スーパースペクタクル×家電あれこれ×にゃんコメディが放送中!『宇宙人ムームー』桜子役・春海百乃さん×ムームー役・小桜エツコさんがその魅力をロングインタビューで語り尽くす!
少年画報社「ヤングキングアワーズ」で連載中の、宮下裕樹先生の漫画『宇宙人ムームー』が2025年にTVアニメ化。TOKYO MX・BS11にて4月9日、MBSにて4月12日、その他各放送局・配信サイトにて放送・配信中!
本作は、猫型異星人と女子大生の、同居生活を描いた“にゃんとも”言えない魅力にあふれた新感覚家電コメディ。主人公・梅屋敷桜子を演じるのは、本作がアニメ初主演となる春海百乃(はるみもも)さん。相棒となる宇宙人・ムームー役には、数々の名キャラクターを演じてきた小桜エツコさんが声を吹き込みます。おふたりに作品の魅力や現場の空気感について教えていただきました。さらに、春海さんの“フレッシュさ”あふれるエピソードも?
【写真】春アニメ『宇宙人ムームー』春海百乃×小桜エツコインタビュー
“笑いあり、涙あり”を家電を通して描いているところが面白い
──まずは、原作をご覧になったときの印象を教えてください。
桜子役・春海百乃さん(以下、春海):宇宙人×猫×家電って、てんこ盛りだな~って思いました(笑)。でもすごく読みやすくて面白いなって。しかも宇宙人が猫の姿をしてたら……もう、全然侵略されてもいいかなって思っちゃって(笑)。
ムームー役・小桜エツコさん(以下、小桜):でも結構なことをしようとしてるんですよね、ムームーって(笑)。最初は「楽しそうじゃん!」って感じではあるんですけどね。
春海:そうですね、しかも条件があることを知り「ちょっと待って!」と(笑)。
小桜:個人的には理系が本当に苦手で、作中に出てくる科学や技術、数式などを見ると、普段であればつい読み飛ばしたくなっちゃうタイプなんです(笑)。でもそんな私でも桜子とムームーの関係性とか、大学の仲間との人間ドラマがすごく魅力的で、すっと物語に入っていけたんです。理系が苦手な人でも全然楽しめる作品だと思います。
ただ、「これアニメにするの、難しいんじゃないかな……?」って最初は思いました。理系が苦手な私がこの説明言うの!? って(笑)。そこは少し覚悟が必要なのかなとは思いましたが、原作の印象はやっぱり「楽しい!」が一番強くて。難しい部分もあるけど、それ以上に桜子とムームーの“愛情”とか“つながり”が描かれていて、同胞たちに対する想いも出てくるので……普通に泣いてしまうような、心に染みるシーンもありました。
笑えるところもたくさんあるけど、涙腺にくるところも結構あるなって。“笑いあり、涙あり”な作品だなと思います。いろんな感情がぎゅっと詰まっていて、しかも、家電を通してそれを描いてるっていうのが面白いですよね! 人間とは離れた技術の話をしているのに、ちゃんと人間の心の交流がある。そこがすごいなって思います。作者の宮下(裕樹)先生、ほんとにすごいなって。プロに向かって失礼ですけども。
──小桜さんから理系が苦手というお話も出ましたが、春海さんはどうなのでしょう?
春海:私も得意ではなくって……。
小桜:得意そうな雰囲気があるよね。
──はい。特技がタギロン(数字当て推理ゲーム)ということだったので、もしかしたら理数系なのかな?と思っていました。
春海:頭を使うゲームは好きなのですが、理数系はそこまで……(笑)。でも成績的には数学は良かったんです。
小桜:あ、でもやっぱり素質はあるんだ。本当はできるんじゃない?
