ヒーローは獣のような私的「欲望」を持ち合わせていない!感情の表現における「欲望」の扱い方とは【プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑】
NO.23 欲望【よくぼう】[英:Desire]
【意味】
足りないものを満たしたい、と強く思う気持ち。
【類語】
切望 渇望 願望 所望 欲求 渇する 欲張り 喉から手が出る せがむなど
体(フィジカル)の反応
目がぎらぎらと輝く視線をそらさずじっと見つめる唇がやや開く顔や唇を頻繁に触る身につけているものをよくいじる頬が赤くなる手汗をかく姿勢が前のめりになる窓の外をぼんやり眺める眠りが浅くなる気を紛らわそうと趣味や仕事に没頭する注意散漫になる相手の仕草を真似する血がたぎる激情に身もだえする頭がクラクラする嗅覚や触覚が敏感になる
心(メンタル)の反応
集中力が低下する欲しいものを手に入れる計画を練る欲しいもの以外のことに興味が湧かなくなる欲望が満たされたときの姿を妄想する自分の鼓動が体内に響く息をするのを忘れる感覚体の奥からゾワゾワするものがこみ上げる胸が締めつけられる感覚時間の経過を遅く感じる頭に血が上る感覚
ヒーローは獣のような私的「欲望」を持ち合わせていない
鉄板ではありますが、「欲望」は敵役(あるいはライバル)に盛り盛りで盛ってください。理由はおわかりですね?
そう、「欲望」の強い人間は理性や知性の乏しい、業の塊に映ります。すなわち悪者のイメージにぴったりなのです。
さらに物語の展開を効果的に進めるには、敵役の獣のような「欲望」が、主人公にとって大きなダメージになる要因として設定しましょう。
つまり敵の「欲望」が満たされていくごとに、どんどん主人公は苦しめられ、窮地に立たされていくのです。ハリウッド映画でも日本のアニメでもドラマでも、こうした図式は多々目にします。
では、主人公の「欲望」はどうすればいいのでしょう?
この答えもまたおわかりですね。たとえばヒーローを例に挙げますと、ヒーローは獣のような私的「欲望」を持ち合わせていません。
主人公が持つのは「欲望」ではなく、願いや祈りなのです。この違いをよく理解して物語に取り組むようにしてください。
無欲こそがヒーローの条件となる
【出典】『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑』著:秀島迅