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“仮面夫婦の親”に育てられた子どもたちの現実 #5「好きだった母が…」

ウレぴあ総研

互いに関心も愛情も向け合わず、形だけの夫婦で生活を続けるのが仮面夫婦。

自分たちはそれで納得しているかもしれないけれど、一方で置き去りにされるのが子どもたちの状態です。

生きる環境を選べない子どもにとって、両親の仲が冷めきっているせいで受ける影響は良い面も悪い面も大きく出てきます。

「親が仮面夫婦」であることは子にどんな現実を強いるのか、ご紹介します。

ハピママ*

「母は持病があって体が弱く、たまに寝込んだり入院したりすることがあります。物心ついた頃から、そんな母を真剣に心配しない父親が嫌いでした。

母が横になっているときは、父は家事はするけど母のために何かすることはなく、看病は私と妹がやっていました。元気なときもふたりが笑顔で話すところとか見たことはなくて、私も妹も当然母に懐いていたので、3人で過ごすことが多かったですね。

父は私たちには普通に接してくるけど、4人で楽しく外食したような記憶もなくて、動物園に出かけるときは母方の祖母が一緒のような状態で、父はひとりでタバコを吸いに離れることが多かったです。

親のこんな状態はおかしいのだとはずっと思っていたけれど、子どもでどこにも行けない私たちは、どうしようもないじゃないですか。

母のことは好きだけど、体調を崩せば私たちが着替えを手伝ったり体を拭いたりするから看病は大変で、そのこともプレッシャーでしたね」

ハピママ*

「母には悪いけど高校を卒業したらこんな家は絶対に出る、と受験勉強をがんばって、県外の公立大学に合格したときのことです。

父は、大学から届いた書面を見て『おめでとう』とまず言ったけど、母には『受かったのね』と微妙な顔をされたのが忘れられません。

受験勉強をしている私に『早く寝なさい』と小言が多かった母は、たぶん、私が家を出れば助けてくれる人が減ると思っていたのでしょうね。2つ下の妹も家は出ると早くから言っていたし、父との暮らしが不安だったのだろうと思います。

それでも、私ががんばっていたのは知っているはずで、それなのに合格を喜んでくれない母には本当にショックを受けました。それがトラウマになって、入学式には母と妹が来てくれたけどその日のうちに帰ってもらいました。

これ以上私の人生の邪魔をしてほしくないと、そればかり考えていましたね。

母とはそれから話すのも嫌になって、帰省したときも妹とばかり過ごしました。父とは家にいる頃から疎遠だったので、会話がなくてもどうでもよかったです。

大学を卒業したらそのまま就職を決めて、今もこの土地で働いています。

大人になってから仮面夫婦という言葉を知りましたが、うちの両親がまさにそれで、私も妹もその被害者なのだとはっきり思います。

私の努力を否定するような母の表情と言葉は、今も思い出すと苦しくなります」(女性/20代/接客業)

自分の事情に子どもを巻き込むような親は、確かにいます。自分が生きやすい手段のひとつに子を利用するのは、一番の味方であるはずの配偶者と不仲だからです。

子どもには子どもの尊厳があり、それを守れないような親なら、離れるのが正解。

努力は正しく自分のためだと、自信を失わない意識を持ちたいですね。

(ハピママ*/弘田 香)

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