春海:もしかすると素質はあるのかも……? あるといいなって思います(笑)。原作を読んだときも、全部理解できるかな?と思ったんですけど、いざ台本をいただいて、自分で声に出して演じながら読んでみたら、すごくわかりやすくなっていて。声に出すことでより理解が深まるようになったんです。また、実際にアニメで見たらすごくわかりやすかったです。面白いし、テンポもよくって、アニメの力ってすごいなって思いました。
小桜:うんうん。
──小桜さんからもお話がありましたが、アニメになったことで、よりわかりやすくなりますよね。
小桜:私、どのお仕事でも一番苦手なのが“説明セリフ”なんです。説明って、視聴者が「説明されてるな」って感じると、飽きてしまったり、チャンネルを変えたりすることもあるじゃないですか。だから、どうやってそれを自然に伝えるかってすごく難しくて。でも自分の声でセリフを出すことで、耳からも情報が入ってきて理解が深まるし、結果的に演じやすくなる部分もありました。
キャラクターの動きもコミカルだし、テンポもいいし、なにより栗コーダーカルテットさんの音楽がとても作品に合っていて、全体の雰囲気を軽やかにしてくれる。難しいテーマでも、すごく伝わりやすくなってると思います。子どもたちが見たときも、分かりやすいんじゃないかなと。
オーディション時は高校生。春海さんは「堂々としてて素晴らしい声優さん」
──おふたりとも役にピッタリだなという印象があるのですが、オーディションでこの作品に参加されたのでしょうか?
小桜:私はオーディションではなかったんですよ。オファーをいただきました。「ムームー役で」とお話をいただいて、「ぴったりかも」と思って引き受けました。最初、「猫役です」と聞いて、猫を演じる機会が多かったので「あ、やった猫だ!」って。でも、読んでみたら“ただの猫”じゃない(笑)。
「喋る猫」だし、「宇宙人」だし、しかも女性である桜子とパートナーを組むとなると、これまで演じてきたかわいいマスコット的な猫の声ではなく、もう少し“大人の男の人”のようなイメージのほうがいいのかな?と思っていたんです。女の子っぽい声質になってしまうと、少し分かりにくいかなと。
それで、ちょっと低めのトーンで試してみたんですが、いただいた第1話の映像を観たら、「あれ? 思ったより声高い!?」って(笑)。今後どう変化していくかわかりませんが……(笑)。春海さん、オーディションあった?
春海:はい、オーディションありました! テープオーディションのあとに、スタジオオーディションに進むことができて。当時は高校生だったんです。放課後にオーディションを受けに行ったんですけど、初めてのスタジオオーディションだったので、ワナワナしてしまって……。
小桜:さすがの春海さんも“ワナワナ”しちゃってたの?(笑)
春海:はい(笑)。ドキドキが止まらなくて。思わず近くの公園をうろうろしちゃいました(笑)。
小桜:え~、めっちゃ可愛い! その動き、見てた人からしたら「あの子、何してるんだろう?」って思ったかも(笑)。
春海:かもしれないですね(笑)。でも自分なりに、わきあがる気持ちを体全体に行き渡らせて、緊張を分散させてたんです。
──実際のオーディションはいかがでしたか。
春海:不思議なことに緊張のせいかあまり覚えてないんです。スタジオのオーディションって相手役の人と掛け合いすることもあると思うんですけど、私はひとりで。桜子のセリフだけを読んでください、っていうスタイルで。なんか……「あれ? これ大丈夫だったかな?」って思いました(笑)。
──小桜さんから「さすがの春海さん」というお言葉がありましたが、小桜さんから見た春海さんの印象はどのようなものなのでしょうか。
小桜:堂々としていてびっくりしましたよ。私はわりと早い段階でこの作品の話を聞いていたんですけど、しばらく経ってから「主役のヒロインは、これが初めてのお仕事になるくらいの新人さんです」と聞いて。「お願いします!」と言われて(笑)。でも実際に会ってみたら、初めてとは思えないくらい堂々としていて。
私なんか、初めてアフレコ現場に立ったときは、先輩たちに手取り足取り教えてもらって、「マイクはここだよ」「ここに向かって喋るんだよ」とか、右も左も分からない状態だったのに……春海さんはもう、「はい、了解です!」みたいな(笑)。合わせるのも全然問題なくて。
この作品のアフレコの前に現場に入った経験があったそうですが、メインキャストは初めてって聞いてたから「ホントに!?」って思いましたよ。しかも、1回目のアフレコも「緊張してない」って言ってて。
春海:あまり緊張しなかったんです。というのも『ムームー』のアフレコが始まる前にいくつか現場を経験させていただいたのですが、そこで1回失敗してしまったことがあって。もうあのとき以上の失敗は今後ないだろうと思って、『ムームー』のアフレコに臨んだんです。そうしたらすっと「あ、いける」ってなりました。
小桜:えー! かっこいい……! ちなみに、その“失敗”って何だったの?
