伊賀・大村神社本殿が国登録有形文化財に 宮司が思い語る
国の登録有形文化財(建造物)に三重県伊賀市阿保の大村神社本殿が今年3月、新たに登録された。市内での登録は55件目。
同神社は大村の神(息速別命)を主祭神とし、平安時代中期に編集された「延喜式」にも社名が記されている。境内で「要石」をまつり、地震の守護神として知られる。
本殿は入母屋造り檜皮葺で、建築面積は22平方メートル。境内にあった4つの社殿を集約して、1890年に建てられた。
屋根には3つの神紋があり、中央に大村神社の社紋、左に春日大社の下り藤、右に石清水八幡宮の三つ巴が装飾されている。壁は板壁で、正面には屋根を張り出した向拝が付いている。
正面の鏡の奥には3つの御扉と御幣がある。神社全体を整える20年に1度の「御遷宮」を8年前に行った際には本殿全体を洗い、金具を交換したという。
本殿の西側には、元本殿で1950年に国の重要文化財に指定された極彩色の「宝殿」(安土桃山時代)があり、本殿と調和するように並び建てられている。
境内や参道などは地域住民らが草刈りや掃除を行っており、宮司就任から今年で36年目を迎える金山修さん(68)は「本殿を含め、大村神社が保たれてきたのは、地域の方々が団結して守り伝えてくれているおかげ。これからも次世代へと引き継いでいけたら」と思いを語った。