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【グッと!地球便】医師である父の跡を継がず、東大卒業後カナダでサーカスアーティストになった息子へ届ける父の想い

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【グッと!地球便】医師である父の跡を継がず、東大卒業後カナダでサーカスアーティストになった息子へ届ける父の想い

今回の配達先は、カナダ。サーカスアーティスト・山積隆之介さん(40)へ、東京都で暮らす父・清隆さん(71)が届けたおもいとは―。

サーカスの本場でパフォーマー人生の集大成ともいえる舞台に挑む

隆之介さんはオリジナリティあふれるジャグリングを得意とするフリーのサーカスアーティスト。シルクドゥソレイユが本社を構えるサーカスの本場、ケベック・シティ在住で、この日は間もなく初日を迎える舞台のリハーサルの真っ最中だった。

一方、父・清隆さんは「サーカスというもの自体があまりよくわからないし、果たしてそれで食べていけているのか…」と息子の生活が気になる様子。さらに、「祖父も私も医者で、病院をやっていた。なので彼も跡を継がないといけないという気持ちはあったのかもしれない」と、今の道に進むまでに迷いがあったのではないかと推測する。

これまでシルクドゥソレイユにも参加し、腕一本で世界を回ってきた隆之介さんだが、「自分ももう40歳。モチベーションがあるうちに夢である75分の演劇ショーを作りたかった」と、今回は自身でも大きな転機となる舞台に挑むことに。製作費はすべて自腹で、脚本と演出を担当するのは、シルクドゥソレイユでも演出をしていたサーカス界の巨匠、ピエールフィリップ・ゲーさん。隆之介さんに惚れこみ、格安のギャラで引き受けてくれたという。

物語は、医者である父の跡を継がず、サーカスアーティストを目指してケベックに渡った隆之介さんが大切な人に出会い、パフォーマーとしても人としても成長していくというもの。そこにこれまで研鑽を重ねてきたジャグリングを織り交ぜるという、いわばパフォーマー人生の集大成ともいえる作品だ。しかも目標は、このショーをサーカスのプロモーターに売り込み、世界中で公演すること。そのためにもまずは今回の初演を成功させなければならない。

家族の願いから必死に勉強。東京大学薬学部に合格するが…

高校時代は何の目標もなかったという隆之介さん。そんな時、たまたまテレビで見たジャグリングに心を奪われ、世界で活躍するサーカスアーティストになることが夢になった。
しかし、ひとつ問題が。家が医師の家系だったのだ。「自分ではやりたいことをやりたかったので、医者になりたいとは思わなかった」という隆之介さんだが、「せめて資格だけはとってほしい」という家族の願いから、ジャグリングの練習と並行して必死に勉強。見事、東京大学薬学部に合格する。そして東大を卒業すると、病院を継ぐかどうかの話し合いもないままカナダへ渡り、名門であるケベックサーカス学校に日本人として初めて入学。ここからサーカスアーティストとしての人生が本格的に始まったのだった。

2015年には、2人の娘を持つ15歳年上のソニアさん(55)と結婚。日本の漫画を愛するソニアさんは「ファナマンガ」という店を経営し、漫画やおにぎりなどを販売している。日本語を教える仕事もしている隆之介さんがソニアさんの先生になったことが出会いのきっかけだったという。夫を常に信じ、隣で支えるソニアさん。娘たちもショーを手伝うなどいつも応援してくれている。

隆之介さんの集大成となる舞台の本番当日。家族が宣伝を手伝ってくれたこともあり会場はほぼ満席になった。隆之介さんは75分間舞台に出ずっぱりで、時折ジョークも交えながら観客を盛り上げ、全力でパフォーマンスを繰り広げる。そして、疲労のピークで迎える最後の演目がツリーバランス。12枚の細長い板を絶妙なバランスで積み重ねていくという大技で、父との思い出の木が隆之介さんの夢と共に大きく育つことを表現している。物語的にも最大のクライマックスとなる重要なパフォーマンスだが、実は前日の練習では失敗し、パーツの一部が壊れるというトラブルも。果たして無事成功するのか…。

また新たな挑戦に踏み出した息子へ、父からの届け物は―

サーカスアーティストを志して25年。舞台上演後も「これが新たな幕開け」と次の挑戦に踏み出した息子へ、父からの届け物は隆之介さんが高校生の時にジャグリングの練習で使っていたバトン。添えられた手紙には、「おとうは隆之介に医者になってほしいと思ったことは一度もありません。自分の人生なんだから自分の好きに生きて欲しいといつも思っていました。サーカスアーティストは多くの人々に喜びと感動を与え、それが自分の糧になる素晴らしい職業です。 初心を忘れずに、100歳になっても続けていってください」と父の率直な想いが綴られていた。何となくは感じていたものの、はっきりと父の本心を知った隆之介さんは、「今、確証に変わった。もう迷いはないです」と晴れ晴れとした笑顔を見せるのだった。

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