春海:挨拶です。最初、ブースにいる皆さんにだけ挨拶したら、それで満足しちゃって……始まるのをビシッと待ってたんですけど、よく考えたら他の方に挨拶していない!ということに気づいて。そこから「よし、これからは絶対にちゃんと挨拶しよう!」って思ったんです。
小桜:ちゃんとしてて偉い! というか、それで現場で思いっきり挨拶してたんだね(笑)。木内秀信さん(天空橋わたる役)に挨拶したとき、なんて言われたんだっけ? なんか言われてたよね?
春海:……なんでしたっけ?(笑)
小桜:確か「俺には挨拶するな」って言ってたような……(笑)。でも、冗談で! もちろんいじめとかじゃないですよ! あれは木内さんなりの気遣いとして「現場には他にもたくさん人がいるし気を使わなくていいよ」って意味だったと思います。
春海:私がいろいろな方に挨拶しにいく姿を見て「またやってるやってる」って感じで(笑)。しばらくすると「ほら、挨拶するんでしょ?」ってつないでくださることも。周りの方々もみんな優しくて、温かく見守っていただきました(笑)。そんな雰囲気で現場にいられるのはありがたいことです。
小桜:本当に堂々としてて、素晴らしい新人さんです!
──そういう意味では桜子って、春海さんご本人とは性格的にけっこう真逆なのでは?
春海:そうですね、真逆だと思います。だからこそ、桜子のことが本当に愛おしく感じるんです。支えてあげたいな、って思えるキャラクターです。
──オーディションの合格を聞いたときはどのような気持ちでしたか。
春海:ちょうど高校を卒業して1週間後に「受かったよ」って連絡をいただいて。気持ち的には大学合格、みたいな感じでした(笑)。急に人生がパッと開けたような気がしました。
小桜:でも、今回のお話がなくても声優としてやっていこうということは決めていたの?
春海:はい、ひとつのことに集中したいタイプなんです。
ムームーは「低めの声を意識」、桜子は「“小さい子どもに話しかけるような気持ち”で」
──桜子というキャラの第一印象としてはいかがでしたか。
春海:桜子の絵柄がすごくかわいいなって。特に髪の毛が印象的で! 性格的には。もうちょっと力を抜いてほしいなって思うくらい頑張り屋さんなんです。勉強して、アルバイトもして……ずっと頑張ってます。
小桜:(ムームーが)迷惑をおかけしてすみません……。
春海:ちょっと「ぐだ~っ」としてる姿も見てみたいです(笑)。本当に怠けないんです、桜子って。すごいなあ、って思います。
小桜:確かにダラダラと寝てる姿を見ないよね。
春海:そうなんです。桜子のこと、とても尊敬しています。しかも桜子って優しくて、誰に対してもすごく穏やかに接しているんですよね。だから演じるときも、誰に対しても“小さい子どもに話しかけるような気持ち”で接するようにしてます。特にムームーに対してはそういう意識が強くて。
小桜:ムームーは生意気だけども(笑)。桜子ちゃんは包容力があるよね。
── 一方、ムームーはどういった人物像を意識して演じられましたか? 先ほど、少し低い声で……というお話がありましたが。
小桜:ムームーってバリバリの戦闘員だったはずなので、私は“30代前半くらいの働き盛りの男性”をイメージしていました。対峙していく相手も結構なベテラン声優の男性が多くて。そうなると、ムームーもひよっこ感がありすぎると埋もれちゃう。だから“強さ”や“芯のある感じ”を出すために、低めの声を意識しました。
でも、私が思ってる“低い声”って、自分では出せているつもりでも実際はそんなに低くなってなかったりして(笑)。特に第1話の冒頭、登場シーンでは「カッコつけてください!」って言われて頑張ったんですが……自分的には「もうちょっといけたかな」って感じでした。
