっているダンサーの方にアクターとして参加いただいています。やはり、ただ綺麗に踊ればいいというものでもないので、それぞれのキャラクターの所作をキャプチャーの段階で作っていただいて、それを最大限に活かしながらアニメーションをつけていきました。ライブシーンはキャプチャーにかなり助けられています。たとえば、「カメラが回り込むときに、カメラに向かって山田一郎として何かしてください」とオーダーして、やってもらった動きをそのまま拾ったり。「こういうときにキャラクターならどうする?」「こういう動きはどうですか?」みたいな話をしながらだったので、刺激的で楽しかったです。

――各キャラクターの個性が出ていて、動きがリアルで惹き込まれました。
中岡 ダンサーさんはそもそも振り付けをやられていたりもするので。2回戦の新曲に対しても、たとえば、シブヤ・ディビジョンはゲームセンターが舞台ということで、それならこういう動きにしたらキャラっぽくなるんじゃないかとか、キャラ同士の絡みも含めてアイデアを出し合いながら撮ったりして、本当に助けていただきました。当然一度で全部を撮ることはできないんですけど、毎回撮ったものを「どうですか?」と見せながら意見のキャッチボールをするのも楽しいんです。たぶん、1年間くらいかけて5~6回に分けて撮り続けたのかな。序盤は手探りで「ヤバイ、時間が足りないかも」と思っていたんですけど、だんだんやり方をつかめてきて、最後のほうはスムーズに進めていけました。そこからアニメーションとしてブラッシュアップしていく作業を制作現場がすごく頑張ってくれましたね。

――長い時間をかけて出来上がったんですね。
中岡 本当に、よく終わったなあと思います(笑)。

音楽映像コンテンツとして強い自信がある

――「インタラクティブ映画」という要素もありつつ、映像も見応え抜群に仕上がっていますが、どういうふうに楽しんでほしいですか?
中岡 インタラクティブという部分では、映画館にいる全員で体験を共有することは今までにないものだと思います。自分が選んだルートに行けないという不条理も含めて、純粋に楽しんでもらいたいです。推しディビジョンが勝てないときに悔しい気持ちはあると思いますが、勝ったほうだけでなく、負けたほうのドラマも丁寧に描いていますので、最後まで楽しんでいただけると思います。あとは、いろいろとお話したとおり音楽映像コンテンツとして自信を持っているので、推しがいる・いないに関係なく、じっくり見ていただきたいです。さらに付け加えるなら、やっぱり劇場の大画面でこそ見てほしいですね。音響も5.1チャンネルで制作していることもあり、キングレコードさんがすごくこだわられていて、作っている僕らもスクリーンで見ると全然違って感動しました。

――すでに複数回見ている方も多くいらっしゃると思いますが、そういう方に向けて中岡さんの推しポイントを教えてください。
中岡 てんこ盛りの映画なので最初は全体の構成に追いつくので精一杯かもしれないですが、噛めば噛むほど面白い部分がたくさんあると思います。推しポイントというと、最初にも言った優勝者のライブですね。勝敗から解き放たれたパフォーマンスだからこそ訴求力が違うというか。どのディビジョンを見ても心をつかまれる感覚があるので、ぜひ全ディビジョンのパターンを見てほしいという気持ちはあります。映像としても「これができたら満足」というくらいの初期衝動が詰まっていますし、プロダクションとしても斬新なチャレンジがたくさん盛り込まれていますので、ぜひとも注目してください。

中岡亮なかおかりょう 2011年に株式会社ポリゴン・ピクチュアズに入社。プロデューサーとして手がけた作品は、『ツムツム ショートアニメーション』『Levius-レビウス』『ピングー in ザ・シティ』など。作品情報

全国の劇場で上映中

©ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Movie

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