でもCMを挟んだ(第1話の)後半や第2話、第3話になると、アドリブが増えたり、台本にない小ネタが入ってきたりして。息遣いやちょっとしたトーンの変化も自由にできるようになってきました。そういうゆとりが生まれると、ムームーの“男らしさ”も自然とにじんでくる気がして。あくまで自分としてはなんですけどね。今はその幅を意識して演じています。
──そもそもムームーは現時点だと一体何者なのか、謎も多いですよね……。
小桜:そうなんですよ。原作でもまだ謎が多くて、実は裏切るかも…とか、本当に何があるかわからないキャラクターです。家ではちょっと怠けてるのに、同胞の前では超武闘派、かつ異名まであるっていう。
春海:それに同胞の前だとかなり強いし、みんなにも恐れられているしと、底知れないキャラクターではあります。
小桜:どこか“ポンコツ感”があるんだけど、それも愛嬌として描かれていて。そもそも、原作の中にもありますけども、自ら起こした争いで母星とインテリ層を失ってしまって、ちょっとオツムの足りない人たちだけが残っているので……そりゃそうなりますよね、っていう(笑)。
春海:そんなムームーに地球のテクノロジーを教えるために、一生懸命“学びたて”の知識で、桜子は頑張ってて。第1話では「ただ説明を読んで教えているだけ」っていう雰囲気だったんですが、物語が進むごとに、ちゃんと理解してノリノリで説明するようになっていきます。その桜子の気持ちを意識して、だんだんと説明の自信も上がっていて。
だから声の表情も、最初は「え、私が説明するのかな……」って戸惑ってる感じだったのを、だんだんと前向きなトーンに変えていきました。ムームーに“わかってもらいたい”という気持ちもどんどん強くなっていったんです。
──さきほど春海さんと桜子が真逆というお話がありましたが、共通点はどんなところだと思いますか?
春海:本当に思いつかなくて(笑)。
小桜:あはははは! 年齢は?
春海:あ、そうだ年齢!
小桜:まったく同じなんですよね。なかなかそういうキャスティングってないような気がします。録りはじめたのが2024年の5月くらいからだったので、リアルタイムでまったく一緒っていう。
春海:確かに。アフレコがはじまったとき、大学に進学した友だちから「サークルに入ったよ~」っていう話を聞いて、言えないけれど「じつは私も“人類再生研究会”に入ったんだよ~!」っていう気持ちになれました(笑)。
小桜:環境は一緒だね。それと名前も似ているよね。
春海:“春海”と“桜子”で、私は春生まれなので百乃という名前なんです。ちょっと似ていて、不思議な縁を感じました。でも中身は本当に真逆で、私はのんびりしちゃうタイプなんです(笑)。
小桜:でも、現場では本当に堂々としてますよ。物怖じしないというか。普通、初めての現場だと遠慮がちになるかもしれないんですけど、春海さんは全然そんなことなくて。最近はマイクワークも変化してきて、コロナ禍を経て、ようやく一緒に収録できるようになってきたんです。
最初は2人だけの収録で、マイクも固定で「これはムームー用」「これは桜子用」って分けていたんです。でも他のキャストも増えてきて、ちょっとマイクの位置がごちゃごちゃしちゃって。でもその時も注意されても、素直に受け止めていて変にへこまない。だから言う側も言いやすい。春海さんはちゃんと受け止めて、次に活かしてくれる。お芝居にも影響が出ないから、安心して声をかけられるし、周りの人たちも教えやすいんじゃないかなと。
──そういうところは桜子にも通じるものがあるような?
春海:確かに! めげないですもんね(笑)。
小桜:鮫洲にあれだけ言われてるけど、気にしないところもありますし(笑)。
春海さんの新しい得意技?「フレッシュビーム」
──ではお互いの演技の好きなところを教えてください。
春海:小桜さんのお声はすごくかわいらしいのに、アドリブで急に面白くなるところがすごいんです。「ここ、どう演じるんだろう?」ってワクワクしながら毎回現場に入ってるのですが、「そんな面白いことどうして思いつくんですか!?」って毎回びっくりしています。しかもサラッと、お芝居されていらっしゃるところが本当にかっこいいんです。
小桜:嬉しい、ありがとうございます。私はやっぱり、春海さんの“フレッシュさ”に尽きますね。もちろんベテランさんならではの、熟練のお芝居の良さはあるんですが……この年代でしか出せない、リアルな声の揺らぎとか、発声がまだ“お仕事用”になっていない自然さがすごく良いんです。子役さんと大人の声優さんの中間くらいの感じで、もうピカーッと光ってるんですよ。「あ、今日もフレッシュ来た!」って現場が明るくなるなって(笑)。
──技術では出せない魅力といいますか。
小桜:そうですね。年齢だけじゃなくて、“初めて”とか“新しい環境”にいる時期の人にしか出せない音ってあると思うんです。それは何歳であっても、“デビューしたての人だけが持つ特別な声”みたいな。春海さんにはそれがあって、現場にとってもすごく大切な存在です。
春海:嬉しいです! もっとその“フレッシュさ”を活かしていけたらなって思います。「フレッシュきたぞ~!」ってもっと言われるくらいに(笑)。
小桜:(笑)。いいんだよ、それで。次に会ったときは「フレッシュビーム!」ってするくらいで。
春海:やります!(笑) 自分で「フレッシュ来ました!」って言っちゃうとちょっと引かれてしまうかもしれないので……心の中で“フレッシュビーム”って唱えてます(笑)。
──ちなみに、オーディションのときって制服で行かれたんですか?
春海:学校帰りだったので、制服のままで、フレッシュ感を押し出していきました(笑)。結構かわいい感じの制服なんです。現場の方に「趣味のお洋服ですか?」って聞かれたほどには(笑)。でもそれくらい、制服ってレアだったのかなと。それに私、スカートをあまり履かないんです。
小桜:確かに。今日の衣装もスカートだけど、普段はボーイッシュな服が多いよね。
春海:そうなんです。今日は珍しくスカートなんですけど……。それと初回のアフレコは、よそゆきのワンピースを着ていきました。
小桜:でもその“フレッシュさ”、めちゃくちゃ大事だし、もうキャッチコピーにしたらいいよ(笑)。
──小桜さんはムームーに共感するところはありますか?
小桜:共感というより「すごく偉いな」って思うのは、ムームーって星を滅ぼしたり、滅ぼされたりって大変な過去があるのに、それでも諦めていないところ。それこそ桜子と一緒でへこたれず、自分たちの星を復活させようとしてる。その“へこたれなさ”が、私にもあったらいいなって思います。
そんな激しい経験はもちろんないですけど(笑)、私たちも日常の中で傷ついたり、困ったりすることはある。でも、ムームーのように“たくましく”いられたらいいなと思ってますね。あとは、やっぱりタイトルロールの主役なので、「背負う覚悟」が必要だと思っていて。
──責任感といいますか。
小桜:そうですね。作品や現場に対しても、ちゃんと覚悟を持って臨まないといけないなと。できれば座組を盛り上げたいし、盛り上げたい気持ちはムームーが“星を復活させたい”って思ってるのと同じくらい強いかもしれません。
──今作では小桜さんが座長なのでしょうか?
小桜:本当の意味で座長感があるのは春海さんなんですよ。たくさん喋るし、物語の軸として桜子の存在がとても大きい。二人三脚というか、本当に“ムームーと桜子”っていう感じで。
春海:今お話をお伺いしてて、小桜さんはお話をちゃんと言語化してくださるのがすごくお上手で、感動してます。私もよりうまく言葉にして伝えられるように頑張っていきたいです!
小桜:いやいや、全然ちゃんとしてるよ!
春海:でも私は、そういった責任感というよりかは、ウキウキしているところがあって。今は楽しさが勝っているんです。「やった! 始まったよ!」ってワクワクしちゃって(笑)。
小桜:それはすごく素晴らしいよ!
──桜子の演技について、小桜さんからアドバイスされることもあるのでしょうか?
小桜:桜子に関してはほとんどなくて……余計なことを言うよりかは、その感性を活かしてもらいたいなって。あ、でもひとつだけ、アクセントについて教えたことがあります。アクセント辞典があるといいよ、こういう時は台本にこう書いておくと良いよ、とか。
特に今回は専門用語が多い作品だから、アクセント辞典には載っていない言葉もあるので、大人のキャスト陣も翻弄されることがあるんですよ。もしくは通常のアクセントとは違う、その道のプロだけが使うような、平板な言いまわしもあって。そこはスタッフさんと相談して決めていったこともありました。
注目しているキャラクターは「同じかも?」
──お二人が注目しているキャラクターはいますか?
小桜:これは同じ人な気がする。
春海:あ、本当ですか。
小桜:じゃあ、せーので言ってみよう! せーの……!
小桜:天空橋!
春海:デシマル!
小桜:全然違った!(笑) そうだそうだ、デシマルが好きって言ってたね!
春海:そうなんです! 私はムームーの同胞である、でっぷりしたデシマルがすごく好きで……とにかくデカくてかわいい(笑)。でも声はめちゃくちゃ渋くて、そのギャップがたまらないんです。実際はポンコツなところもあって、そこが愛おしいし、見ていて飽きないです!
小桜:デジマルは桜子のことを好きだしね。
春海:そうなんです! 桜子にお花をプレゼントしてくれるエピソードが原作にありました。アニメーションで見ると、そのお茶目さと渋さのギャップが際立って、デシマルのことがもっと好きになるはず! すごく注目しています!
──小桜さんは「人類再生研究会」の部長である天空橋に注目を?
小桜:はい。めちゃくちゃはちゃめちゃだけど、筋は通っていて、意外と女性人気が出るタイプだと思います。意外と、って言うと失礼ですけども(笑)。ちょっと暴走しがちだけど優しいし、家電系の知識もすごく豊富で、実は頼れる存在なんですよね。
それも木内さんの演技がまた面白くて。アドリブが多い作品ではないけど、“息遣い”や“言い回し”でのアドリブがたくさん入っていて、家電の説明の仕方も絶妙におもしろい。化学式も出てくるので、木内さんご自身は「あーなんだこりゃ!」とか言いながらやってますけども(笑)、自然と惹き込まれちゃう。
春海:木内さんが「初めて知ったから、自分でも勉強した」みたいなことをおっしゃっていて、理解を深められている姿もまたすごいなあって。
小桜:第1話の段階だとあまり出てこないのですが、今後たくさん出てくるのでぜひ楽しみにしていて欲しいです!
ただの猫アニメじゃない
──第1話ではいろいろ見どころポイントがありますよね。
小桜:「桜子の声、ムーにはよく聞こえてるムーよ。地球人は耳が悪すぎムー」といった場面があるのですが、「ムームーいいところあるじゃん!」って。ないがしろにしているようで、桜子が傷ついてるんだなって分かってカバーしてるところもあるっていう。
春海:私は(桜子の大学の)学食のカレーを食べたムームーが「スパイシーーーーーーーッ!!」って叫ぶところが大好きなんです。「あ、これただの猫アニメじゃないな」って確信した瞬間でした。めちゃくちゃ好きなシーンで、当日のアフレコもワクワクしながら行ったのを覚えています。楽しみです。
小桜:猫ならではの面白い動きやセリフも見どころですが、やっぱり桜子とムームーのコンビネーションがすごくいいなと。冒頭の入り方はちょっと違うんですけど、いきなり宇宙人を受け入れてる桜子って、よく考えると「え? 平気なの!?」ってなる。でも、実は彼女の中に“お母さんっぽさ”や“お姉さん的な包容力”があって、それがムームーにも伝わっていく。
ムームーも、その優しさの中に甘えながらも、ただ甘えるのではなく、守っていこうって気持ちが芽生えていると思うんですよね。第1話の時点で、そういう2人の関係性が見えてくるので、ぜひそこも注目していただきたいです。あと、第1話に限らずですが、難しいセリフを2人で頑張っているので、「あの2人、頑張ってるな~」と応援する気持ちで観てもらえたら嬉しいです。
──これからいろいろな家電が登場するので、そこも楽しみですね。
小桜:結構勉強になるんですよ! 「あれ、うちにも必要かも」って思ったり、「これとこれって違うんだ」っていう発見がある。
──実生活に活かせそうな知識も?
小桜:今後出てくるエピソードの中にWi-Fiの話があるんです。その中で、アルミホイルでルーターを囲うと電波強度が上がる可能性があることを知って。それは試してみたいなと思っていて。うちはルーターが窓際にあるので、たまにビデオが止まるんですよ。春海さんは最近ひとり暮らしをしたばかりだから、欲しい家電がたくさんあるんだよね?
春海:(取材段階で)今数ヶ月経ったところなんですが、洗濯機と冷蔵庫だけは買ったんですけど、ほかは揃っていなくて。なかでも電子レンジがなくて困っています(笑)。まさにムームーにも電子レンジの話が出てきますが、「電子レンジって、ないとこんなに不便なんだ」って実感しました(笑)。じつは炊飯器もなくて、鍋で炊いてるんですけど……うまく炊けなくて……。桜子みたいにうまくいかないです(笑)。
小桜:まさに炊飯器の話も出てくるよね。電子レンジのエピソードは実生活にも役立ちました。私は逆に、洗いにくいから炊飯器があまり好きじゃなくて。ル・クルーゼの鍋で炊いてるんですけど、洗いやすいし、美味しく炊けますよ! 鍋って丸洗いできるし、炊飯器よりも意外と手軽だったりします。
──本番組のYouTube企画で、電子レンジを買いに行くかも?という話を耳にしたのですが……?
春海:もしかしたらそういう企画ができるかもしれないそうなんです! なので、もしかしたらこのインタビューが掲載されるころには電子レンジがあるかもしれない!
小桜:というか、その頃にはもう持ってて欲しいよ!(笑)
春海さんが小桜さんと電子レンジを買いに行く動画が公開中!
実は初取材だった!
──春海さんは今回がほぼ初めての取材だと伺いました。
春海:そうなんです。こうやってヘアメイクをして、衣装をご用意していただくような撮影というのも今日が初めてでした。うまくお話できているといいのですが……。
──むしろすごく新鮮で、フレッシュ感と独特の落ち着き具合が絶妙でした!
小桜:あ! フレッシュといえば、本当についさっきの、フレッシュなホヤホヤエピソードなのですが……私自身は早めに第1話と第2話を見せていただける機会があって、すでに見ていたのですが、(春海さんは)さっき初めて見たんですよ。で、改めて見て、涙を流してしまいました。ただ、綺麗にお化粧したあとだったので、ものすごく気をつけていて(笑)。
春海:感動して泣いちゃいました……! 「こんなに嬉しい涙ってある!?」ってくらいブワーッとこみ上げてきて、お化粧が落ちちゃうからティッシュを目の中に詰める勢いで必死に(笑)。メインキャストとして初めて、自分の声がモニターから流れるのを聞いて、「あ、これ私の声だ……!」って実感して、信じられなくて。でも本当に感動しました。
──それくらい喜びもひとしおですよね。では、今後楽しみにしていてほしいポイントについて教えてください。
小桜:最初はほのぼのとした日常が続くのかなと思いきや、ちょっとずつ雰囲気が変わってくるんですよ。「え? なんで急にこの人こんなことを?」という展開もあって、原作でも最後の方では「えぇぇ!?」ってなるようなサスペンス……というのでしょうか。そういった要素も出てきます。ほんわかだけじゃない面白さがあるので、そこもぜひ注目してほしいです。
春海:あと、アドリブもたくさん入っていて、裏で“にゃぼにゃぼ”してる猫たちとか、逃げる天空橋とか、セリフとは関係ない動きがとても面白いので、そういうところも見逃さずにチェックしてほしいです!
【インタビュー・逆井マリ 撮影・編集:鳥谷部宏平】